原状回復の極意:店舗責任者が押さえるべき費用相場と工事の進め方
1.原状回復工事って何?
原状回復工事はどのような工事かご存じでしょうか。ここで言う原状回復工事とは簡単に言うと、主に路面店や商業施設の店舗や飲食店などのテナント、オフィスなどの内装撤去工事を行い、貸主側に入居時の状態で引き渡すことまでが「原状回復」工事としての意味として使われます。弊社ではテナントの移転や一部改装(リニューアル)の為の原状回復工事の経験が多数あります。また、原状回復工事の多くは、ここ数十年前に建てられたものも多く、その際に後に述べます「アスベスト」の問題などが浮上してきます。
それでは、実際に原状回復の内容が、どういう事で、どういった流れで、行なわれていくのかご説明していきたいと思います。
2.原状回復工事の範囲と義務
店舗や飲食店などのテナントやオフィスなどで借りた場合、原状回復工事を行う範囲は、原則100%となっています。退去や撤退するときには、貸主側に「入居時の状態で引き渡す」というのが義務となっていますので、取付け設置した床材、造作物、天井、什器、照明器具等を基本的には全て撤去し、元々の照明や配線も元通りにしなくてはいけません。建物に関する権利義務というのは、建物の床、壁、天井これらを破損、汚損させた場合(特別消耗)も原状回復が必要となってきます。
原状回復工事を行う業者は、貸主側が指定しているケースが多く、許可を取らずに他の業者へ工事を依頼はできません。原状回復工事の費用は、設置設備の違いで、場合によってはオフィスよりも飲食店の方が高額になりますが、業者によってかなりの開きがあるのも事実です。貸主側の許可が得られれば、他の業者へ見積もりを取ったり工事依頼することもできます。許可を得た場合を除き、賃貸借契約書の中に、原状回復や工事内容などの取り決めが記載されているので、案件内容によっては残置や撤去、解体をしない場合もございますのでその内容を遵守しなくてはなりません。
3.原状回復工事の期間及び工事の流れ
原状回復を行う際にはその工事の流れを把握しておくとスムーズに事が進みます。
原状回復の流れを簡単に表すと、「①業者依頼→②現場調査→③金額及び工事内容の確認→④施行→⑤引き渡し→⑥提出書類」となっています。
手順を把握しておくと、工事までの流れや内容が見てきて、手軽に依頼することや確認が出来るようになります。 テナント側も経営者側もスムーズに原状回復に入れるように、解体撤去物の範囲の確認及び方法、現場の調査など様々な原状回復工事の流れがあるので、それを説明します。
① 業者に依頼:依頼する場合は工事内容をある程度確定をしてからの方がいいでしょう。
変更事項が増えたり減ったりする際は即座に業者に連絡をしないと工程や手配が遅れトラブルに繋がります。② 現場調査:実際に現場調査をする事により解体物の量や工事を行う工程などの確認ができます。
(資料として平面図等に撤去するものを色分けなどしておくとわかりやすくトラブルが減ります。)③ 金額及び工事内容の確認:見積りや最終的な金額や工事内容を確定します。④ 施工:施工前後の写真があると何を撤去したかわかります。⑤ 引き渡し:施工完了後、クライアントや館、現場責任者で引き渡し作業を行い、不備や最終の確認をして
完了となります。⑥ 提出書類:完了報告書や竣工(完成)図書の必要提出物やご請求という流れになります。
4.原状回復工事にかかる費用
原状回復をする際の金額は、現地調査やオフィス、事務所、飲食店、物販店など、店舗物件の原状回復の工事費用は物件の大きさや、内装の破損や劣化具合、設置した設備や什器等の内容など様々な要素が影響して費用が変動します。
原状回復にかかる費用の目安を知るために一番早い方法は良い業者を見つけて見積もりを作成してもらうことです。しかし、その前に世間の相場を把握しておくことも重要です。一般的にオフィスは坪単価2.5万円~3万円前後と言われ、小売店で坪単価1.6万円~2.3万円、飲食店で坪単価1.6万円~2.5万円と言われております。
あくまで相場ですので契約内容や業態、工事を請け負う業者などによって大きな差額が出てくるということになります。
また解体とは別で店舗移転による内装物移設の為に違う店舗に輸送するの場合は什器や小物類にもよって金額が変動することもあります。
店舗の原状回復については複雑な点も多くなると思います。疑問に思うことや分からないこと、工事費用に関してわからない時は、店舗の原状回復工事について詳しい弊社のような会社、業者にメールや電話で問い合わせや相談をすることをおすすめします。
5.原状回復工事における注意点
原状回復工事の中で重要なものは解体する物の確認と申請書関係です。
誤って残置するものを撤去した場合や、その逆に撤去するものを残していた場合もあります。また施設側に工事に関する申請書が出ていない事などもあり、そのような事故が起らないように「テナント↔館↔業者」の連携・確認が重要になってきます。連携・確認が出来ていないとトラブルの元になります。
申請関係提出方法も①(業者→施設)と②(業者→テナント・クライアント→施設)があります。
よくあるトラブルは②のクライアント→施設です。この場合、業者側に提出の確認の情報が来ないことが多く、当日必要な申請書が出ていないケースが多々あります。そういったミスを減らすには申請書関係のフォーマットやその写真を送って頂き、記入、メールにて内容を確認し、施設に提出した連絡の確認があればミスなくスムーズに工事が行えます。
6.要注意!石綿(アスベスト)
石綿(アスベスト)をご存じでしょうか?ご存じない方もいると思いますのでご説明します。
石綿(アスベスト)とは、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で「せきめん」「いしわた」と呼ばれるものです。
石綿は極めて細い繊維で、難燃、耐摩擦、断熱、耐腐食性等にも強く、丈夫で変化しにくいという特性を持っていることから、建材・摩擦材・シール断熱材といった様々な建材製品に使用されてきました。
しかし石綿の粉塵を吸収してしまうと10年~40年後に肺がんや中皮腫等の胸膜疾患を引き起こす原因となることが判明し、石綿の使用に関する法規性が制定され2012年には石綿製品の全面製造・使用等が禁止となりました。
2006年9月以前の建築物には石綿製品が使用されているものが多く、解体改修する際、工事の発注者又は自主施工者は、石綿製品が使用されていないか調査をし、作業の場所、作業期間、作業の方法などについて工事を始める日の2週間前までに都道府県などの窓口に届出や報告をする事が義務付けられております。また、工事現場においても「石綿障害予防規則」の規定にのっとった予防処理を施して作業をする必要があります。
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