VMDで考える!催事で使える実用的なプライスカードの選び方と置き方

催事では、主催者や出店場所の意向で、プライスカードに細かな指定がされていることがあります。
そのため、店舗で使っているものや、別のイベントで使ったものでは要件を満たさず、再利用できないことがよくあります。
こうなると作り直すしかありませんが、「手書きNGと書かれていて困った」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
昨今は無料のテンプレートや画像生成AIのおかげで、誰でも手軽にきれいなカードを作ることができます。
しかし、「商品が売れるデザイン」となると話が変わります。
テンプレートや生成したAI画像が、VMD上効果のあるデザインかどうかを判断するには、ある程度の知識が必要です。
使いたいデザインが適したものか?修正できるものか?
また、置き方のコツまで知りたいという方に、ぜひ読んでいただければと思います。
目次 [目次を表示する ▼]
見やすいプライスカードのデザインポイント

プライスカードは個性より、情報の正確性と、それを一瞬で理解できる見やすさが優先されます。
読みやすいフォントを使う
・ラインが細すぎる、太すぎる
・文字間隔が詰まっている
・装飾が多い
こういったフォントは非常に見づらく、お客様が読むのを諦めてしまいます。
おすすめはやや太めのゴシック体です。
明朝体を使いたい場合は、横線が細すぎないものにしましょう。
迷った時はフォント名にUD(ユニバーサルデザイン)と付いているものを選べば間違いありません。
外国語表記は避ける
本場感にこだわり外国語表記を使うことがありますが、ほとんどの日本人には何が書いてあるか伝わっていません。
日本人をターゲットにするなら、必ず日本語の商品名を併記しましょう。
この際、単純にカタカナ表記に直すのではなく、日本語として意味が通じるように変換するとさらに親切です。
とはいえ、絶対そうすべきというわけではありません。
ここはお店のコンセプトやブランディングに合わせて調整してください。
【例】
正式名称:Tarte Tatin
カタカナ:タルトタタン
日本語訳:カラメルリンゴのタルト
文字サイズは7mmを基準に考える
7mm(約20pt)は、一般的に1mほど離れた位置からでも視認可能な文字サイズとされています。
この1mとは店舗とお客様の距離ではなく、プライスカードからお客様の目までの直線距離のことです。
商品説明などは小さい文字でも構いませんが、商品名と価格は7mmを基準に、大きめに書くことを意識しましょう。
価格表示は正確に、明瞭に行う
値段の書き方で、お客様を混乱させないようにしましょう。
・本体価格を大きく書き、税込み価格は小さく書く
・グラム当たりの価格を大きく書き、「100gあたり」という文言は小さく書く
・二重価格表示を行う
・デフォルトで割引表示を行う
少しでも安く見せたい気持ちは分かりますが、これらは景品表示法に抵触する恐れがあり、主催者側で禁止していることがほとんどです。
値段はお店の信頼に直結する部分です。
たとえ規約で禁止されていなくても、明瞭表示をおすすめします。
視認性の高い色の組み合わせを選ぶ
検索すればいくらでもきれいな配色の実例が出てきますので、その中から視認性の高い色の選び方について解説します。
先に失敗のない配色をお伝えすると、「任意の色の紙×黒or白の文字」です。
悩んだらこの配色でデザインしてください。
◇
色を選ぶ際に注目してほしいのは「明度差」です。明暗差、コントラストとも言います。
「明度」とは色の明るさのことで、明度が高いほど白に近く、低いほど黒に近くなります。
このことから、最も明度差が大きいのは「白×黒」の組み合わせです。
見極める方法は、実際に配色したのち、画像をモノクロ変換することです。
文字が背景と同化するようなら、その配色は「視認性が悪い」と言えます。
装飾を減らす
シンプルなデザインは「これでいいのかな?」と不安になりますが、背景や模様といった装飾は情報量を増やし、存在感が出てしまいます。
1枚であればそうでもないのですが、プライスカードは複数枚置くものです。
たくさん並ぶことで強調され、商品よりもプライスカードの方が目立ってしまうのです。
「おしゃれ」「高級感」といったキーワードを入れると装飾過多になりやすいので、「シンプル」「ミニマル」で探すのがコツです。
特殊なプライスカードのデザイン

プライスカードは「商品名」「値段」「簡単な商品説明」の3要素でできています。
この章では、上記に「画像」や「情報」を追加した場合の、少し特殊なプライスカードのデザインについて解説します。
POPと兼用する
催事の狭いスペースでは、POPとプライスカードを兼用する手法もよく取られています。
画像やセールスポイントが足されることでより商品の魅力が伝えられるだけでなく、売場を華やかにしてくれます。
商品ごとにデザインを変えたくなりますが、プライスカードとしての機能を優先し、統一フォーマットで作ることをおすすめします。
ただし、主催者によってはPOPとの兼用を禁止している場合がありますので、まずは規約をご確認ください。
アレルギー表示を行う
食品系の場合、プライスカードへのアレルギー表示が義務化されている場合があります。
アレルギー表示はオリジナリティよりも、考えなくても分かるデザインであることが優先されます。
文字が潰れていないか、ピクトグラムが分かりにくくないか、実際に印刷した状態で確認を行いましょう。
そして、デザイン以上に情報の正確性が重要です。
練り物のつなぎに使われる卵、ミックスナッツの詳細な種類、添加物の素材など、全食品の原材料を確認する必要があります。
なお、2026年の4月から特定原材料に「カシューナッツ」が増え、表示義務のある食品が9品目になりました。
今後は8品目時のデザインが使用不可になりますので、早めに切り替えておきましょう。
プライスカードの置き方のコツ

どれだけ良いデザインでも、置き方が悪いと値段が伝わらず、お客様は購入に踏み切れません。
プライスカードは空いているスペースに適当に置くものではありません。
お客様に伝わる、置き方のセオリーがあります。
商品とカードの距離を近づける
基本的なことですが、プライスカードと対応する商品は近くに置きましょう。
人は直感的に、商品から最も近くにあるプライスカードをその商品の値段だと考えます。
この距離感を誤ると別の商品と値段を勘違いさせてしまい、レジで「値段が違う!」とトラブルに発展しかねません。
商品補充の際や、お客様の手が当たるなどでカードの位置が変わることはよくあります。
整理整頓もかねて、定期的に売場の確認を行いましょう。
カードの配置に一貫性を持たせる
・商品の前に置く、後ろに置く
・商品に対して中央に置く、左右にずらす
こういったカードの配置にもなるべく一貫性をもたせましょう。
商品が大量にある店では宝探しのような楽しさがある一方、こちらも値段を誤認させる恐れがあります。
「商品名を確認すれば間違えない」と思いがちですが、ほとんどのお客様は値段しか見ていません。
そのため、カードの内容より位置関係の方が重要です。
理解をお客様任せにしないことがトラブルを減らす鍵なのです。
プライスカードで商品を隠さない
プライスカードの基本は商品の手前に設置することですが、その際に商品を隠さないよう注意してください。
よくあるミスは以下の通りです。
・プライスカードで商品パッケージが半分以上見えなくなっている
・上の棚から垂れ下がった値札で視線が遮られ、下の棚の商品が見えない
手直しする際は、商品や什器で値段が隠れていないかも確認してください。
品数が多いとここで苦労すると思いますが、絶対に重なってはいけないわけではありません
「商品のうち1つはパッケージが見える」「商品名は少し隠れてしまったが値段は見える」など、見せたい箇所が見えているかどうかが重要です。
角度を付ける
売場に近づくほど、ほとんど真上から見下ろす形になります。
そのため、床に対して垂直に置かれたカードは屈まないと読むことができません。
お客様に近いものほど寝かせるように設置しましょう。
逆に、奥側に設置する場合や、什器の高さがお客様の視線に近いものは垂直方向のカードスタンドがおすすめです。
光の反射を意識する
催事場の強い照明の下では、プライスカードが反射して読めないことがあります。
特に注意したいのがショーケースです。
ケースの内部が外部より暗い場合、鏡のように強く反射してしまいます。
・ケース内の照明を明るくする
・スポットライトの照射位置を変える
・ケースの上面に布を置いて反射を抑える
このように内外の明るさを調整するか、部分的にでも反射を抑えることである程度対処可能です。
ショーケースの照明が明るすぎる場合もありますので、あえて電源を切ってみるなど、さまざまな方法を試してみてください。
テンプレートやAIを使う際の注意点

最後に、テンプレートや生成AIを使う際の注意点についてお話します。
どちらもとても便利なツールですが、使い方を誤るとブランドイメージの低下を招きます。
今は個人の感想1つで企業が動く時代です。
「気づく人は気づく」ということを忘れてはいけません。
テンプレート使用の際の注意点
催事などのイベントで単発利用する際は、テンプレートが非常に便利です。
ただし、そのデザインは他人の著作物であり、著作権および著作人格権によって保護されています。
知っておいて欲しいのが、たとえ有料のテンプレを購入したとしても自由に使えるわけではないということです。
購入できるのは「利用する権利」であって、著作権ではありません。
有料・無料ともに利用規約の範囲内で使えるものであり、そこから逸脱した場合は著作権侵害にあたります。
また、デザインによっては現行の法律に準じていない場合があります。
それによって問題が生じても、基本的には利用者の自己責任です。
利用規約と法律、両方を遵守した利用を心がけましょう。
生成AI画像の危険性
生成AIは大量の情報・著作物を学習し、それを元に出力する機械であり、100%オリジナルデザインを作成するものではありません。
他社のロゴや商品画像、商標、デザインを出力してしまい、たびたび問題になっています。
実際に触ってみましたが、普通名詞のみで生成したにも関わらず、特定のブランドロゴが出力されてしまいました。
本来であれば商標権侵害です。
しかし、AIには権利侵害を判断し、出力を停止する機能はありません。
このように、AIは出力される内容に責任を持ちません。
誤字がないか、景品表示法に違反していないか、価格に間違いはないかなど、最終的には人の目でチェックを行うことが大切です。
まとめ
値段が分からない商品をレジに持って行き、想定より高かった時に「高いからいらない」と言える人がどれほどいるでしょうか。
プライスカードは分かりやすいデザインでなくてはなりません。
同時に、伝わるように置かなくては意味がありません。
お客様が購入を決断するためのとても大切なアイテムです。
手間はかかりますが、VMDの観点からデザインや置き方を見直してみてはいかがでしょうか。

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