近年、クールで洗練された印象を与える“コンクリート打ちっぱなし”を内外装に取り入れた商業空間が注目を集めています。特にカフェやアパレルショップ、美容室など、スタイリッシュなイメージを重要視する店舗においては、あえてコンクリートをそのまま見せるデザインが人気です。
しかし、単に壁や天井を“コンクリート打ちっぱなし”のままにしておけばおしゃれに見えるかというと、そう簡単ではありません。素材の特性を理解し、内装・設備・メンテナンスなど多角的に考慮する必要があります。
本記事では、コンクリートならではの無機質な風合いを活かした店舗づくりのメリットや注意点、デザイン面でのコツ、さらにはコストやメンテナンスに関する情報を解説していきます。
これから店舗を新規開業・リニューアルする方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。

なぜコンクリートをそのまま活かすデザインが人気なのか

無機質なかっこよさと洗練されたイメージ

コンクリートの質感は、ほかの仕上げ材にはない独特の存在感が特徴です。木材の温もりやタイルの装飾性と異なり、無機質でクールな印象を与えられるのが魅力。スマートでシンプルな内装を好む若年層からは特に支持されており、一歩店舗の扉を開けるだけで「おしゃれなお店」というイメージを強く与えられます。
また、過度な装飾を控え、素材そのものの表情を生かすデザインは“ミニマル”なインテリアトレンドとも相性が良く、インダストリアル感やアーバンライクな空気感を演出する上で効果的です。

ブランドイメージとのマッチ

コンクリート打ちっぱなしは、多くの業種で共通して映えやすい点も人気の理由です。アパレル店舗であれば、シンプルで都会的なイメージは洋服や靴、アクセサリーなどの商品を引き立てます。カフェやレストランなら、意外性や洗練さを演出しやすく、写真映えによるSNS拡散も期待できます。美容室であれば、スタイリッシュな空間そのものが“センスの良さ”をダイレクトに伝える要素となるでしょう。
いわゆる“コンクリート打ちっぱなし”は、主張しすぎない背景として機能する一方で、独特の存在感を放ちます。店舗のブランディングにおいては「商品やサービスを引き立てつつ、個性も演出できる空間」を目指すケースが多いため、むき出しのコンクリートを活かす手法は非常に有効だといえます。

空間づくりの魅力とイメージ戦略

工業的要素が生むインダストリアルな雰囲気

コンクリートといえば、ビルや工場など大規模建築にも多く使われる素材です。そこから連想される「工業的」「無機的」なイメージは、インダストリアル系のデザインとして人気を博しています。例えば、金属製の照明器具や配管、アイアンフレームの家具などと合わせれば、より一層“倉庫風”や“工場風”の雰囲気を演出できるでしょう。
それと同時に、インダストリアルスタイルはどこか“職人感”や“ハンドメイド感”にも通じるのが魅力です。細部まで意識を配った内装にすることで、カジュアルさと高級感を両立させることができます。

ミニマルデザインと相性の良い素材

余計なものを削ぎ落とし、シンプルにまとめあげるミニマルデザインは、近年ますます注目されるインテリアトレンドです。コンクリートの壁や天井は、何も飾らない状態でもそのまま一種の意匠となり、無機質かつフラットな質感がミニマルな雰囲気を崩しません。
逆に、空間全体がシンプルだからこそ、什器や装飾品を効果的に目立たせることも可能です。たとえばアパレルショップでは商品のカラーバリエーションやレイアウトが映え、カフェではオリジナルの食器やテーブル上のディスプレイが引き立ちます。装飾を最小限にとどめることで、お店が伝えたいコンセプトや商品の魅力をダイレクトに訴求できるのです。

居心地と演出効果のバランス

コンクリートのクールな雰囲気に憧れる一方で、無機質すぎる空間は冷たい印象を与えがちです。快適さや居心地の良さを求める店舗であれば、家具や什器に木材やファブリックなど、温もりを感じさせる素材をうまく取り入れましょう。加えて、照明計画も重要です。間接照明やウォームカラーのライトを使うことで、打ちっぱなしのコンクリート面でも柔らかい雰囲気を作り出せます。
また、小物やアクセントとして金属のパーツを取り入れたり、ガラスや鏡を部分的に使ったりすることで、光の反射が生まれ、空間全体に動きを出すことができます。無機質な中にも奥行きや変化が感じられれば、お客さまにとって「ずっと居たくなる場所」になり得るのです。

デザイン面で気をつけたいポイント

コンクリート特有の汚れや劣化

むき出しのコンクリート面は、汚れが付着すると目立ちやすい傾向にあります。特に店舗の場合は来客数が多いほど、壁や床へのダメージが蓄積しやすいでしょう。油汚れやタバコのヤニなど、素材に吸着しやすい汚れには定期的なケアが欠かせません。
また、コンクリートは湿度や温度変化の影響を受け、ひび割れを起こす場合もあります。小さなひび割れでも放置すると広がることがあるため、メンテナンス計画を立てておくことが大切です。ひび割れ防止用の塗料や保護材を塗布する方法もありますが、それがコンクリートならではの風合いを損なう可能性もあるため、仕上がりイメージとのバランスをとりつつ検討しましょう。

照明計画との連動

コンクリートのままの壁面は反射率が低いため、店舗空間が暗く見えるリスクがあります。デザインとしてはかっこいい無機質な雰囲気を演出できる一方で、来客にとって商品が見づらい、居心地が悪いと感じる場合も。照明を適切に配置し、光の質(色温度や照度)をうまく選ぶことが重要です。
間接照明を壁際や天井のコーナーに仕込む、ダウンライトで床やテーブルを適度に照らすなど、光の当たり方に変化をつけることで、コンクリートのテクスチャを引き立てられます。店舗のコンセプトに応じて、温かみのある電球色をメインにするのか、クールな昼白色を中心にするのかを検討し、適度なコントラストを演出しましょう。

音響面への配慮

コンクリートの表面は音を反響しやすい特徴を持っています。壁や天井だけでなく、床も硬い素材を選ぶと、騒音や会話の反響が大きくなり、結果的にお客さまが疲れたり、BGMが聞き取りにくかったりする問題が生じるかもしれません。
対策としては、天井に吸音パネルを取り付ける、壁の一部を木材や布張りのパネルにして反響を抑える、床にラグやカーペットを敷いてクッション性を高めるなどが挙げられます。クールな見た目を優先するあまり、音響面がおろそかになってしまうと来店客の満足度が下がる恐れがあるため、内装の段階で十分に検討しましょう。

施工・コスト・スケジュールの考え方

新築・リノベーションの違い

新築の場合、構造体として鉄筋コンクリート造を選択すれば、最初からむき出しの壁面を想定した設計ができます。しかし、テナント物件などでは既存の構造体が鉄骨造や木造という場合もあり、そのままではコンクリートをむき出しにできないケースが少なくありません。
リノベーションでコンクリートを生かしたい場合、もともとRC造の建物であれば仕上げ材を撤去することでコンクリートを露出できます。ただし、内部に配管や配線が通っているケースもあり、店舗レイアウトに合わせて再配置が必要になるため、解体費や改修費が増える可能性があります。

打ち放し仕上げのコスト

コンクリートをそのまま露出させる場合、一見すると「仕上げ材がいらないから安いのでは?」と思われがちです。しかし実際には、打ちっぱなし部分をきれいに見せるためには高い精度の施工が求められます。型枠の組み方やコンクリートの打設方法、養生の具合が仕上がりを左右するため、施工技術が高い職人さんの手配が必要になるのです。
さらに、ひび割れ対策や防汚処理などの保護コーティングを行う場合は、その分のコストも計上されます。完成後、店舗として運用していく中での修繕費用も考慮に入れておきましょう。

施工スケジュールのポイント

コンクリート施工は、養生期間や天候の影響など、仕上げ材よりも時間を要することがあります。新築の場合は型枠工事・打設・脱型・養生という工程を経てから内装に進むため、スケジュールに余裕を持って計画を立てることが重要です。
リノベーションの場合も、コンクリートの露出工事に加えて古い仕上げ材の撤去や下地処理、ひび割れ補修などを行うため、想定外の工数がかかるケースがあります。特にオープン日が決まっている店舗では、工事期間を逆算して計画し、遅延が生じた場合のリスクマネジメントをきちんとしておきましょう。

メンテナンスと耐久性を保つ方法

定期的なクリーニング

コンクリート打ちっぱなしはほこりや汚れが目立ちやすいため、定期的なクリーニングが欠かせません。壁面の場合は、柔らかいブラシや布を使ってホコリをはらう程度であれば大丈夫ですが、しつこいシミや油汚れが付着している場合は専用洗浄剤を使用することも検討してください。ただし、素材を傷めにくい中性洗剤を中心に使い、強力な薬剤は必要以上に使用しないように気をつけましょう。
また、床をコンクリート仕上げにしている場合は、こまめに掃除をすることが来店客の印象にも直結します。美観を保つために、定期的な清掃スケジュールを組み込み、スタッフ間で共有しておくのがおすすめです。

ひび割れやクラックの補修

コンクリートの経年劣化によるひび割れは、見た目だけでなく建物の防水性や耐久性にも影響を与えます。ひびが大きくなる前にシーリング材で補修する、または必要に応じて専門業者に点検を依頼することが大切です。
小さなクラックの場合、DIY的に補修キットで対応できるケースもありますが、店舗という商業空間においては美観面でのクオリティが求められます。補修部分が目立たないように仕上げるためには、施工経験のある職人に任せたほうが安心です。

防汚・防水コーティングの活用

コンクリート表面の汚れや水の浸透を抑えるために、防汚コーティングや防水剤を塗布する方法があります。これにより、雨や水しぶきがかかりやすい外壁部分や、湿気が多い厨房周りなどでも、汚れの付着を最小限に抑えることができるでしょう。
ただし、コーティング剤によってはコンクリート本来の風合いが変化する場合もあるため、試し塗りを行って色味や質感を確認してから全面的に適用するのがおすすめです。店舗のコンセプトや仕上がりイメージを損なわないように、複数の製品を比較検討しながら選びましょう。

まとめ

コンクリートをむき出しにした店舗設計は、一歩間違えると「ただ無骨なだけ」「暗くて居心地が悪い空間」になってしまうリスクもあります。しかし、照明や家具、素材の組み合わせを工夫し、定期的なメンテナンスをきちんと行えば、長く愛される独自の空間を実現できるはずです。
どのような業種でも使える汎用性の高さと、唯一無二の個性を併せ持つこの手法は、これからも注目され続けるでしょう。新規出店やリニューアルを検討している方は、しっかりとした準備とイメージづくりを行い、コンクリートの美しさを最大限に引き出した店舗を目指してみてください。

当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。

飲食店の経営や店舗運営を考えるうえで、つい見落としがちなのがバックヤードです。お客様の目に直接触れない部分であるため、内装や客席のデザインに注力するあまり、バックヤードの設計・デザインを後回しにしてしまうケースも少なくありません。
しかし実際には、バックヤードはスタッフの作業効率を高めたり、在庫管理をスムーズにしたり、衛生管理をしやすくするなど、店舗運営全体において非常に重要な役割を担っています。
本記事では、飲食店の設計やデザインを考えている方、特に「これから新規開業・改装を検討している」「バックヤードの使い勝手を見直して業務効率を上げたい」という方に向けて、バックヤードの役割や機能、具体的なレイアウト方法、設計・デザインのポイントなどを詳しく解説しています。
店舗全体を成功に導くうえで欠かせないバックヤードの知識を深め、最適な設計・デザインを実現しましょう。

飲食店におけるバックヤードの重要性

バックヤードとは

一般的に「バックヤード」とは、飲食店や小売店などでお客様の目に触れない場所を指します。具体的には、以下のようなスペースが該当します。

■ 厨房(キッチン)
■ ストックルーム(在庫置き場)
■ スタッフの休憩室
■ 更衣室やロッカー、クローク
■ 事務所・オフィススペース

飲食店の場合、特に重要度が高いのは厨房およびストックルームです。調理スタッフの作業効率や、食材の管理状態、衛生状態に直結するため、店舗を設計するうえで最も注意を払う必要があります。

バックヤードが店舗経営に与える影響

バックヤードの使いやすさや効率の良さは、以下のような点で店舗経営に大きな影響を与えます。

【作業効率の向上】
スタッフがスムーズに動ける動線や適切な設備配置は、調理や接客を円滑にし、結果として顧客満足度を高めます。

【衛生管理の徹底】
飲食店では食品衛生法をはじめとする衛生面の規定が厳しく定められています。バックヤードが整理整頓されており、衛生管理がしやすい環境であることは、店舗の信頼性を高めるうえでも不可欠です。

【在庫管理の効率化】
食材や備品の管理がしやすいストックルームがあれば、廃棄ロスの軽減や発注ミスの防止につながり、コストを削減できます。

【スタッフ満足度の向上】
休憩室や更衣室が快適で、動線がスムーズなバックヤードは、スタッフのストレスを軽減し、離職率の低減につながります。

飲食店の売上アップやリピーター獲得に直結するのは、もちろん味や接客、雰囲気といった表側の要素です。しかし、それらをしっかりと支えているのがバックヤードの存在なのです。

バックヤードの基本的な機能と役割

仕込み・調理・洗浄

飲食店の中心となる厨房は、仕込みから調理、そして洗浄までを行う重要なスペースです。特に大規模な店舗や専門性の高い飲食店では、それぞれの工程に合わせてエリア分けをする必要があります。

ストックルーム

食材やドリンク、消耗品などの在庫を保管する場所です。

事務スペース・スタッフルーム

注文の伝票処理や経理業務などを行う事務スペースや、スタッフが休憩・着替えをする更衣室やスタッフルームもバックヤードの重要な機能です。

ゴミ置き場

飲食店では、大量の生ゴミや包装ゴミなどが日々発生します。ゴミ置き場をバックヤード内に確保する場合は、臭気対策や害虫対策が必要になります。
防臭設備や専用のゴミ冷蔵庫を導入する、定期的な清掃や消毒を徹底するなど、店舗環境を清潔に保つための管理が欠かせません。

効率的なスタッフ動線とレイアウト

スタッフ動線が与える影響

飲食店のスタッフ動線は、バックヤードだけでなく店内全体のオペレーション効率を左右します。作業の流れに沿った動線を考えず、厨房と客席を往復しづらいレイアウトになってしまうと、スタッフがムダな動きを強いられ、作業時間が増えてしまいます。

【動線が悪い場合のデメリット】
■ スタッフが疲労しやすくなり、生産性が下がる
■ 注文対応や提供が遅れ、顧客満足度が低下
■ 安全管理の観点でも、衝突事故や食器落下などのトラブルが起きやすくなる

動線設計のコツ

【最短距離を意識】
例えば、仕込みエリアと調理スペース、洗浄スペースの間を短くすることで作業時間を短縮できます。

【スタッフの動きと客席動線を区分】
客席側に出入りするスタッフの動線と、厨房内で作業するスタッフの動線を混在させないように設計します。衝突や混雑のリスクを下げるだけでなく、衛生管理の観点でも効果的です。

【広さと視界を考慮】
バックヤード内は狭くなることが多いですが、最低限の回遊スペースや視界確保(棚の高さ、パーティションの位置など)を考慮することで、作業のしやすさが向上します。

衛生管理と安全対策

衛生面のポイント

飲食店のバックヤードは、食品衛生法や各自治体の条例に基づいた衛生管理が求められます。特に厨房や洗浄スペースでは、食中毒や異物混入を防ぐために厳重な管理が必要です。

【業区分の明確化】
生の食材を扱うエリア、加熱済み・完成品を扱うエリア、洗浄エリアなどをきちんと区別する。

【清掃を行いやすい素材・レイアウト】
壁や床、作業台の素材は、油汚れや水垢がたまりにくく、清掃しやすいステンレスやタイルを選ぶと良いでしょう。

【手洗い設備の充実】
スタッフが衛生を保つためには、適切な場所に複数の手洗い場を配置することが重要です。

安全面のポイント

バックヤードでは熱源や調理器具、洗剤などの危険物を扱うため、安全対策も重視しなければなりません。

【消火設備の設置】
消火器や火災報知器などを適切に配置する。特にフライヤー周辺などは油火災対策を十分に行う。

【床の防滑対策】
調理場や洗浄スペースは水や油で滑りやすくなるため、防滑性の高い床材やマットの使用を検討する。

【動線上の障害物を排除】
スタッフ動線に物が置いてあると転倒事故の原因になるので、常に整理整頓を心がける。

バックヤードデザインのポイント

機能性とデザインのバランス

バックヤードはスタッフが使う場所なので、機能性や衛生面を最優先で考える必要があります。しかし、意外にもデザインが及ぼす心理的効果は大きく、快適で清潔感のある空間はスタッフのモチベーションを高めます。

照明計画

【作業性を高める明るさ】
カット作業や盛り付けなど、正確さが求められる作業場には十分な照明が必要です。

【疲労軽減の配慮】
スタッフの目が疲れにくい色温度や配置を検討することで、長時間作業をサポートします。

【スタッフルームのリラックス感】
休憩スペースには少し柔らかい光を取り入れるなど、過度に明るすぎない工夫をするとスタッフがリラックスできます。

色彩計画

【清潔感を演出するホワイト系】
厨房では、汚れが目立ちやすいホワイト系の色を使うことで、清掃のモチベーションが高まり衛生管理もしやすくなります。

【安心感を与えるグリーンやブラウン系】
スタッフルームや更衣室に取り入れると、落ち着いた空間を演出できます。

【視認性を高めるコントラスト】
作業道具の収納場所など、間違いなく安全に取り扱う必要がある部分は、壁や棚にコントラストを持たせると探しやすくなります。

店舗全体のデザインとバックヤードの関係

店舗コンセプトとバックヤード

店舗のコンセプトが「温かみのあるカフェ」や「洗練されたバー」などであっても、バックヤードは往々にして無機質な雰囲気になりがちです。しかし、お客様の目には直接触れないとはいえ、スタッフは常にバックヤードを使うわけですから、店舗コンセプトとまったくかけ離れたデザインだとモチベーションに影響することもあります。
可能な範囲で店舗のイメージカラーやテイストを一部取り入れると、空間に統一感が生まれます。

バックヤードの存在を意識した店内レイアウト

お客様の目に見える部分を広く取ろうとして、バックヤードの面積を極端に削減してしまうケースがあります。結果として、スタッフが動きづらくなり、衛生管理や在庫管理が滞ってしまう例も少なくありません。
売上を生み出すのは客席ですが、それを支えるのはバックヤードです。客席とバックヤードのバランスを取りながら、店舗全体のレイアウトを考えることが大切です。

バックヤード設備の選定とメンテナンス

設備選定のポイント

【省スペース・省エネ対応】
バックヤードは狭いことが多いので、コンパクトなサイズや省スペース設計の機器を選ぶと動線がスムーズになります。また、省エネ効果が高い機器を導入すれば、ランニングコストも抑えられます。

【メンテナンスのしやすさ】
調理機器や冷蔵庫などは長期的に使用するため、掃除のしやすさや部品交換のしやすさを考慮して選ぶと故障リスクを減らせます。

【衛生基準に適合しているか】
飲食店の場合、保健所の許可や衛生基準をクリアした設備を使用する必要があります。選定段階で必ず確認しましょう。

定期的なメンテナンスの重要性

バックヤードの設備は、毎日フル稼働することが多いため、定期的なメンテナンスを怠るとトラブルの原因になります。

■ 冷凍・冷蔵庫の温度管理とクリーニング
■ 調理機器(コンロ、グリル、フライヤー)の点検・清掃
■ ダクトや換気扇の清掃
■ 定期的な専門業者による点検

メンテナンスをしっかり行っておけば、設備の故障による営業停止リスクを低減し、長期的な視点で見るとコスト削減にもつながります。

まとめ

飲食店におけるバックヤードは、店舗の表側を支える“縁の下の力持ち”です。店舗設計や店舗デザインを考える際、どうしても客席や内装などの見栄えに目が行きがちですが、バックヤードのレイアウトや設備をしっかりと整えることで、スタッフの作業効率や衛生管理、在庫管理など、店舗運営の基盤が強化されます。

飲食店を開業する、あるいは改装を行う際には、是非バックヤード 飲食店という視点を持ちながら、店舗の内装や外観と同じくらい真剣に設計・デザインを検討してみてください。効率的で清潔、そしてスタッフが気持ちよく働けるバックヤードを整えれば、店舗全体のサービスクオリティが向上し、リピーターや新規顧客を獲得する強い武器となるでしょう。
店舗の成長と繁栄を支えるためにも、バックヤードを「経営の要」として位置づけ、最適な設計・デザインを実現しましょう。

当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。

近年、住宅や店舗、オフィスなどでよく目にすることがある「コンクリートをむき出しにした仕上げ」。余計な装飾を排したシンプルな印象と、どこか無機質でありながら洗練された雰囲気が相まって、モダンな空間演出の手法として人気を集めています。
本記事では、コンクリートの躯体をそのまま活かした仕上げの特徴や魅力、メリット・デメリット、そしてメンテナンスの実際などを総合的に解説します。
これから店舗づくりやリノベーションを検討している方や、デザインにこだわりたい事業者の方に向けて、お役立ち情報を幅広くお届けします。

素材感を前面に押し出す仕上げの魅力

そもそもどういう仕上げなのか

塗装や壁紙を貼らず、コンクリートの躯体を直接見せる仕上げ方法を指します。一般的には打設後にパネル(型枠)を取り外した状態のまま、あるいは最小限の補修や保護を施した程度で完成とするケースが多いです。型枠の痕跡や素材特有の色ムラが、意匠として独特の風合いを生み出します。

シンプルかつ力強い美しさ

木材や金属とは異なる、無機質なテクスチャーが魅力のひとつです。装飾を削ぎ落とした大胆な構成を好むデザイナーや建築家にとっては、このスタイルが持つストイックな印象が空間全体の引き締め役となるとして人気です。加えて、あえて塗装をしないことでスッキリとした洗練感を演出できる点も大きいと言えるでしょう。

建築の骨格を楽しむ

コンクリートの壁は、建物の構造そのものが露わになっているようなイメージを与えます。梁や柱、壁面の打設跡などがダイレクトに見えることで、建築物の骨格をダイナミックに感じ取れるという点も多くのファンを獲得している理由のひとつです。

どんな建築物・空間で採用されているか

住宅(戸建・集合住宅)

個人宅でも、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)である場合には、あえて壁紙を張らない選択を取る方が増えています。リビングや寝室など、一部分だけをそうした仕上げにする例もあれば、家全体を徹底的にこだわったテイストでまとめることも可能です。

商業施設・店舗

カフェやアパレルショップ、ヘアサロンなど、トレンド感や個性を強調したい業種で頻繁に見ることができます。光の当たり方によって表情が変化し、背景としても高いポテンシャルを持つため、広告ビジュアルや商品ディスプレイとの相性が良いのです。

オフィス・ショールーム

企業イメージを先進的かつ洗練されたものにしたい場合、事務所の内装に取り入れるケースもあります。ショールームでは、製品のデザイン性を引き立てるため、敢えてコンクリートの躯体を背景に使うといったテクニックも見られます。

デザイン的なメリットとインテリアへの応用

素材が持つ表情を活かす

表面の気泡や色ムラ、型枠の目地跡など、コンクリートの躯体が独自に持つ模様がそのまま残る仕上げは、いわば“世界にひとつだけ”のアート作品のようなもの。壁紙や塗装による仕上げとは違った、唯一無二の表情を生かして空間を個性的に演出できます。

他素材とのコントラストを楽しむ

木の温もりを感じるフローリングや、ステンレス・ガラスなどの光沢ある素材と組み合わせると、互いの質感が際立ちます。たとえば、モノトーン調の什器や照明器具を配置すればスタイリッシュな雰囲気が強調される一方、温かみのある天然木什器を合わせれば、無機質さを和らげつつモダンな印象をキープできます。

ミニマルなインテリアが似合う

余計な装飾性がないため、インテリアをシンプルな方向に振ると空間全体が洗練された印象になりやすいです。雑多な装飾品を並べるとコンクリの良さが埋もれてしまう恐れがあるため、厳選したアイテムで統一感を出すのがポイントです。

外観・内装を計画するうえで押さえておきたいポイント

施工の精度

この仕上げは表層にごまかしがきかないため、施工の丁寧さが仕上がりのクオリティを左右します。型枠の組み方やコンクリの打設手順、脱型タイミングなどに不備があると、気泡やムラが大きく出たり、表面に亀裂が生じたりするリスクも生まれます。事前に実績ある施工業者を選ぶことが重要です。

防水性・断熱性への配慮

外壁として採用する場合は、雨水の浸透や経年劣化を防ぐため専用の撥水剤や塗布材を検討しましょう。また内壁の場合でも、結露や温度変化を考慮して断熱材の配置や防湿対策を行うことで、快適性を確保できます。

汚れやすさと日常の使い勝手

ほこりや手垢、キズなどが意外と目立つことも多く、オーナーにとってはメンテナンスが重要な課題となります。空間の用途によっては傷がつくリスクが高まるため、トップコートを塗るなど対策を検討しましょう。

メンテナンスと耐久性の考え方

表面保護の工夫

無保護のままだと、湿気や汚れがコンクリ表面に入り込む場合があります。そこで専用の撥水剤を塗って表層を撥水加工したり、クリヤー塗装で保護したりする方法が一般的です。これにより、長期間にわたって美観を維持できる可能性が高まります。

定期的な点検

屋内外を問わず、クラック(ひび割れ)が発生していないか、色が変わってきていないかなどを定期的にチェックすることが大切です。万一、大きめのひび割れがあれば、構造上の問題に発展する前に専門家の意見を仰ぐと安心です。

簡単なお手入れ方法

普段の掃除は、ホコリや汚れを拭き取りやすい柔らかい布巾などを使いましょう。洗剤を使う場合は、専用タイプが無難です。強力な薬剤やたわしでのゴシゴシ洗いは、表面を傷つけたりコーティングが剥がれたりする恐れがあります。

コスト・施工面の留意点

必ずしも安価ではない

一見すると「仕上げがいらないから安いのでは?」と思われがちですが、前述の通り施工精度と技術力が要求されるため、必ずしも安くはなりません。型枠の費用や人件費、さらに表面補修や保護材のコストなども考慮する必要があります。

仕上がりに対するこだわり

気泡や打設時のムラを極力少なくするためには、職人のスキルと丁寧な作業が欠かせません。施工期間中に天候が悪いとコンクリが乾燥しづらく不具合が出ることもあります。希望する仕上がりレベルと、施工条件(季節・予算・工期)とのバランスを考慮することが大切です。

既存の建物での改修

リノベーションでコンクリート打ちっぱなしを考えている場合、もともと下地が異なる構造(鉄骨造・木造など)だと対応できないケースがあります。どんな改装が可能かは、専門家に調査を依頼するのが確実です。

居心地に関する声や活用アイデア

冷たさを感じるという声

触感がヒヤッとしたり、視覚的にも無機質に感じたり、「クールだけれども温かみが少ない」という印象を抱く人もいます。対策としては、木材やファブリックなどの柔らかな素材を取り入れ、調和を図るのが一般的です。ラグなどで空間に彩りを加えるだけでも、驚くほど印象が変わります。

照明計画が鍵

コンクリート打ちっぱなしの仕上げは明るさを吸収しがちなので、照明計画が極めて重要です。間接照明やスポットライトを活用し、素材感を引き立てるように設置すれば、重厚なイメージを払拭しながらシャープな陰影を楽しめるでしょう。夜間の光の演出によって、昼間とは異なる魅力が引き出されます。

アート作品や観葉植物との相性

シンプルな背景ゆえに、絵画やオブジェ、緑の植物といったアイテムが映えやすいのも特長です。味気ないと感じる場合は、ぜひお気に入りのアートやグリーンを配置してコントラストを作ることを検討してみましょう。

まとめ

素材そのものを活かすスタイルは、シンプルかつ先進的な印象を与えるだけでなく、建築そのものの骨格を楽しむという醍醐味を味わえます。カフェやアパレルショップのほか、様々な空間でも取り入れられるケースが増え、その人気は高まり続けています。とはいえ、この仕上げは施工に高い精度を要し、適切なメンテナンスを怠ると劣化が進みやすい一面も。

■ 施工の丁寧さや技術力が仕上がりを左右する
■ 結露・汚れ・ひび割れ対策には専用の保護材や定期点検が重要
■ インテリアのコーディネート次第で雰囲気は自在に変わる
■ 費用面や施工条件をしっかり検討し、専門家の意見を踏まえて計画を進める

実用性とデザイン性を両立させた店舗づくりを目指すのであれば、一度この仕上げの可能性を検討してみるのも面白いでしょう。唯一無二の風合いを楽しみつつ、空間に個性をもたらすこの仕上げは、多くの建築・インテリアファンを魅了し続けています。

当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。

店頭で商品がきれいにディスプレイされ、必要なものがすぐに補充されるのは当たり前の光景です。しかし、その裏側では複数の作業や物品管理が同時進行しています。店舗において、一般の来客者には見えない場所ながら、その運営を大きく左右する重要なエリアが存在します。いわゆる「バックヤード」と呼ばれるスペースです。
ここには商品の在庫管理やスタッフの作業スペース、さらにはオフィス機能の一部が集約されていることも少なくありません。一言で“裏方”と言っても、業務効率や衛生管理、スタッフのモチベーションに直結する大切な場所なのです。
本記事では、この領域の基本的な意味や役割、設計上のポイント、そして安全管理の観点などを幅広く解説していきます。

バックヤードの基本的な役割

商品や備品のストック置き場

多くの店舗では、陳列棚に並び切れない在庫品や販促物などを後方スペースに保管しています。ここで効率良く管理されているからこそ、売り場で商品が足りなくなった際に迅速に補充できるわけです。季節ごとの入れ替え商品やセール品のストックもここに集まるため、整理整頓が非常に重要になります。

スタッフの作業エリア

商品の検品や値札の貼り替え、廃棄物の処理、書類作成など、店頭ではできない作業をまとめて行う場として機能します。さらには休憩スペースや更衣室を設けているケースも多く、スタッフにとっては職場環境の“裏の顔”と言えるかもしれません。

セキュリティ面の要

現金や貴重品を一時的に保管したり、鍵の管理を行ったりするなど、防犯面でも役立つスペースです。屋外と直接つながる搬入口を設ける場合もあるため、セキュリティ対策には一段と注意が必要です。

業種による違い

小売店(スーパー・ドラッグストア・アパレルなど)

最も身近な例として、スーパーやコンビニ、ドラッグストア、アパレルショップなどがあります。これらの業態では、多数のアイテムを取り扱うため、在庫を効率的に保管して補充する仕組みが求められます。また、店舗面積が限られることが多く、売り場と裏方をいかにバランスよく配置するかが大きな課題です。

飲食店・カフェ

飲食店の場合、食材のストックに加えて調理器具や備品を管理するスペースが必要です。キッチンとの動線も含めて、バックヤードが整理整頓されていないと衛生管理やスムーズなオペレーションに支障が出やすくなります。小規模店では、厨房の一角がそのまま裏方スペースを兼ねることも多いです。

主な機能とセクションの例

在庫保管エリア

商品や備品の箱が大量に置かれるスペース。ラックや棚を使い、カテゴリー別・賞味期限別など、必要に応じて分かりやすく区分されます。温度管理が必要な冷蔵・冷凍品用の設備を設ける場合もあります。

作業台・ワークスペース

値札を付けたり、販促物をセットしたりするための専用テーブルを置く例が多いです。作業効率を高めるために、よく使う道具や資材は手の届く範囲にレイアウトされ、立ち作業・座り作業のどちらにもしやすい工夫を行うことが望ましいです。

休憩室・更衣室

スタッフがリラックスできる休憩室や制服に着替える更衣室を設置することで、働きやすい環境を整えられます。ロッカーや洗面台、給湯設備など、最低限必要なインフラもここに集約されることが多いです。

事務所・オフィス

小規模店舗では店長がデスクワークを行う場所がそのまま裏方にある場合があります。発注作業やPC業務を行うためのスペースを確保し、レジ管理など機密性の高い書類を扱う場合のセキュリティも考慮されます。

設計・レイアウト時に押さえておきたいポイント

動線計画

売り場とバックヤードをつなぐ扉の位置や通路幅は、スタッフの動きやすさを左右します。頻繁に台車が行き来するなら、衝突を避けるためにある程度の広さを確保したり、通行のルールを決めたりすることが重要です。

アクセス性と防犯対策

荷物の搬入がある場合、裏口や搬入口の位置も重要となります。同時に、外部からの侵入リスクを低減するために、監視カメラやドアロックシステムなどを導入することが多いです。夜間の防犯上、施錠ルールの徹底やシャッターの設置なども考慮されます。

仕分けとラベリング

特に在庫量が多い業態では、バックヤードが「ものが積み上げられただけの混沌とした空間」になりがちです。効率よく管理するためには、細かなラベリングやゾーン分け、棚番の設定などを行い、誰が見てもすぐに目的の品を取り出せる仕組みを構築しましょう。

安全管理とスタッフの働きやすさへの配慮

スリップ・転倒対策

段ボールや備品が通路に散乱すると、スタッフがつまずいてケガをする可能性があります。歩行スペースをきちんと確保し、床が滑りにくい素材を選ぶなど、安全面の配慮を欠かさないようにすることが大切です。

高所作業のリスク軽減

ラックの上段などに荷物を置く際は、踏み台などを使うことがあります。不安定な足場での作業は大きな事故につながりかねません。しっかり固定できる踏み台を用意し、スタッフに正しい使い方を周知徹底する必要があります。

防火・防災対策

多くの段ボールや資材が集まるスペースだからこそ、火災への警戒が不可欠です。消火器の設置や防火扉の整備、非常口の確保など、万が一に備えて対策を講じましょう。また、スタッフに対する避難訓練や消火器使用方法の周知も定期的に実施すると効果的です。

衛生管理(特に飲食系)

飲食店の場合、バックヤードで食品を一時保管することがあるため、ゴミや汚れをため込まないよう頻繁に清掃することが大切です。害虫やネズミの侵入を防ぐための対策として、配管まわりの隙間を塞いだり、定期的に防虫業者に依頼したり、あらゆる対策を検討しましょう。

バックオフィス機能とのすみ分け

バックヤードとバックオフィスの違い

両者は言葉が似ていますが、バックヤードは主に「商品や資材を扱う物理的な裏方空間」、バックオフィスは「経理や人事などの事務作業を担う部門や機能」を指すことが多いです。店舗によっては同じ場所にデスクを置き、事務作業も行う場合がありますが、厳密には異なる領域と言えます。

フロントとバックの連携

店頭(フロント)と事務作業(バックオフィス)、そして在庫保管スペース(バックヤード)。これらが円滑に連携できる体制を整えることで、顧客満足度の向上やスタッフの作業負担軽減が期待できます。特にチェーン店や多店舗展開では、本部との情報共有や在庫の一括管理が欠かせません。

IT技術の活用

在庫データや売上情報をリアルタイムでクラウド管理し、バックオフィス側からも状況をチェックできる仕組みが一般的になってきました。オンライン会議ツールを使って離れた店舗同士がコミュニケーションを取るなど、働き方改革の流れを受けてのデジタル化が進んでいます。

まとめ

店舗運営において、表側の売り場はもちろん大切ですが、実は裏側のバックヤードこそが多岐にわたる作業や在庫管理を支える重要なエリアです。商品や備品の保管、スタッフの作業空間、セキュリティの要など、裏方とはいえ欠かせない機能が凝縮されています。

■ 在庫保管・スタッフ作業・休憩・オフィス業務など幅広い役割を担う
■ 動線や設計をしっかり計画しないと、効率低下やトラブルの元になる
■ 安全管理や衛生面への配慮を徹底し、事故やクレームを防ぐ
■ IT技術を活用し、フロント・バックオフィスとの情報連携をスムーズにする

適切にスペースを設計し、日頃から整理整頓を心がけることで、スタッフは作業しやすくなり、顧客へのサービス品質も向上しやすくなります。店舗面積や業態の違いはあっても、この空間の使い方次第でビジネス全体の効率とイメージは大きく変わるでしょう。もし既存のレイアウトに問題を感じているなら、一度改めて見直すのがおすすめです。適切なバックヤードの設計が、店舗や施設の成功を裏からしっかり支えてくれるに違いありません。

当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。

日本国内はもちろん、海外からの観光客にも人気のある日本文化。その中でも、「和」の伝統美と現代の洗練されたスタイルを融合させた空間デザインは、多くの人を惹きつける魅力を持っています。特に飲食業界では、店舗全体にどこか懐かしさを感じさせる一方で、新鮮かつスタイリッシュな雰囲気を生み出せる“和モダン”が注目を集めています。
本記事では、主に飲食店の内装を和モダンテイストにまとめたいと考えている方々に向けて、デザインの基本的な考え方やポイント、注意すべき点などをわかりやすく解説していきます。
伝統的な要素を取り入れつつも、現代の顧客ニーズに合った空間を作り上げるにはどのようなポイントを押さえるべきか、ぜひ参考にしてみてください。

「和モダン」とは何か

モダンの絶妙な融合

「和モダン」は、文字どおり「和」と「モダン」を掛け合わせた造語です。畳や木材、和紙など日本の伝統的な要素をベースにしながら、直線的なデザインや金属・ガラスなど現代的な素材を部分的に組み合わせることで、シンプルで洗練された空間を演出します。古き良き文化を感じさせつつも、決して古臭さを感じさせないのが最大の特徴です。

なぜ飲食店に向いているのか

和食ブームの高まりや、外国人観光客の増加などを背景に、「日本らしさ」を体験したいというニーズは年々増加しています。そこで、“純和風”にまとめるよりも、モダンテイストを加味することで、幅広い世代にとって親しみやすく、かつおしゃれな空間を作り上げやすいのです。
特に、若年層がお店選びをする際に重要視する「SNS映え」の観点からも、和モダンは非常に映える内装スタイルといえます。

飲食店の内装を和モダンにする際の基本的なポイント

奥深い日本の伝統美とシンプルな現代デザインを結びつけるためには、いくつかのコツがあります。
ここでは、その代表的なポイントを3つに絞って紹介します。

ぬくもりのある内装デザインを意識する

和の空気感を際立たせるためには、木材や和紙といった自然素材の温もりを取り入れることが効果的です。無垢の板を使ったり、畳や和紙を活用したりすると、視覚的にも触覚的にも“ホッとする”感覚を演出できます。
また、布地やクッションなどの柔らかい質感もプラスすれば、長時間の滞在でも疲れにくく、居心地の良い店舗づくりが可能です。

らしさを感じるインテリアを取り入れる

和モダンと呼ばれる以上、和のイメージを連想させるモチーフは欠かせません。
たとえば、格子戸や障子、欄間、組子などを部分的に採用すると、視覚的に日本的な雰囲気が高まります。さらに、伝統工芸品や職人の手仕事が生きる雑貨類をディスプレイとして置くことで、来店者に「和の魅力」を再確認してもらうきっかけにもなります
ただし、やりすぎると「純和風」に寄りすぎてしまい、現代的な洗練さが薄れるため要注意です。

の色彩を踏まえた配色をする

空間の印象は、色使いによって大きく左右されます。
和のテイストを強調したいのであれば、ブラウンやベージュなどのアースカラーをベースにした配色が定番です。床や壁を淡いトーンでまとめつつ、ポイントとして深緑や紺、えんじなどの和色をアクセントに加えると、一気に雰囲気が引き締まります。
全体的には落ち着きのあるカラーを主軸にしつつ、小物や一部の壁面で鮮やかな色を使うとバランスがとれた空間になります。

和モダンテイストの内装を実現するうえでの注意点

美しい和モダン空間を作り上げるには、単に和の要素を盛り込めばいいというわけではありません。以下の点を踏まえることで、長く愛される飲食店づくりが可能になります。

コンセプトの明確化は最優先

「和モダン」の定義は人によって曖昧になりがちです。最初に、「どのような顧客層をターゲットにするのか」「どのくらいの価格帯や料理ジャンルを想定しているのか」など、店舗コンセプトをしっかり固めましょう。そこから逆算して、純和風寄りなのか、それともモダン要素を多く取り入れるのかを検討すると、ぶれのない空間が完成します。

過度に伝統にこだわりすぎない

和モダンの魅力は、あくまで「伝統的な要素をベースとしつつも、現代の使いやすさやスタイリッシュさを兼ね備えている」という点にあります。あまりにも古風な部材や装飾に寄りすぎると、若年層やインバウンドのお客様にはやや敷居が高く感じられる恐れもあります
逆に装飾を削りすぎると、和の味わいが失われて単なるモダン空間になってしまうので、絶妙なバランスを追求することが大切です。

レイアウトとオペレーション導線を考慮する

和風テイストと相性の良い座敷席や掘りごたつ席、カウンター席など、配置によってスタッフの動線やお客様の快適性が大きく変わります。特に、混雑時に窮屈感を感じさせないためには、テーブル間の距離やお座敷の段差位置などを細かく検討する必要があります。
料理ジャンルが鍋物主体なら、掘りごたつ席を多めに配置するなど、メニューと連動したレイアウト設計を行うとスムーズです。

【重点解説】アースカラーを主体とした配色にする方法

ここまでの項目で何度か触れてきたように、和モダン空間の基本となるのが「アースカラー」と呼ばれる自然由来の色合いです。
ここでは、特に飲食店の内装を考える際に役立つ、アースカラー主体の配色を成功させるためのステップを詳しく解説します。

アースカラーとは?

アースカラーとは、土・木・石・植物など、自然界に存在する物質の色味を元にした落ち着きある色の総称です。代表的なものはブラウン、ベージュ、カーキ、グレー、オリーブグリーンなどこれらは明度や彩度を低めに設定した色が多く、目に優しく安定した印象を与えるのが特徴となります。

アースカラーを用いるメリット

■ 落ち着きと温もり
自然を感じさせる色は、見る人の気持ちをリラックスさせる効果があるため、和食やカフェなど“癒やし”が求められる業態にも最適。

■ どんな素材とも調和しやすい
木材・布・紙・コンクリート・タイルなど、さまざまな素材と相性が良く、コーディネートの幅が広い。

■ 長期的に飽きにくい
流行に左右されにくい色合いで、店舗を運営するうえでもリニューアル頻度を減らせる可能性がある。

ベースカラーを決める

アースカラーによる空間づくりでは、まず「ベースカラー」を明確にすることが重要です。ベースとなる色を壁や床、天井などの広い面積に使用し、他の色を差し色として加えていく形が基本になります。

■ 壁や床には明るめのブラウンやベージュを
壁に濃い色を使いすぎると空間が暗くなりがちなので、床よりもワントーン明るめのベージュや薄いグレーなどを採用すると圧迫感を軽減できます。

■ 天井はさらに明るいトーンで
飲食店の天井を暗くすると、閉鎖的な印象を与えることがあります。白寄りの明るいアースカラーを選ぶか、木目が目立たない薄い色を塗装するなど、開放感を大切にしましょう。

アクセントカラーに和色を取り入れる

単一のアースカラーだけだと、空間が単調になりやすいため、部分的に“和”を連想させる伝統色を差し色として使うと効果的です。
たとえば、えんじ色(深い赤)や藍色、山吹色、薄い桜色などが代表的な和色といえます。

■ クッションや壁飾り、のれんなどに差し色を使う
大面積に派手な色を使うと浮いてしまうため、小物やファブリック、インテリア雑貨などで取り入れるのがおすすめ。

■ ロゴや看板にも活用する
店舗のブランドイメージを強化するうえでも、差し色をロゴデザインと連動させれば一貫性が出て印象が深まります。

素材との組み合わせで印象が変化する

アースカラーの配色を主軸にしていても、組み合わせる素材によって空間の雰囲気が大きく変わります。

■ 木材×ベージュ×薄グレー
典型的な和モダンのパターンで、自然の温かみと洗練された印象を両立。木目が目立つフローリングや柱に、壁や天井は柔らかいベージュ・グレーを合わせるイメージ。

■ 和紙×淡いブラウン
和紙特有の質感とアースカラーは相性抜群。壁に和紙を貼るだけで、空間が柔らかく優しい光に包まれる。

■ 石材×濃いブラウン
若干高級路線を狙うなら、石やタイルを用いて重厚感を出しつつ、濃いめのブラウンやダークグレーを合わせると、シックな大人の雰囲気になる。

照明の色温度と演出を考える

アースカラーをベースにした空間では、照明による演出が非常に重要です。暖色系の電球色を使うと自然素材の質感が引き立ち、食事がおいしそうに見える利点があります

■ 間接照明を活用する
壁や床面、天井付近に間接照明を仕込むと、素材の表情や色合いを陰影とともに楽しめるため、より豊かな空間演出が可能になります。

■ カウンターまわりはスポットライトで“見せる”
お酒や料理が並ぶカウンター部分は、ややスポット的に照明を当てると華やかさがアップ。そこにアースカラーを使った装飾を加えると、落ち着きと見栄えが両立した仕上がりになります。

まとめ:和モダンで差をつける飲食店の内装づくり

「日本らしさ」を前面に押し出しながら、現代的なテイストで洗練された空間を提供できるのが、和モダンの大きな魅力です。飲食店が持つ料理やサービスのコンセプトをしっかり踏まえたうえで、アースカラーや伝統モチーフをバランス良く取り入れれば、国内はもちろん海外からのゲストにとっても「また来たい」と思わせる特別な場所になるでしょう。
皆さんの店舗が、和モダンデザインを通じて多くのお客様の心に残る素敵な空間となることを願っています。

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韓国料理は、唐辛子の辛みを中心とした味わいだけでなく、ビビンバやチヂミなどの彩り豊かな見た目や、屋台のように賑やかなムードも大きな魅力です。日本国内でも続く韓国ブームを背景に、「本場っぽい雰囲気」を求める顧客の期待はますます高まっていますでは、韓国らしさを存分に感じさせる飲食店をつくるには、具体的にどのような内装プランを考慮すれば良いのでしょうか。
本記事では、韓国料理店の開業やリニューアルを検討している方向けに、韓国らしい内装を実現するためのポイントと、実際に施工・運営する際に押さえておきたいノウハウをまとめました。
「料理は美味しいのに内装がイマイチでお客様の印象に残らない……」という状況を避け、唯一無二の韓国テイストを演出できるヒントを詳しくお伝えします。

韓国らしい内装が必要とされる理由と下準備のステップ

韓国料理店の成功を左右するのは、もちろん料理の味や接客の質も大切ですが、「雰囲気づくり」が大きなウエイトを占めるのは言うまでもありません。
ここでは、韓国らしい内装を取り入れることの意義と、具体的な準備の流れを解説します。

韓国料理店で内装が果たす役割

■ 視覚で感じる“韓国の世界観”
日本の飲食店にとって内装は、いわゆる「お店の顔」です。韓国料理における赤色やスパイス感の強いメニューは、口や鼻で楽しむだけでなく、見た目でも大きく影響を与えます。さらに店内に入った瞬間から、韓国に来たような雰囲気を感じ取ってもらえるかどうかは、壁材や家具、照明などのデザイン次第といっても過言ではありません。

■ SNS時代への対応
InstagramやTikTokなど、映える写真や動画を撮りたいお客様が増えている昨今では、内装は“広告塔”としての役割も持ちます。フォトジェニックなスポットや独特の色使いがあれば、ユーザーが自然に投稿してくれて宣伝効果につながるでしょう。

内装計画の大まかなステップ

⑴ コンセプトの確立
「どんなターゲット層を主に呼び込みたいのか」「屋台風のカジュアル路線か、高級感あるモダンな路線か」など、お店の方向性を明確にします。メニューや価格帯とのバランスも重要です。

⑵ 予算とスケジュールの検討
内装工事費は設備の新設や素材グレードにより変動します。費用を抑えつつも必要な部分にはしっかり投資し、工事期間に余裕を持たせましょう。

⑶ 業者選び・プランニング
韓国料理店の実績がある業者や、飲食店の動線設計に強いデザイナーを複数リサーチし、見積もりや提案内容を比較します。お店のイメージを具体的に伝えられるよう、写真や参考イメージを用意しておくとスムーズです。

⑷ 施工開始~細部の仕上げ
解体工事→設備工事→内装仕上げ→什器備品の配置という流れで進行します。照明や壁紙など、実際に施工が始まってから「イメージと違う」とならないよう、こまめに現場を確認しましょう。

韓国料理店の内装を魅力的にする7つのキーポイント

どのようなコンセプトの韓国料理店であっても、内装をデザインするうえで共通して押さえておきたい要素があります。
ここでは、7つのポイントに絞って解説します。

コンセプトとターゲットの設計

■ 本場の屋台風か、現代的なカフェ風か
まずはお店のスタイルをはっきり決めることがすべての基盤になります。たとえば「韓国の大衆酒場を再現したい」というのと、「ソウルのオシャレなカフェのような店を目指す」というのとでは、必要な建材や家具、照明デザインがまったく異なります。

■ ターゲット層とのマッチング
若者向けなら原色やポップな要素を多めに、大人向けならシックで落ち着いた空間、といった具体的な方向性を決めましょう。

お客様とスタッフの動線設計

■ お客様の動線
席への案内からトイレの場所まで、できるだけ迷いにくい設計が大切です。韓国料理は人数でシェアする鍋料理が多いので、テーブルのサイズや配置が狭すぎるとお客様がストレスを感じる可能性があります

■ スタッフの動線
鍋や焼肉セットなど、熱くて重い器具を運ぶことが多いため、スタッフがスムーズに移動できるルートを確保しなければなりません。キッチンからホールへの導線が複雑だと、接客にも支障が出ます。

照明効果の理解と活用

■ 料理をより美味しそうに見せる照明
キムチやヤンニョムチキンなど、赤い料理が多い韓国メニューの場合、暖色系の照明を当てると彩りが鮮やかに際立ちます。

■ 間接照明やネオン看板
韓国ドラマで見るようなネオンやLEDを部分的に取り入れると、一気に“韓国っぽさ”が増します韓国の若者文化を表現するうえでも人気の演出です。

カラースキームや質感の工夫

■ 赤を“主役”にしすぎない工夫
韓国らしさを出そうと赤を多用すると、店内が落ち着かない空間になることも。壁や床をニュートラルな色味にしておき、看板やクッション、テーブル装飾など一部に赤を使うことで、ポイントを絞った華やかさを演出します

■ ウッド調やレンガ調で温かみをプラス
家庭的な印象や屋台風のレトロ感を狙うなら、木目の壁材やレンガ風のクロスが有効。これらを貼るだけで、ぐっと“庶民的でほっとする”雰囲気に近づけます。

機能性を考慮した設備と内装材

■ 機能性とデザインのバランス
辛味のあるソースやオイルなどを使う韓国料理は、油跳ねやスープのこぼれが起こりやすいもの。壁紙や床材は、汚れを拭き取りやすく耐久性の高いものを選ぶと、清潔な空間を保ちやすくなります

■ 換気設備の重要性
特に焼肉やサムギョプサルなど煙やにおいが強い料理を提供する場合、排煙やダクトの配置が店の評判を左右するといっても過言ではありません。空気のこもりを防ぐためにも、ダクト工事にはしっかり予算を配分しましょう。

ファサードとのバランス

■ 看板やファサードで期待感を高める
路面店なら、店の入り口を通りがかった瞬間に「ここって韓国料理店?」とわかるようなデザインを心掛けます。韓国語の店名サインやネオンサインをあしらうだけで、「韓国らしさ」を効果的にアピール可能です。

■ “内装”と“外装”のギャップに注意
外からは大衆的な印象なのに、中は高級感あふれるつくりだと、お客様が違和感を覚えるかもしれません。外観と内装のコンセプトはできるだけ統一しましょう。

SNS映えを意識したディスプレイ

■ フォトスポットの演出
インスタやTikTokに載せたくなるような壁紙、アート、ネオン看板などをピンポイントで配置すると、若年層が喜ぶ空間になります。

■ 小物の統一感
コップや箸置き、卓上装飾など、細部まで韓国らしさを感じられると「ここは本気だ」と評価が高まります。可能なら、韓国で実際に買い付けたアイテムやポスターを飾るのもよいでしょう。

内装工事費用のコストカットのヒント

内装工事費用は厨房や設備、内装素材のクオリティによっては大きく上下します。
以下で詳細を見てみましょう。

費用を左右する要素

■ 設備工事
換気や排煙ダクト、空調システムは韓国料理で特に重要。煙やにおい対策が不十分だとクレームに直結する可能性が高いです。焼肉や韓国鍋がメインなら、卓上コンロや排煙フードなど特殊な設備が必要になるケースも多くあります。

■ 仕上げ材のグレード
床や壁の素材、照明器具の種類、テーブルや椅子など什器のデザインなど、どこでこだわり、どこで妥協するかの取捨選択が鍵です。

■ デザイン費
オリジナルのロゴや看板、特注家具などを依頼すると、工事費に加えデザイン料もかかります。

コストを抑えるためのアイデア

■ 居抜き物件を探す
すでに飲食店だった場所を借りると、水回りや厨房の大部分が使える場合があり、初期費用を大きく節約できます。

■ DIYで仕上げを補う
壁紙の一部、装飾小物の塗装など、プロの手が不要な領域は自分たちで作業する方法も検討できます。ただし、消防法や建築基準法に関わる部分には手を出さず、プロに任せるのが鉄則

■ 中古家具や備品の活用
テーブルや椅子の一部をリサイクルショップやネットオークションで調達すれば、費用を圧縮できます。韓国風の小物は直接韓国から取り寄せたり、専門ショップでセール品を探したりなどの工夫が必要です。

複数の会社と交渉

内装工事は業者によって価格が大きく変わることがあります。相見積もりを取ることで、相場やコストカットのポイントが明確になります「安すぎる」のも不安ですが、「高額なのに説明が不十分」な場合も問題です。
金額だけでなく、提案内容やアフターサポートも総合的にチェックしましょう。

運営の成功を左右する仕上げとメンテナンス

内装工事が完了して開店すれば終わり、というわけではありません。韓国料理店としての魅力を長期的に保つには、日々のメンテナンスや細かいアップデートも欠かせないのです。
最後に、運営フェーズで気をつけるポイントをお伝えします。

メンテナンスと雰囲気維持

■ 定期的な清掃と換気チェック
油や匂いが染みつきやすい韓国料理では、床や壁、空調設備などに汚れが溜まりやすくなります。繁忙期ほど掃除がおろそかになりがちですが、清潔感はリピーター獲得に直結するため、スタッフへの徹底教育が必要です。

■ 小物やディスプレイの季節替え
韓国のイベント(例:ソルラル〈旧正月〉やチュソク〈秋夕〉)にあわせて装飾を変えるなど、定期的に店内をアップデートすれば、飽きさせない演出ができます。小さな変化でもSNSで話題になる可能性大。

早期発見・対処が未来のコストを減らす

内装の劣化や設備トラブルは放置すればするほど修理費がかさみます。壁の剥がれや水漏れ、換気不良を見つけたら、早めに業者を呼んで対処するのが結果的に安く済む方法です。「あれ、おかしいな」と思ったら即相談。この小さな心がけでお店の健康寿命は格段に伸びます。

おわりに

韓国料理店を成功させるうえで、内装が及ぼす影響は非常に大きいもの。激戦区であっても、お店が一歩抜きんでるための大きな差別化要素になり得ます。
本記事で取り上げたポイントを参考に、料理の魅力を最大限に引き立て、お客様に「韓国旅行に来たような体験」を提供できるお店づくりを目指してみてください。結果として、SNSでの話題性や口コミ効果、そして確かなリピーターの増加へとつながるはずです。

ただ、韓国の要素を取り入れるといっても、その幅は実に多彩です。「真似してみたい」と感じる事例を組み合わせたり、日本ならではのエッセンスをミックスしたりして、オリジナルのコンセプトをしっかり打ち出しましょう。
まずは、内装全体の方針と予算、施工スケジュールをきちんと固め、信頼できる施工業者とともに具体的なデザインプランを練り上げていくことが、理想の韓国料理店への第一歩です。

当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。

飲食店やカフェ、レストランなど、お客様に「ここで食事をしたい」「また来たい」と思ってもらうためには、美味しい料理を提供するだけでなく、居心地の良い空間を作り上げることもとても大切です。その空間づくりにおいて、大きな役割を果たすのが“色”です。
色は私たちの心理に大きく影響し、食欲や気分、そしてお店への印象を左右します。たとえば、店内が暗い雰囲気だと落ち着ける反面、「なんだか入りづらい……」と感じられるかもしれません。一方で、明るい色彩にあふれたお店は活気があり楽しげですが、使い方を誤ると落ち着きに欠ける可能性もあります。
本記事では、“店舗デザインにおける色の役割”をテーマに、色彩の基礎知識から具体的な配色例、ターゲット層別の色選びのポイント、さらには器(テーブルウェア)の色まで詳しく解説していきます。
色の持つ心理効果を理解すれば、より多くのお客様に「居心地のいい空間」と感じてもらい、結果として集客力アップや客単価向上にもつながるでしょう。

なぜ色選びが大切なのか

視覚情報は人の感覚の8割を占める

私たちは五感を通じてさまざまな情報を得ていますが、その中でも視覚が占める割合は約8割ともいわれます。つまり、人が空間や物を認識するとき、最も影響を受けるのは「見た目」なのです。そして、「見た目」を大きく左右するのが“色”の存在です。

空間デザインが与える印象は売上にも関係

料理の味や品質はもちろん重要ですが、人は無意識に色や照明、インテリアといった要素から「お店の雰囲気」や「料理が美味しそうかどうか」を判断しています。色づかいが洗練されていると、料理の魅力が引き立ちやすくなり、逆に合わない色配分だとせっかくの料理が映えない可能性も。結果的に売上やリピート率にも影響しかねないため、色の選び方は意外と侮れないポイントなのです。

色彩の基礎知識:暖色・寒色・無彩色、進出色・後退色など

暖色系(赤・オレンジ・黄色など)

■ 特徴  :温かみや活気を感じさせる
■ 心理効果:「エネルギッシュ」「元気」「食欲増進」など
■ 使い所 :店内全体やサイン、看板のメインカラーにしやすい

寒色系(青・水色・紫など)

■ 特徴  :涼しげでクールな印象
■ 心理効果:「落ち着き」「清潔感」「食欲減退」など
■ 使い所 :アクセントカラーとして部分使い、あるいは清涼感を打ち出したいお店向き

無彩色(白・黒・グレーなど)

■ 特徴  :鮮やかな色を引き立てるサポート役
■ 心理効果:白は清潔感、黒は重厚感・高級感、グレーは落ち着きや都会的なイメージ
■ 使い所 :ベースカラーやインテリアなど、どんな色とも合わせやすい

進出色と後退色

■ 進出色(暖色系や明るい色):前に飛び出して見える色で、空間を狭く感じさせる反面、活気を演出しやすい。
■ 後退色(寒色系や暗めの色):後ろに引っ込んで見える色で、空間を広く感じさせる効果がある。

膨張色と収縮色

■ 膨張色(明度の高い色):白やパステルカラーなど、実際より大きく見せる効果がある。天井や壁に使うことで開放感を演出。
■ 収縮色(明度の低い色):黒やダーク系カラーは空間を引き締め、シックで落ち着いた雰囲気に。

色と食欲の関係:増進させる色&抑える色

「色を見ると食欲が刺激される」「この色を見ると食欲が落ちる」といった話は、色彩心理学や実験データでも裏付けられています。
ここでは、主に食欲増進・減退に関わる代表的な色を挙げてみましょう。

食欲を増進させる色:赤、オレンジ、黄色、ピンク、緑

赤やオレンジは脳を刺激し、「お腹が空いてきた」という感情を起こしやすいとされています。

食欲を抑える色:青、黒、灰色

青は脈拍や血圧を下げ、気持ちをクールダウンさせる効果があるため、食欲が落ちやすいといわれます。黒や灰色は心理的に重さや沈静化をもたらし、同じく食欲増進とは逆方向に作用します。

店内に取り入れたい色の特徴とイメージ

赤:エネルギーを与え、食欲を刺激する代表格

赤は人間の本能に訴えやすく、視覚的にも非常に目立つ色です。
ファストフード店や活気のある居酒屋などで多用されるのは、回転率を高めたり賑やかさを演出したりしたいからです。ただし、長時間ゆっくりしてほしいお店では、赤ばかりが強すぎると落ち着きが失われる可能性があります。
壁一面を赤にするのではなく、アクセントとして部分的に使うと効果的です。

オレンジ:温かみと活発さを演出

オレンジは赤よりも穏やかで、明るい雰囲気を作り出します。
人と人とのコミュニケーションを活性化させる色ともいわれ、会話が弾む空間を求めるカフェやファミリーレストランに向いています。また、食欲をしっかり高めつつも、赤ほどの刺激は強くないため、幅広い客層に好まれるのもオレンジの魅力です。

黄色:元気さと開放感、視認性抜群

黄色は最も目立ちやすい色の一つで、看板や外観に用いれば遠目からでもお店が認識されやすくなります。
店内では、人を明るい気分にさせる効果が期待できます。ファミリー向けのお店やスイーツ系のお店など、ポップさやフレンドリーさを打ち出したいときにおすすめです。

青:涼しさと清潔感を与えるが、食欲を抑えがち

青は寒色で、食欲を抑制する傾向にあります。しかし、「クールで清潔感がある」「涼しげ」といった良さもあり、ヘルシー志向のカフェやシーフード系のお店などでは差し色としてうまく使うと面白いでしょう。
店全体を青にするよりは、ポイントで取り入れて爽やかさを演出するのがおすすめです。

緑:自然を感じさせ、リラックス効果をもたらす

緑は植物や森林を連想させるため、「健康的」「癒し」といったイメージが強い色です。
サラダや野菜料理がメインのヘルシーレストランなどで多用すると、そのコンセプトがよりお客様に伝わりやすくなります。
ただし、濃い緑ばかり使うと暗くなりがちなので、明るいグリーンとアクセントカラーを組み合わせて明るさをプラスしましょう。

黒やグレー:高級感・スタイリッシュさを演出

無彩色の中でも特に濃い色である黒やダークグレーは、落ち着いた雰囲気やモダンな印象を与えます。
高級レストランやバー、シックなカフェなどで多用されるのはこのためです。ただ、暗い色ばかりだと圧迫感を感じたり、料理が美味しそうに見えなかったりする可能性もあります。
照明の工夫や差し色とのバランスが不可欠です。

居心地の良さを演出する空間づくりのコツ

照明は暖色系をベースに

照明の色温度は、店内の雰囲気や料理の見え方に大きな影響を与えます。
LEDの白色照明は省エネで明るい一方、料理の色をやや冷たく見せる傾向があります。そこで、オレンジ系や電球色に近い暖色系の照明を使うことで、食事がより美味しそうに見え、人の肌も健康的に映り、居心地の良さを演出できます。

上側を明るく、下側を落ち着いた色に

空間に開放感を持たせるためには、天井部分や上側をできるだけ明るい色でまとめ、下に行くにつれて濃い色を配置するのがおすすめです。
天井を暗くすると圧迫感を与えることがあるため、明度の高い色を使うことで高さが感じられます。逆に床やカウンター下部分を少し暗めにすると、空間に落ち着きをプラスできます。

配色は3色以内に抑える

あれもこれもと複数の色を使いすぎると、ごちゃごちゃした印象になりがちです。
基本的には、ベースカラー(壁や床など大面積)・サブカラー(家具や椅子、テーブルなど中面積)・アクセントカラー(小物や装飾など小面積)の3色に絞ると、統一感のある洗練された雰囲気を作れます。

ターゲット層やコンセプト別の色選び

若いカップルや女性を意識するなら

明るく清潔感のある空間を好む傾向が強いので、白やアイボリー、パステルカラーなど優しいトーンをベースにするとよいでしょう。
差し色にピンクやラベンダーなどを使うと、可愛らしさやトレンド感が引き立ち、インスタ映えを狙いやすくなります。

中年以上の男性を意識するなら

落ち着いた雰囲気や大人の高級感を好む場合は、黒やダークブラウン、深いグリーンなどをメインカラーに据えるのがおすすめです。
差し色にゴールドや深い赤などを使うと、上品さが増して「大人の隠れ家」的な演出もしやすくなります。

ファミリー向け店舗なら

子連れのお客様も過ごしやすいよう、ポップなオレンジや黄色、明るいグリーンなどを取り入れると、温かみと楽しさが感じられます。
ただし、あまりに原色が多いと落ち着きがなくなるので、白やベージュをベースにしてバランスをとると良いでしょう。

レストランにおすすめのカラーとポイント

レストランはメニューの幅が広く、比較的どんな色合いにも合わせやすい一方、「食欲をそそる色」を取り入れるのが基本です。たとえば、以下のポイントを参考にしてみてください。

暖色は食欲を刺激する

赤やオレンジ、黄色などを店内のどこかに配置しておくと、料理が一層美味しそうに見えます。

自然を感じる色でリラックス

お客様に長く滞在してもらい、客単価を上げたいのであれば、グリーンやブラウンなどのナチュラルカラーを組み合わせて落ち着いた空間づくりを意識しましょう。

トーンの違いで高級感やカジュアル感を演出

同じ赤でも、深いワインレッドなら落ち着いた高級感、トマトレッドならカジュアルで親しみやすい印象に。メニューや価格帯に合わせて、どのトーンを使うかを決めることが重要です。

青系カラーを使うときの注意点

青系の色は食欲減退のイメージがあるため、店舗のメインカラーとして大々的に使うのはあまりおすすめできません。しかし、爽やかさや清潔感をアピールしたいのであれば、適度に差し色として取り入れるのも一手です。

ユニフォームやテーブル小物など部分使い

壁全体や家具に使うのではなく、店員さんのエプロンの一部やテーブルクロスの端、メニューのデザインなど、視線に入りすぎない部分にアクセントとして取り入れると効果的。

目線より下に入れる

テーブルや椅子の下部など、あまり料理と直接絡まない位置に青を配置すれば、食欲を損ないにくい一方で清潔感やクールな印象をさりげなく出せます。

食器の色にもこだわるメリット

白い食器が定番の理由

料理を盛り付ける食器の色も、食欲や料理の見栄えに大きく関わります。
最もスタンダードなのは白い器です。どんな料理とも相性が良く、彩りを引き立てるため、フレンチやイタリアンはもちろん、和食でも使われる場面が多いです。
器の色に迷ったら白を基軸にすると失敗が少ないでしょう。

アースカラーで差別化を図る

ベージュやグレー、ブラウンなどのアースカラーは、自然の温もりや独特の落ち着きを演出します。
白い食器だけだと他店との違いが出しにくいですが、アースカラーの器を選べば、料理にこだわるお店や上質感を訴求したいお店などで「ひと味違う演出」が可能です。
ただし、暗すぎる色だと料理が美味しそうに見えにくいケースもあるため、料理の色合いとの相性を確認しながら導入しましょう。

目立つ色で集客力を上げる方法

店舗の認知度を上げるためには、「遠くからでも目につきやすい色」を外観や看板に使う手法が効果的です。特に赤や黄色、オレンジなどの暖色系は、人の目を引く力が強いとされます。

ターゲット層の好みに合う色かを考える

若年層やファミリー層はカラフルな色を好む傾向があり、中高年層は落ち着いた色を好むケースが多いです。看板の色と店内の雰囲気があまりにもかけ離れていると、「外観とのギャップ」で入店をためらわれる可能性もあるので要注意。

エリアの雰囲気とマッチさせる

周辺地域に多い店舗の色使いや通行量、客層などをリサーチし、より効果的に目立つ色を検討してみましょう。

外装と内装のイメージを統一する

看板だけ派手で中が落ち着きすぎているとギャップを感じさせるため、お店のコンセプトや主張したいメッセージを一貫させることが大切です。

居心地の良さと色の関係性

安心感を与える色

ブラウンやベージュ、アイボリー、グリーンなどは「自然」「柔らかさ」を連想させるため、安心感やリラックス感をもたらしやすいです。
客席のソファや椅子などに温かみのある素材と組み合わせて取り入れれば、より快適で長居したくなる空間を作れます。

緊張感を与える色

赤や黄色、青、黒は強いインパクトや刺激を与えます。刺激的な雰囲気にしたいのか、シックで高級感のあるイメージを演出したいのかによって、使う色を調整しましょう。
赤や黄色は活気を生み出すのに適しており、黒は高級感やクールさを演出する一方、使い方を誤ると暗く閉鎖的にもなり得るため要注意です。

まとめ:色の使い方でお店の魅力は大きく変わる

お店の空間づくりにおいて、色彩が及ぼす効果は想像以上に大きなものです。

■ 食欲を高めるなら暖色系(赤、オレンジ、黄色など)
■ 落ち着きを与えるなら無彩色やアースカラーとの組み合わせ
■ 差し色として青を使うと清潔感や爽やかさをプラスできる

照明の色温度や壁・床の配色バランス、ターゲット層のニーズを考慮しながら、適切に色を配置すれば、「居心地が良くて、料理がおいしそうに見える」空間をつくることができます。そして、食器の色や看板の色、ユニフォームの色まで含めて統一感をもたせると、お客様に与える印象がいっそう強固になるでしょう。
また、どんなに「おしゃれ」な色づかいでも、お店のコンセプトや料理ジャンルと合っていなければ逆効果です。大切なのは、「このお店でどんな時間を過ごしてほしいか」を明確にしたうえで、色の心理効果を活用すること。そうすることで他店舗との差別化を図り、お客様にとって「また行きたくなる」場所を提供できるのではないでしょうか。

ぜひ、色彩の持つ力を上手に活かして、お店の魅力を最大限に引き出してください。色の使い方次第で、お店の雰囲気や売上、リピート率まで大きく変わる可能性があります。
今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ自分の店舗で試してみてはいかがでしょうか。きっと「色を意識した空間づくりをやって良かった」と感じる結果につながるはずです。

当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。

飲食店において「カウンター」の役割は非常に重要です。客席数の調整はもちろんのこと、ライブ感を演出したり、スタッフとのコミュニケーションを促したりと、デザインひとつでお店全体の雰囲気や売上に大きな影響を与えます
本記事では、カウンターの形状・素材選び、デザインのポイントや、業態別におすすめのデザインなど網羅的にご紹介。新規開業やリニューアルを検討している方はぜひ参考にしてみてください。

飲食店におけるカウンターの役割

ライブ感を演出する

カウンター最大の魅力は、調理の様子を間近で楽しめる「ライブ感」です。寿司店なら職人がネタを扱う姿、バーならバーテンダーがカクテルをシェーカーで振る姿など、「見せる調理」はお客様のワクワク感を刺激します。
このライブ感が特別な体験になるため、再来店のきっかけをつくりやすく、SNS映えする写真や動画が拡散されることも期待できます。

コミュニケーションを促進する

カウンターはスタッフとお客様の距離が近く、声をかけやすいのが特長です。ドリンクや料理の提案をすぐに行えたり、何気ない会話から常連を増やすきっかけをつかんだりと、接客面で大きなメリットがあります。こうした「人と人とのつながり」が店の雰囲気を温かくし、リピーターづくりにも寄与します。

スペースの有効活用・人件費の削減

カウンターは厨房と客席が繋がっており、スタッフの移動距離が短くなるため、オペレーションを効率化できます。また、少人数でも切り盛りしやすく、人件費を抑えたい飲食店にも人気が高いです。

カウンター設計で意識すべきポイント

カウンターの高さが居心地を左右する

カウンターの高さは業態・客層に合わせて決めます。

■ハイカウンター(約1000〜1100mm)
バーやスタンド形式で短時間の利用が中心の場合に向いています。回転率を上げたい店舗でも導入されやすい形です。

■ローカウンター(約700〜800mm)
ゆったり座って長時間食事を楽しんでもらいたい店に適しています。クッションの効いた椅子や背もたれ付きのチェアを組み合わせるとくつろぎ度がさらに高まります。
実際には座面の高さや足置きとの関係が大切なので、同時に椅子の選定もすすめるようにしましょう。

奥行きと横幅のバランス

■ 奥行き
カウンターの奥行きが広い場合、テーブルウェアやグラスをゆったり配置でき、お客様もリラックスして食事を楽しめます。
一方、スペースを取り過ぎると通路幅を狭めてしまう可能性があるので注意が必要です。

■ 横幅
1席あたりの横幅を狭くしすぎると、お客様同士が接触する可能性が増えて居心地の悪さにつながります。最低でも550〜600mmほど確保し、できれば余裕を持たせるのが理想です。

素材選びでお店のイメージを演出

店舗のコンセプトに応じて、木材・左官・メラミン化粧板などさまざまな素材を検討しましょう。
たとえば「温かみのある空間にしたい」なら無垢材を、「スタイリッシュな雰囲気を出したい」ならモルタルを活用するなど、イメージに合った素材を選定します。

見せる部分と隠す部分を計画的に

オープンキッチンの要素が強いカウンターでも、すべてを見せる必要はありません。調理器具や備品類を隠す収納スペースをカウンター内に設けたり、お客様の視線に入らないような仕切りを作ったりと、「見せたい部分」と「見せたくない部分」を分けて設計することが大切です。

カウンターの形状による特徴

I字型:シンプルな定番スタイル

一直線に伸びるI字型は、限られたスペースでも導入しやすく、バーカウンターや小規模カフェなどで重宝される形状です。
奥側にスタッフが立つことで、スタッフ背面に備品やドリンク類をまとめて配置し、お客様とのコミュニケーションもしやすくなります。

L字型:ライブ感と席数を両立

L字型はコーナー部分まで座席として使えるため、I字型に比べて席数を増やしやすいのがメリットです。
また、角があることでお客様が職人やスタッフの動きを異なるアングルから眺められ、ライブ感が高まります。寿司店や鉄板焼き店でよく見られるレイアウトです。

コの字型:オペレーション効率が高い

スタッフが中央に立つ形になるため、どの座席にもすぐ対応できる点が特長です。回転率が重視される牛丼チェーンやラーメン店などでも採用されるレイアウトで、短時間で多くの客をさばく効率性に優れています。
お客様同士も向かい合う形になるので、賑やかな雰囲気を作りたい店にも向いています。

飲食店カウンターで人気の素材

木材(無垢材・合板など)

木材は、ナチュラルな温かみや高級感を演出できる素材の代表格です。

■ 無垢材
一枚板などを用いると存在感が際立ち、和食店や上質なバーなどで人気。経年変化も楽しめます。

■ 合板や集成材
コストを抑えながら木の質感を取り入れたい場合に有効です。

左官

無骨でスタイリッシュな雰囲気を出したい店舗におすすめ。表面の仕上げによって印象が変わり、ひび割れ防止や防水加工などをしっかり行う必要があります。カフェやバルなど、若い層をターゲットにした業態で人気が高まっています。

メラミン化粧板・人工大理石など

メラミン化粧板は耐水性や耐久性に優れ、汚れも落ちやすいことから、チェーン店やファミリー向けの飲食店でよく採用されています。
人工大理石は清潔感と高級感があり、上品なレストランやパティスリーなどで使われることが多いですが、コストがやや高めというデメリットもあります。

カウンターで差別化を図るデザインアイデア

一枚板による特別感の演出

寿司店や割烹など、高級店のイメージを打ち出すなら、一枚板を使った無垢材カウンターがおすすめです。木目の美しさや素材の質感を活かしたデザインは、「この店にしかない」特別な空間をつくり出します。

屋外カウンターで新しい楽しみ方を提供

スタンドカフェなど、屋外で軽く食事やドリンクを楽しめる屋外カウンターも注目されています。
海外のストリートスタイルを意識した演出や、好天時にオープンエア感を味わえるなど、他店との差別化に有効です。
ただし、天候の影響を受けやすいため、雨除けやヒーターの設置など配慮が必要です。

パーソナルスペースや仕切りの工夫

カウンターは隣のお客様との距離が近くなるため、気になる人にはストレスになることも。そこで、部分的に仕切りを設ける・荷物を置けるスペースを設けるなどして、度なパーソナルスペースを確保すると居心地が向上し、リピーター獲得につながりやすくなります。

施工の流れ

複数の業者に相見積もりを取る

カウンター工事を含む内装工事では、1社だけでなく複数社から見積もりを取り、内容と価格を比較検討しましょう。
使用素材や仕上げ方法、工期の長さなど、条件をしっかり確認して選ぶことが大切です。

施工スケジュール

オープンやリニューアルの日程が決まっている場合は、最低でも2か月前には工事の打ち合わせをスタートするのが理想です。
カウンターの造作にはオーダー要素が多く、材料の準備や施工時間を考慮すると、想定より日数がかかることもあります。余裕を持ったスケジュール管理を行いましょう。

予算オーバー時の対処法

見積もりが高額になりすぎた場合でも、素材の変更や既存カウンターを再利用しての塗装リメイクなど、コストダウンの方法はあります。
業者と相談のうえ、予算内で最大限のクオリティを実現する工夫を検討しましょう。

業態別のカウンターデザインの考え方

バー・居酒屋

バーではハイカウンターが定番で、照明は暗めにしてお酒やバースツールが映える演出が主流。おしゃれなバックバー棚でボトルをディスプレイすると、一気に雰囲気が高まります。
居酒屋はローカウンターやミドルカウンターで、ゆったり座れるデザインにすることが多いです。常連客との会話も弾みやすいL字型やコの字型を採用する居酒屋も増えています。

寿司店や和食店

無垢の一枚板や天然木を使ったカウンターで高級感を演出。板前が料理を仕上げる手元をお客様がしっかり見られるような高さ設定や照明計画が重要です。座席の感覚はゆとりを持たせ、落ち着いた空間づくりを目指します。

ラーメン店・牛丼チェーン

回転率を高めるために、ハイカウンターやコの字型カウンターが採用されることが多いです。お客様がサッと食べて帰るイメージなので、長時間の滞在は想定しません。スタッフの作業動線を短くする工夫もポイントです。

カフェ

ソファやクッションの効いた椅子を使ったローカウンターなら、長居しやすい空間を演出できます。お店の雰囲気に合わせて素材選びを行い、雑貨や小物をディスプレイしてフォトジェニックな空間づくりをするカフェも多いです。

カウンター導入の注意点とまとめ

店舗コンセプトとの統一感が重要

カウンターのデザインは、店舗のコンセプトやターゲット層と一貫性を持たせることが大切です。カジュアルなお店なのに過剰に豪華なカウンターを導入すると違和感が生まれます。逆に高級店なのに安っぽい素材を使うとブランドイメージが損なわれるので、全体のバランスを考えましょう。

椅子や照明も含めたトータルでの演出

カウンターと椅子はセットで考えないと、座り心地や見た目のバランスに不具合が出ます。照明計画も重要で、手元が暗いと料理が美味しく見えなかったり、逆に明るすぎると落ち着かなかったりします。細部の演出が顧客満足度に直結する点を忘れずに。

メンテナンスコストも考慮

素材によっては定期的なメンテナンスが必須です。無垢材はオイル塗装や研磨、左官仕上げはひび割れ補修など、オープン後のランニングコストがかかることも念頭に置きましょう。長く使い込むほど味が出る素材か、劣化しにくい素材かなど、長期視点で検討すると安心です。

早めの施工計画でトラブルを回避

オープン直前に施工計画を立てても、理想通りに仕上がらない場合が多く、費用もかさみがちです。余裕をもって業者とコミュニケーションを図り、イメージ共有と予算調整を綿密に行いましょう。

まとめ

カウンターはお客様が最も近い距離で体験するスペースであり、飲食店の“顔”ともいえます。

■ ライブ感を重視したいなら … 調理が見やすい高さや形状、素材選びを重視
■ 回転率を高めたいなら … ハイカウンターやコの字型、シンプルな素材でオペレーション効率を最優先
■ 居心地を重視したいなら … ローカウンターやクッション性の高い椅子、ゆったりした奥行き・横幅設計
■ 差別化を図りたいなら … 一枚板や左官仕上げ、屋外カウンターなど個性的な要素を取り入れる

また、内装工事の費用や納期、メンテナンスを含めたトータルコストにも注目が必要です。複数業者から相見積もりを取り、素材・施工方法・デザインをしっかり比較検討することで、理想的なカウンターを実現できます。
カウンターは単に座席を設置するだけでなく、お客様とのコミュニケーションや料理の見せ方、人件費削減など、さまざまなメリットをもたらす重要な場所です。ぜひ本記事を参考に、店舗の個性やコンセプトを最大限引き出すカウンターづくりに取り組んでください。
丁寧にプランを練り上げたカウンターは、あなたの店舗を唯一無二の魅力あふれる空間にしてくれることでしょう。

当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛け下さい。

飲食店を開業する際、内装デザインは成功の鍵を握る重要な要素です。内装は単なる見た目の美しさだけでなく、来店したお客様に居心地の良さや店の雰囲気を伝える大切な役割を果たします。特に、競争が激しい飲食業界では、内装が集客力やリピーター獲得の決定打となることも少なくありません。
しかし、効果的なデザインを実現するには、事前に押さえておくべきポイントがいくつかあります。デザインで失敗しないためには、業者選びを含む計画的な準備が必要不可欠です。
本記事では、内装デザインの重要性から実際の準備に至るまで、初心者にもわかりやすく解説します。理想の店舗をつくるためのヒントを探っていきましょう。

飲食店における内装デザインの重要性と役割

内装デザインは、単なる店内装飾ではありません。客足や売り上げに直結する空間づくりの肝であり、特に初回訪問時の印象は、お客様の心を掴むために非常に重要な要素といえます。
スマートフォンやSNSが普及した現代では、人々は気になるお店を調べたり、写真を共有したりする行動が当たり前となっています。インスタ映えする空間や独自性あるインテリアは強力な拡散力を生み、集客に大きく貢献します。つまり、広告費をかけずとも宣伝効果を高められ、長期的な集客力強化にもつながるということです。
また、魅力的な内装は、お客様の満足度や滞在時間を延ばし、リピーター獲得にもつながります。ブランドイメージを明確に打ち出し、競合店との差別化を図る上で欠かせない存在なのです。
こうした背景もあり、飲食店における「内装デザイン」は、単なる見た目以上の価値を持つようになっています。

飲食店の内装デザインを成功に導くポイント

内装デザインの成功の鍵は、初期段階で「店舗のコンセプト」「レイアウトと動線」「照明デザイン」「空間の配色」をトータルで考えることです。
上記を計画的に進めることで、開店後の「やり直し」を防ぎ、スムーズなオペレーションと顧客満足度向上を実現できます。

店舗コンセプトを明確にする

コンセプトは内装デザインの「軸」となる要素です。
例えば、「和食×モダン」「カフェ×ナチュラル」「バル×インダストリアル」など、一目で特徴が伝わるテーマを設定すれば、お客様に対して明確なメッセージを送れ、印象にも残りやすくなります。
コンセプトはメニューやサービス、BGMなどにも影響を及ぼし、一貫性を持った空間づくりを可能にします。もし、デザインを内装業者に依頼する場合は、客層、客単価、提供メニュー、ブランドイメージなどを明確にしたうえで相談すると、業者側も的確な提案が可能になります。

レイアウトと動線を設計する

スタッフとお客様双方の動きを考慮し、人の流れがスムーズなレイアウトと動線を設計することで、効率的なオペレーションと心地よい空間を両立できます。
飲食店は、レジカウンター、客席、厨房、トイレなど、さまざまなスペースを必要とします。これらがスムーズにつながるように配置して、お客様の移動やスタッフのオペレーション効率を高めることが重要です。

【レジの配置】
出入口からの動線を踏まえ、スムーズな会計ができる位置取りを考える。

【インテリアレイアウト】
座席間隔やテーブル配置に気を配り、居心地の良い空間づくりを。

【厨房レイアウト】
調理スタッフが動きやすい動線を確保し、効率的な調理・配膳ができる動線設計が不可欠です。

照明で雰囲気を演出する

照明の光量・色温度は、空間の雰囲気を大きく左右します。暗すぎる照明は料理の色合いを悪く見せ、明るすぎると落ち着きがなくなる可能性があります。

【明るさ】
明るすぎると落ち着きを損ない、暗すぎると手元や料理が見づらくなります。メニューやコンセプトに合わせ、最適な明るさを検討しましょう。

【色味(色温度)】
暖色系の照明は温かみやリラックス感を、白色系の照明は清潔感やモダンなイメージを与えます。店の特徴に合わせた色味を使い分けることで、理想の空間を演出できます。

配色で世界観をつくりだす

内装デザインにおける配色は、店舗の世界観を視覚的に伝える重要な要素です。

【使用する色は多くても3色まで】
色が多すぎると散漫な印象になるため、メインカラー、サブカラー、アクセントカラーの3色程度に絞ることで、統一感とわかりやすさを両立します。

【アクセントカラー】
壁一面、家具、クッションなど、目立たせたい部分にアクセントカラーを用いることで、お客様の視線を誘導し、記憶に残る空間を作り出します。

内装デザインの業者を選ぶときの注意点

上記で紹介した、コンセプトや動線、照明、配色など、数多くの要素を最適化するためには、優れたセンスと経験を持つ空間デザイナーや施工業者と呼ばれている内装業者の力を借りることが有効です。
過去の実績や得意分野を見極め、方向性が一致する相手を見つけることで、スムーズなコミュニケーションと理想的な店舗空間を実現できます。
業者選びは、店舗の成否を大きく左右します。焦らず複数社を比較し、納得のいくまで打ち合わせをすることで、後悔のないようにしましょう。

実績・得意分野を確認する

過去の事例から、その業者が得意とするデザインや分野を確認することで、自店のイメージに合った業者選びが可能です。自店の同業態や同規模の飲食店内装経験があるかを確認するとよいでしょう。

このとき、設計から施工、アフターサポートまで幅広く対応できる業者かどうかも確認しておくと、トラブル時のケアも含めて安心です。

提案力・適応力

オーナーの要望を形にするだけでなく、店舗立地や客層、コンセプトを踏まえ、プロ目線で提案してくれる業者は頼もしい存在となるでしょう。コンセプト変更やデザイン修正に素早く対応できるかも確認しましょう。

相見積を取る

複数業者から見積を取り、費用対効果やサービス内容を比較することで、最適なコストパフォーマンスを得られます。費用面でバランスが取れているか、数社で比較することを忘れずに。

まとめ

飲食店の内装デザインは、ただ店舗をきれいに飾るだけでなく、ブランドイメージの発信、集客力の強化、オペレーション効率の向上、そしてSNS時代における自然な宣伝効果まで担っています。
成功の鍵は、明確なコンセプト設定、動線とレイアウトの最適化、照明や配色の細やかな調整、そして経験豊富な業者や空間デザイナーの力をうまく活用することです。
戦略的な内装をデザインし、お客様に「また行きたい!」と思わせる魅力的な店舗づくりを目指しましょう。

当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。

飲食店の開業において、厨房の準備は成功の鍵を握る重要なステップです。しかし、どのような機器や設備が必要なのか、何を基準に選べば良いのか、導入方法にはどのような選択肢があるのか、多くの人が悩むポイントでもあります。厨房機器や設備は、店舗運営の効率やお客様の満足度に直結するため、慎重に検討しなくてはなりません。
本記事では、必要な機器や設備、選定時の注意点、導入方法について分かりやすく解説し、飲食店開業をスムーズに進めるためのヒントをお届けします。

飲食店に必要な厨房機器・設備と選び方

いかにして「厨房」を整備するかは、飲食店の運営における大きな課題の一つです。効率的かつ衛生的な厨房環境は、お客様が満足するサービスを提供することに直結します。
ここでは飲食店の開業に必要な厨房機器・設備について、それぞれの特徴や選び方のポイントを解説します。

戸が付いた食器棚

戸が付いた食器棚は、食器を清潔に保管するために不可欠です。戸があることで、油はねやホコリ、虫の侵入を防げるため、衛生基準を守るうえでは必須といえます。
調理中に必要な食器をスムーズに取り出すためには、サイズや配置が重要です。サイズを選ぶ際は、収納する物の量だけでなく厨房全体の動線も考慮しましょう。
また、各地域の保健所により規定が若干異なります。上記に加え、規程を細かくチェックしたうえで、選ばなくてはなりません。
素材は耐久性の高いステンレス製が一般的で、清掃のしやすさも重要なポイントです。

調理台&作業台

調理台や作業台は効率的な厨房作業を支える基盤です。特に耐久性と清掃性に優れたステンレス製が主流であり、長時間の使用にも耐える設計となっています。
作業台の高さやサイズは、調理人の体格や作業内容に合わせて選ぶことが重要です。不適切な高さは身体に負担を与え、作業効率を低下させます。
また、引き戸付きや引き出し付きなど、種類が豊富にあります。調理台でどのような作業をするのか、用途を明確にしたうえで選ぶのがよいでしょう。
さらに、調理スペースを広く確保することで、同時に複数の作業を進めることも可能になります。

コールドテーブル

コールドテーブルは、冷蔵能を持つ調理台として作業効率を大幅に向上させる設備です。調理と食材保管を一体化することで、動線を短縮し時間を節約できます。
冷蔵、冷凍、冷蔵冷凍タイプがあり、メニューに適した製品を選ぶことで、食材の鮮度を保つことはもちろん、調理の質向上にもつながるでしょう。また、静音性や高さといった使いやすさにもこだわることで、作業中のストレスも軽減されます。

冷蔵庫&冷凍庫

冷蔵庫と冷凍庫は、食材を安全に保管するための基本設備です。お店の提供メニューや規模に応じて、適切な容量を選ぶ必要があります。
省エネルギー性能が高いモデルを選ぶことで、長期的なランニングコストを削減できます。さらに、庫内の配置が整理しやすい設計になっているかも確認しましょう。
保健所の検査では、冷蔵庫と冷凍庫に温度計が設置されているかチェックされます。こちらも忘れないようにしましょう。

二槽シンク

二槽シンクは、食器や調理器具の洗浄を効率的に行うために必要な設備です。一方の槽で食材を洗浄し、もう一方で食器の洗浄することで衛生的な作業が可能になります。
特に大きな鍋や調理器具を扱う場合に便利です。耐久性の高いステンレス製を選び、排水設備の設計にも注意を払うことで、快適な作業環境を確保できます。

手洗い器

手洗い器は、調理スタッフの衛生管理を徹底するための基本設備です。食品衛生法に基づき、飲食店には手洗い設備の設置が義務付けられています。
センサー式やペダル式の手洗い器は、直接触れることなく使用できるため衛生的です。設置場所は、調理場に近く、アクセスしやすい場所を選ぶことで、作業の妨げを最小限に抑えます。
こちらも保健所による検査の対象です。サイズや水栓の形状、消毒装置などの細かい仕様については、事前に確認しておきましょう。

製氷機

製氷機は飲料提供に必要な氷を効率的に供給するための設備です。氷の生成能力に応じて選択することで、用途に適した活用が可能です。
また、定期的なメンテナンスが求められるため、清掃のしやすさや衛生面にも配慮した製品を選ぶことが重要です。店舗の規模に合った容量を選ぶことで、効率的な運用が実現します。

ガスレンジ&ガステーブル

ガスレンジやガステーブルは加熱調理を支える設備です。調理作業の動線とスペースを考慮し、設置スペースに合ったサイズを選ぶことが何よりも重要です。

また、提供メニューに見合った火力の製品を選ぶことで調理の効率が向上します。設置する際には、十分な換気設備を備えることが安全性の確保につながります。

食器洗浄機

食器洗浄機は、作業効率を劇的に向上させる設備です。特にピーク時には、手洗いよりも迅速かつ衛生的に大量の食器を処理できます。
選ぶ際には洗浄力や乾燥機能の性能を確認することが重要です。また、省エネモデルを選択することで、長期的なコスト削減にもつながります。設置スペースや配管工事の要件も考慮しましょう。

適切な厨房機器・設備の導入は、飲食店の運営を効率化し、質の高いサービス提供を実現します。それぞれの特性を理解し、店舗規模やメニューに合わせた選定を心がけましょう。

飲食店開業時に注意すべき厨房機器・設備導入のポイント

飲食店を成功させるためには、厨房機器・設備の選定と設置を慎重に行いましょう。準備が不十分な場合、効率やコスト、安全性に悪影響を及ぼす可能性が高まります。
ここでは、厨房機器・設備の導入時に押さえるべきポイントを解説します。

主力メニューや店舗の規模から検討する

厨房機器・設備を選ぶ際は、提供する主力メニューと店舗規模に基づいて選定することが重要です。
なぜなら、機器の種類や性能がメニューに適していなければ、調理の効率が下がり、お客様への提供が滞る恐れがあるからです。また、店舗の規模に適さない設備では、過剰な初期費用や運用コストの増大を招きます。
そのため、事前に提供メニューを具体化し、必要な調理手順と機器の仕様を明確にしておくことが重要です。これにより、無駄のない導入計画を立てられます。

作業動線と作業スペースを考慮する

厨房内の作業動線は、効率的なオペレーションを実現するための基盤です。動線が悪い場合、調理スタッフの移動が増えて作業時間が長くなり、ミスや疲労の原因になります。
そのため、機器の配置や作業スペースの広さを考慮することが重要です。特に、複数の調理スタッフが同時に作業する場合、動線が重ならないよう工夫する必要があります。
また、作業台やシンクなどの設置場所を調理工程に合わせて最適化することで、スムーズな業務遂行が可能です。

設置スペースと機器・設備のサイズを考慮する

機器や設備を導入する際には、厨房の物理的なスペースと設備のサイズを事前に確認する必要があります。設置スペースが不足している場合、予定していた機器が収まらないことに加え、作業動線にも影響が出る可能性があります。
特に、大型機器を導入する際には、搬入経路の幅や設置後のメンテナンススペースも考慮すべきです。また、厨房の面積に適したサイズの設備を選ぶことで、作業効率を損なわずに運用できます。

厨房の形状やインフラの位置を確認する

厨房の形状やインフラ(電源やガス、水道)の位置は、機器・設備の導入に大きく関わります。
例えば、厨房が狭い場合や柱が微妙な位置にある場合、標準的な配置が難しくなることがあります。また、電気容量が不足している場合や水道の位置が遠い場合には、追加の配線・配管工事が必要となり、追加費用が発生することもあります。
事前に厨房のレイアウトとインフラの状態を確認し、それに基づいて設備を選定することで、予期せぬ工事費用の発生やスケジュールの遅延を防げます。

排煙・換気・空調設備を充実させる

厨房内では大量の熱や煙、湿気が発生するため、排煙・換気・空調設備の整備は欠かせません。これらが不十分な場合、調理スタッフの健康や作業効率に悪影響を及ぼすだけでなく、店舗全体の快適性も損なわれます。
また、厨房環境の悪化は食品衛生にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、高性能な排気フードや換気扇、適切な空調設備を導入し、厨房内の空気を清潔に保つことが重要です。

保健所の検査基準を調べる

飲食店の営業許可を取得するには、保健所の定める基準を満たす必要があります。この基準を満たしていない場合、営業許可が下りず開業が遅れるリスクがあります。そのため、事前に保健所の指導を受け、基準に沿った機器や設備の導入計画を立てることが重要です。
また、基準は地域によって異なる場合があるため、店舗の所在地における具体的な要件を確認し、それに対応するように設計しましょう。

厨房機器・設備の減価償却と耐用年数を確認する

厨房機器・設備は高価な投資となるため、その耐用年数や減価償却の計画を事前に把握することが重要です。耐用年数を超えると機器の性能が低下し、修理や交換が必要となるため、長期的な運用コストを見積もる必要があります。
また、減価償却を考慮することで、税務上の負担を軽減しつつ、設備の更新資金を計画的に準備することが可能です。このように、経済面での見通しを立てながら設備を選定することが、店舗の安定運営につながります。

飲食店の開業における厨房機器・設備の導入には多くの注意点がありますが、一つ一つ丁寧に計画を立てることで、効率的かつ安全に厨房環境を構築できます。

厨房機器・設備を揃える方法とその注意点

飲食店を開業において、厨房機器や設備の準備は店舗経営に直結する課題といえます。一方で、揃える方法にはさまざまな選択肢があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
ここでは、5つの代表的な方法について詳しく解説します。

新品を購入するケース

新品購入は最新の機器を手に入れられる方法です。
性能が保証され、故障のリスクが低いことが最大のメリットです。また、メーカー保証がつくため、万が一のトラブルにも対応しやすいです。しかし、初期費用が高額になることがデメリットです。限られた予算での設備投資は、資金繰りに大きな影響を与える可能性があります。
そのため、新品購入を選ぶ際は、必要最低限の機器を厳選し、将来的な設備拡張を見据えた計画を立てることが重要です。

中古品を購入するケース

中古品はコストを抑えて必要な設備を揃える手段として有効です。初期費用を抑えられるため、予算が限られた開業初期には特に適しています。
ただし、中古品は使用年数やメンテナンス履歴により状態が異なるため、故障リスクが新品より高い点がデメリットです。さらに、メーカー保証がない場合や部品の供給が終了している場合もあります。
そのため、中古品を選ぶ際には信頼できる販売業者を通じて、状態を十分に確認することが不可欠です。また、購入後の修理費用を考慮に入れることも重要です。

リースを利用するケース

リースは高額な初期投資を回避しつつ、必要な機器を揃えられる方法です。
毎月一定額の支払いで使用できるため、資金計画が立てやすく、最新機器の導入も可能です。また、一部のリース契約にはメンテナンス費用が含まれる場合もあり、故障時の対応がしやすい点もメリットです。
一方で、長期的な支払い総額が新品購入より高くなる可能性があり、解約が難しい契約条件が含まれる場合もあります。
そのため、契約内容を細部まで確認し、自店舗の経営状況に合ったリースプランを選ぶことが大切です。

サブスクリプションを利用するケース

サブスクリプションは、近年注目されている新しい設備利用の方法です。
月額制で最新機器を利用でき、契約期間内でのアップグレードや交換が可能な点がメリットです。また、初期費用を抑えつつ柔軟に設備を利用できるため、新メニューの追加や業態変更にも対応しやすいです。
しかし、利用可能な機器が限定される場合や、長期的には費用がかさむ場合があります。
そのため、サブスクリプションを選ぶ際は自店舗の経営方針に合致しているかを慎重に検討することが必要です。

居抜き物件を選ぶケース

居抜き物件では、前の店舗が使用していた厨房機器や設備をそのまま利用できるため、初期費用を大幅に削減できます。また、設備がすでに設置されているため、開業までの準備期間を短縮できることも大きなメリットです。
ただし、既存の機器が自店舗のメニューや業態に適していない場合や、老朽化が進んでいる場合もあるため、導入前の状態確認が欠かせません。また、必要に応じて一部の設備を交換するコストも考慮する必要があります。

厨房機器や設備を揃える方法には、それぞれ独自の特徴があります。店舗の規模や経営計画に合わせて適切な方法を選ぶことが、安定した店舗運営を支える鍵です。

まとめ

飲食店の開業を成功させるためには、厨房機器や設備の選定が欠かせません。これらは単なる作業の道具ではなく、店舗運営の効率性やお客様満足度に直結する要素です。必要な設備を的確に把握し、選定時には店舗の規模や動線、導入コストなどを総合的に考慮することが成功への近道です。
また、新品や中古、リースなど、多様な導入方法を比較検討することが大切です。自店舗の状況に適した計画と選択によって、厨房は単なる設備を超えた、店舗の心臓部としての役割を果たします。しっかりと準備を整え、理想の飲食店を実現してください。

当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。

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