店舗における壁材選びの重要性とは?壁材の種類もご紹介!
店舗内装デザインにおいて、見た目や機能の面で「壁」には大変重要な役割があります。
店舗コンセプトに基づく雰囲気づくりに始まり、つくり上げた空間の快適性を維持することにも貢献します。多くの人に愛され長く親しまれるお店にしたいと考えているのであれば、店舗空間における「壁」の重要性や壁材の選び方について知ることは有用です。この記事では「壁」をテーマに理想の空間に近づけるための考え方と方法をご紹介いたします。
1.店舗における「壁」の重要性とは
店舗の内装デザインにおける「壁」は、お客様が店舗に抱く印象に強い影響を与えます。印象の良し悪しはその後リピートされるかどうか、ひいては売上を左右し持続的な経営にも直結します。良い印象を抱いてもらえたら、その印象を維持していく事も重要になります。適切な壁材を選ぶことは、快適な空間の維持に大きな効果を発揮します。そこで、どのようにしたら「壁」でお客様に好印象を与える事が出来るのか、快適な空間をどう維持するのかをご紹介いたします。
(1)店舗の雰囲気を作り出す
「雰囲気の良いお店」という言葉を聞いた時、この記事を読まれている方でしたらいくつか思い当たるお店があると思います。ひとことで良い雰囲気と言っても様々な要因がありますが、店舗に入って最初に目に入る壁・天井・床は「見た目」での最大要因とも言え、そのうち最も大きな面積を占める「壁」は、店舗構成を黄金比で考えた場合の内装デザインベースとなり、店舗全体の雰囲気を作り出す要素ともなります。雰囲気の良いお店を思い浮かべた時、壁と同時にインテリアや装飾なども印象に残っているとしたら、これは「壁」と「それ以外」の要素が黄金比として調和のとれた空間になっているという事です。このように、「壁」のデザインは店舗の雰囲気作りのベースとなる事を覚えておきましょう。
(2)店舗を快適な空間にする
「快適な空間」とは逆に「不快な空間」があります。その主な要因は「汚れ」「臭い」「湿気」。せっかくおしゃれで雰囲気の良い店舗だとしても、不快な要素が目立ってしまえば印象は最悪です。「壁」は面積が広いだけに日々の影響を受けやすく、通常は清掃などで対策を行いますが、壁材の「機能」次第では対策の効率化が可能です。後述しますが、現在では用途や目的に合わせた高機能な壁材が各メーカーより販売されています。
店舗の業種業態・コンセプト・ターゲットに対して不快な印象を与える要素は何か?それを排除するには?こう考えたとき、「壁」が一つの有効な手段であることを覚えておきましょう。
2.壁材選びの考え方
壁材を考える時、「見た目」と「機能」二つの視点を持つ事が重要な事がお分かり頂けたかと思います。この視点で店舗内を見ていくと、スペース毎に求められる壁材が明確になります。実際はここに「コスト」という視点も加わりますが、コンセプトに合わない、必要な機能を満たさない壁材で妥協するのは禁物です。
壁材選びにおいて「見た目」「機能」とは具体的にどのような事を言うのでしょうか。
(1)「見た目」から選ぶ
「見た目」で壁材を選ぶ際は「色」と「素材」に注目しましょう。「色」には暖かさや清潔感、楽しさなどを感じさせる「視覚的効果」があり、「素材」には安心感や落着き、クールさなどを与える「質感」があります。まずはどのような「色」と「素材」があるのか調べてみましょう。そして店舗コンセプトを基に、演出したい雰囲気が決まっているのであれば、適する「色」と「素材」を検討していきます。この時に実際の店舗を参考にすると非常に効率的です。いわゆる「○○テイスト」とか「○○系」といったものは、「雰囲気」「色」「素材」の組合せがある程度体系化されたものです。理想の店舗として具体的な事例を持っておくと、「色」「素材」選びがぐっと楽になります。また外部の設計者に依頼する際にも、デザインイメージを共有できるのでおすすめです。
(2)「機能」から選ぶ
「機能」で壁材を選ぶ際は「材質」と「メリット」に注目しましょう。「材質」とは、例えばタイルは耐水性が高いといった「素材が持つ性質」で、「メリット」とは、例えば汚れにくい、清掃がしやすいといった「使用して得られる効果」のことです。
まずはどのような「材質」と「メリット」があるのか調べてみましょう。そして店舗内のスペース毎に適する「材質」と「メリット」を検討していきます。この時に壁材メーカーや設計会社を活用すると非常に効率的です。多くのメーカーは壁材を機能ごとにブランドやシリーズとしてカタログに整理しています。また設計会社はそれら壁材を活用する専門家です。自身が想定している部分以外の課題や解決方法が見えてくるはずです。
3.店舗で採用されている壁材を紹介
ここまで壁の重要性と選び方について説明してきました。それでは実際に店舗デザインで採用されている人気の壁材を一部ご紹介いたします。素材の特徴を掴んだうえで実際の店舗に行ってみると、新しい発見があるかもしれません。
(1)クロス(壁紙)
①ビニールクロス
ビニールクロスは色やパターンのバリエーションが非常に豊富です。塩化ビニールなどを主な原料としており、耐久性が高い・清掃がしやすいなど機能性にも優れています。また価格も比較的に安価ですので、日本の住宅では最も採用されており、店舗デザインにおいても人気の壁材です。
②紙クロス
紙クロスはプリント加工やエンボス加工など色やパターンが豊富です。パルプを原料とした洋紙タイプ、ミツマタやコウゾを原料とした和紙タイプなどがあります。またビニールクロス程の耐久性はありませんが、通気性や吸音性に優れています。ビニールクロスとは対照的に欧米で一般的に採用されている壁材で、輸入物にはデザイン性の高い商品が多くあります。
③織物クロス
織物クロスは綿や麻、ポリエステルやレーヨンなどを原料とした、織物、不織布などを紙で裏打ちした壁材です。価格は比較的に高い部類に入りますが、素材感を活かした商品が多く、高級感や重厚感などが求められる空間で多く採用されています。破れにくく頑丈で、吸湿性・放湿性に優れています。
(2)塗り壁
①漆喰壁
漆喰壁は城や神社仏閣などで使用されてきた日本ではなじみ深い壁材です。石灰などの自然素材を原料としており、耐久性や防火性、断熱性や調湿性に優れています。このような機能性や、色が白を基本とすることから、和風・洋風問わず採用されています。
②珪藻土壁
珪藻土壁は珪藻という植物性プランクトンの死骸が堆積してできた土を原料としています。吸湿性や放湿性、断熱性や保温性に優れているという特徴があります。漆喰壁とは違い表面の質感が比較的ザラザラする為、和風な空間で多く採用されています。
(3)木材系
①無垢材
無垢材は天然の木材から一枚物の板へ加工した壁材です。ここで紹介した壁材の中では高価な部類に入ります。天然木であるため調質性や吸音性が特に優れています。またスギやヒノキなど木の種類によって異なる質感、木目や風合いが最大の特徴です。一般的に内装全体に使用されるというよりは、部分的なアクセントとして採用されます。
②天然木化粧板
天然木化粧板は複数の板を重ねた合板の表面に天然木の突板を貼り付けた壁材です。表面には天然木を貼り付けているため、無垢材のような質感、木目や風合いが特徴です。加えて価格は無垢材と比較して安く、調質性などの機能にも優れるため人気があります。
(4)タイル
タイルは粘土を主原料とし、その他原料の配合によって様々な種類が存在します。そのことからデザインのバリエーションが非常に豊富です。耐火性や耐水性、耐久性に優れており、水回りやアクセントとして採用されることが多いです。
4.色の視覚的効果をご紹介
ここでは一般的に使われる色の視覚的効果を紹介いたします。「雰囲気が良いお店」にはどのような色が使われているか、またお客様の視点でどのような印象は抱くか、それらを想像しながらご覧ください。
(1)赤
情熱、興奮、強さ、活力、高揚などの意味があります。
(2)オレンジ
暖かさ、喜び、明るさ、陽気、活発などの意味があります。
(3)黄色
元気、希望、賑やか、軽快、愉快などの意味があります。
(4)緑
安らぎ、調和、新鮮、安定、リラックスなどの意味があります。
(5)青
知的、冷静、爽快感、誠実、信頼感などの意味があります。
(6)紫
優雅、高貴、上品、神秘的、妖艶などの意味があります。
(7)ピンク
かわいい、愛情、幸福、ロマンティック、若々しいなどの意味があります。
(8)ブラウン
ぬくもり、安心、伝統的、堅実、自然などの意味があります。
(9)グレー
大人、真面目、穏やか、落ち着き、実用的などの意味があります。
(10)白
清潔、純粋、神聖、正義、自由などの意味があります。
(11)黒
高級感、威厳、重厚感、洗練、エレガントなどの意味があります。
5.注目の壁材をご紹介
壁材選びの考え方として「見た目」と「機能」の視点を持つことをお伝えいたしましたが、近年それ以外の視点として「環境配慮」が注目されています。弊社へもサスティナブルな取り組みに関してのお問合せが増えてきました。そこで今回はサスティナブルな取り組みの一つとして、リサイクル材を用いた壁材をご紹介いたします。
(1)株式会社サンゲツ / MEGURe WALL
https://www.sangetsu.co.jp/pickup/megurewall/
元になったリサイクル材が車両のクッション材に使用される樹脂の端材と、お米を脱穀した際に出る籾殻を細かく砕いた素材の2種類あるようです。質感や製品名からして和テイストな店舗で広く活用されそうな印象を受けますが、樹脂の端材をリサイクルした製品の方は洋風な空間にもマッチしそうです。機能面では不燃・準不燃、防カビ性能も備わっており、店舗内装でも活用できるかと思います。使用しているリサイクル材を考えると、環境配慮に取り組むカーディーラーや、お米関連の店舗で使用するのも、ストーリー性があって面白いですね。また和テイストな見た目、防カビ機能が備わっているので、日本古来の塗壁である「漆喰壁」「珪藻土壁」と合わせてみてもいいかもしれません。
6.まとめ
長くなりましたが、店舗デザインにおける「壁」の重要性はご理解頂けましたでしょうか。店舗の雰囲気づくりに悩まれている方は一度「壁」に注目してみるといいかもしれません。この記事で何度か書きましたが、まずは「店舗コンセプト=デザインの方針」を決めることが大切です。「見た目」と「機能」、そして「コスト」を考慮してデザインを検討するときに、目指すお店の具体的なイメージと熱い想いを持っている事が重要です。弊社では各種設計のご相談から、実際の内装工事まで手厚くサポートを実施しております。御用の際はお気軽にお問合せ下さい。
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