理想のカフェを開業するための厨房レイアウトと設計ポイント
カフェの開業を目指す方にとっては、厨房レイアウトの良し悪しは非常に重要といえます。コンセプトに合う厨房レイアウトであれば、メニューやサービス提供のスピードが向上し、顧客満足度の向上につながります。
また、厨房の形態や必要な機器についての理解も、運営の質を高めるためには欠かせません。オープンキッチンやクローズドキッチンの特性を把握し、必要な機器を適切に配置することで、作業を円滑に進められる環境を整えられます。
本記事はそれらのポイントを解説し、カフェ開業への一歩をサポートします。
カフェの厨房レイアウトを決める前の注意点
カフェの厨房レイアウトを決める際、最も重要なのは効率性と快適性のバランスを取ることです。レイアウトが適切であれば、厨房で発生するあらゆる作業はスムーズになります。
ここでは厨房レイアウトを決める前の注意点を3つ紹介します。
面積比率(厨房30%:客席70%)の目安を押さえる
カフェの厨房と客席の理想的な面積比率は、おおよそ30%:70%と言われています。この比率は、効率的な調理スペースを確保しつつ客席数を十分に設けられる、バランスの取れた配分です。
例えば、100㎡のカフェスペースがある場合、厨房に約30㎡、客席に約70㎡を割り当てることで、適切な作業環境と快適な飲食空間の両立が可能になります。
ただし、この比率はあくまで目安であることを覚えておきましょう。カフェの規模やコンセプトによって柔軟に調整する必要があります。
客席を確保するために厨房を狭めない
客席数を増やすために厨房を狭めることは、長期的には逆効果となる可能性があります。狭すぎる厨房は作業効率を低下させ、提供メニューの制限やサービス品質の低下につながる恐れがあるからです。
厨房が狭いために調理に時間がかかったり、スタッフ同士がぶつかったりするようでは、お客様をお待たせしたり、ミスが増えたりします。結果として、客席が多くても回転率が下がり、収益に悪影響を及ぼす可能性が高いのです。
このことから、適切な広さの厨房を確保することは、効率的な運営と高品質なサービス提供のために不可欠といえます。
カフェのコンセプトを明確にしておく
厨房レイアウトを決める前にカフェのコンセプトを明確に定義しておくことが極めて重要です。コンセプトは、提供するメニュー、必要な調理設備、作業の流れなど、厨房設計に直接影響を与える要素を決定づけるからです。
厨房に必要な設備やその配置は、提供するメニューによって異なるため、コンセプトを明確にしないと効率的な作業環境をつくるのが難しくなります。適切な設備がない場合、調理人がスムーズに働けず提供時間が遅れたり、品質が落ちたりする可能性があります。
カフェのコンセプトが厨房の使い勝手や顧客満足度に直結するため、最初にしっかりとした計画を立てることが成功の鍵になります。
カフェの厨房レイアウトを決める際のポイント
効果的なレイアウトは、スタッフの作業効率を高め、サービスの質を向上させるだけでなく、衛生管理の面でも大きな役割を果たします。
以下の6つのポイントを押さえて、理想的な厨房レイアウトを実現しましょう。
はじめにインフラの位置を確認する
カフェの厨房設計を始める前に、まず「インフラの位置」を確認することが重要です。
電気、ガス、水道といった設備の位置がレイアウトに大きく影響を与えます。これを無視して配置を決めてしまうと、後から工事が必要になったり、不便な動線になったりする可能性があります。
インフラの位置を把握したうえで、機器の配置や動線を計画することで、コストや工事の手間を最小限に抑えられます。
提供メニューとスタッフ人数をもとに広さや機器を検討する
次に、提供メニューとスタッフの人数を考慮し、必要な広さと厨房機器を決めることが大切です。
メニューが多岐にわたる場合や調理に時間を要する場合は、広めのスペースと十分な調理器具が必要です。また、スタッフの人数が多い場合、狭い厨房では作業効率が下がってしまいます。
提供メニューとスタッフの数に応じた広さと設備の設計は、スムーズなサービスの提供に直結します。
作業の流れをシミュレーションして厨房機器の配置を決める
厨房内での作業の流れをあらかじめシミュレーションしておくことで、無駄のない機器の配置が可能になります。
食材の準備、調理、提供までの一連の流れが効率よく行えるように配置を考えましょう。動線を最短に保つことは、スタッフの作業効率を高め、調理時間の短縮にもつながります。この計画が甘いと、日々の作業が複雑になり、サービスの質が低下するリスクがあります。
スタッフの動きを想定して動線と通路幅を決める
スタッフの動きを想定しながら、厨房内の動線と通路幅を決めることが大切です。
スタッフ同士がぶつかり合わないようにするためには、適切な通路幅を確保し、最適な動線を設計することが重要です。特にピークタイムには、狭い通路や複雑な動線は混乱を招き、作業効率の低下につながります。
動線がスムーズであれば、スタッフ同士のコミュニケーションも取りやすくなり、サービスの質も向上します。
経験豊富な業者に相談する
経験豊富な業者に相談することも、厨房レイアウトを決める際の大きなポイントです。
プロの視点からのアドバイスを受けることで、見落としがちな点やより効率的なレイアウトの提案を受けられます。特に、カフェの厨房は限られたスペースで最大限の機能を持たせることが求められます。業者に相談することで、コストの見積もりや設備選びにおいても安心感を得られるでしょう。
清掃・収納が容易かチェックする
最後に、清掃と収納が容易にできるレイアウトかどうかを確認することが重要です。
衛生管理がしやすい環境は、スタッフの作業効率を高めるだけでなく、お客様の安心感にもつながります。また、収納スペースが不足すると厨房内が散らかり、作業効率の低下を招きます。
清掃しやすさと収納のしやすさを意識したレイアウトを計画し、衛生的で整然とした厨房を目指しましょう。
オープンキッチンとクローズドキッチンについて
カフェ厨房の形態である「オープンキッチン」と「クローズドキッチン」には、それぞれに独自の特徴と利点・課題があります。
ここではそれぞれの概要やメリット・デメリット、選び方のポイントについて説明します。
オープンキッチンの概要
オープンキッチンとは、調理スペースがカウンター(客席)越しに見える形態のキッチンです。このレイアウトでは、お客様はスタッフの動きや手際、提供までの過程を楽しめます。
特に、カフェでは温かな雰囲気を演出しやすく、訪れるお客様との距離感を縮める効果があります。
オープンキッチンのメリット&デメリット
メリットは調理のライブ感を演出し、視覚的に楽しんでもらえる点です。これにより、お客様はメニューの調理・提供過程を見て楽しめます。また、スタッフが直接お客様とコミュニケーションを取りやすく、親しみやすい雰囲気をつくりやすいのも利点です。さらに、調理過程を公開することで、清潔であることをアピールしやすく安心感を与えられます。
一方、デメリットとしては調理中の音やにおいが店内に広がりやすく、快適さを損なう可能性があります。また、スタッフは常にお客様の目を意識しなければならないため、心理的な負担が大きくなりがちです。
さらに、調理器具の配置や動線設計に工夫が必要となるため、設計の段階での注意が求められます。
クローズドキッチンの概要
クローズドキッチンとは、調理スペースが客席から完全に区画された形態のキッチンを指します。調理エリアと客席エリアを壁などで完全に仕切るため、調理風景は見えません。客席から調理作業が見えない分、スタッフは外部の目を気にせず作業ができ、効率的に仕事を進められます。
このスタイルは、特に調理の集中度が必要であったり、におい・騒音対策を重視したりする場合に採用されます。
クローズドキッチンのメリット&デメリット
クローズドキッチンのメリットは、厨房を客席から完全に切り離すことで、においや騒音が店内に広がることを防げる点です。これにより、静かで落ち着いた雰囲気を保てます。また、スタッフは外部の視線を気にせず作業できるため、効率的に調理を進めやすく、ミスを減らす効果も期待できます。
ただし、デメリットとしては調理風景をお客様に見せられないためライブ感はありません。さらに、お客様とのコミュニケーションの機会が減り、カフェ特有の温かみのある雰囲気を演出しづらくなる点も考慮する必要があります。
キッチンの形式を選ぶポイント
オープンキッチンとクローズドキッチンのどちらを選ぶかは、カフェのコンセプトや経営・運営方針によって異なります。お客様との距離感を大切にし、カジュアルで温かみのある雰囲気を重視したい場合には、オープンキッチンが向いています。一方で、落ち着いた集中できる空間を提供したい場合、クローズドキッチンのほうが適しています。
また、店内の広さや換気設備の充実度も考慮すべき要素です。オープンキッチンでは、においや騒音対策のための換気設備が重要ですが、スペースの制約があると十分な設備を設置しづらい場合もあります。そのため、スペースや予算、店舗の規模に応じて柔軟に判断することが求められます。
カフェに必要な厨房機器
カフェの開業において、機器の選定は厨房レイアウトを決めることぐらい重要です。適切な機器を導入することで効率的な運営が可能となり、顧客満足度を高められます。
ここではカフェに必要な機器について説明します。
コーヒーマシン&エスプレッソマシン
コーヒーマシンとエスプレッソマシンは、メニューの中心となる飲み物を提供するために必要不可欠です。
これらの機器は、高品質なコーヒーを抽出するために精密な温度管理と圧力調整が求められます。高性能な機器を選ぶことで、安定した味の提供が可能になり、リピーターの獲得につながります。
選定時は、ブランドの信頼性やアフターサービスも考慮し、自店舗のスタイルや提供メニューに合った機種を選ぶことが重要です。
手洗い器
カフェの経営・運営において厨房の衛生管理は非常に重要です。手洗い器は、スタッフが食品を扱う前後に手を洗うための必需品であり、保健所の検査でも厳しくチェックされます。
手洗い器があることで、衛生状態を保ちながら効率的に作業が進められます。スタッフが容易に使用できる位置に設置することが、スムーズな運営につながります。
二槽シンク
二槽シンクは、調理器具や食器を効率的に洗浄するために必要な設備です。食材と食器の洗浄を別々に行うことで、衛生状態を保ちながらスピーディな作業が可能になります。
特に、繁忙時には同時に複数の作業を行えるため、厨房の効率を大幅に向上させます。選定時はシンクのサイズや設置スペースを考慮することが重要です。
冷蔵庫&冷凍庫
冷蔵庫と冷凍庫は食品の保存において非常に重要です。新鮮な食材や飲料を適切な温度で保存することは、カフェの品質を維持するために欠かせません。
冷蔵庫は通常の食品や飲料を保管し、冷凍庫は長期間保存が必要な食材を保管します。この二つの機器が整っていることで、メニューの幅が広がり、お客様に多様な選択肢を提供できます。選定時は容量や効率、設置スペースを考慮し、自店舗のニーズに合わせた機器を選ぶことが重要です。
製氷機
製氷機は冷たい飲み物を提供するために必要な機器です。特に、暑い季節や多くのお客様が訪れる時間帯には氷の需要が高まります。製氷機を導入することで常に新鮮な氷を提供でき、ドリンクの品質を向上させることが可能です。
また、製氷機は手作業で氷をつくる手間を省き、スタッフの負担を軽減します。選定時は必要な氷の量を見積もり、適切なサイズの機器を選ぶことがポイントです。
調理台&コールドテーブル
調理台は食材の下処理や調理をするための重要なスペースです。特にコールドテーブルは、冷蔵機能が付いているため、サラダやデザートなど冷たい料理の準備に最適です。
調理台が適切に設置されていることで効率的な作業が可能となり、スタッフの負担を軽減します。また、コールドテーブルは必要な食材をすぐに取り出せるため、調理のスピードを向上させる効果があります。選定時は作業スペースや高さ、冷却能力を考慮することが重要です。
扉付き収納
厨房内の整理整頓は業務の効率を向上させるために欠かせません。扉付きの収納は、調理器具や食材を安全かつ衛生的に保管できるため特に重要です。これにより埃や汚れが付くのを防ぎ、清潔な環境を維持できます。
また、見た目を整えることでお客様に安心感を与えることも可能です。収納スペースを充実させることで、必要な道具をすぐに取り出せるため、業務がスムーズに進みます。選定時は収納スペースのサイズや設置場所を考慮することが大切です。
まとめ
カフェの開業において、厨房のレイアウトは成功のカギを握る重要な要素です。
厨房の形態をオープンキッチンとクローズドキッチンのどちらにするかを考える際、それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解することが不可欠です。また、必要な厨房機器の選定も大切なポイントであり、効率的な運営を実現するためには、コーヒーマシンや冷蔵庫、調理台など、各機器の役割を把握しておく必要があります。さらに、厨房のレイアウトを決める際には、動線の確保や作業スペースの最適化も考慮すべきです。
これにより、スタッフの作業効率が向上し、お客様にとっても快適な環境を提供できるようになります。厨房のレイアウトや機器選びは、カフェ経営の成功に大きく寄与する要素となるため、十分に時間をかけて検討することが重要です。
当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。
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