飲食店空間における定期メンテナンス
こまめにメンテナンスを行うことで、大きな改装を行わなくても見た目もきれいで清潔な店舗を維持することができます。
設備の更新は約10年に1度といわれます。対して、内装仕上げの更新頻度は約5年程度が理想的で、そのタイミングで大きな改装を行う店舗が多いです。しかし、内装仕上げの大きな改装までの期間は設備とは異なり、こまめなメンテナンスよって伸ばすこともできます。
きれいな店舗はお客様が居心地がいいのはもちろん、従業員にとっても働きやすい職場です。そのような店舗を継続する為にはメンテナンスの方法を知ることが大切であり、箇所ごとによく発生する不具合にも傾向があります。この記事では、不具合の傾向と対策、新装時からできる対策についてもご紹介いたします。
1.内装・表装仕上げの不具合
表装仕上げの不具合の中でも、特に多くみられる塗装仕上げ、床タイル仕上げの不具合の傾向と対策をまとめて見ていきましょう。
【塗装仕上げの不具合の傾向】
・建具や通路幅が狭い従業員動線部分に、へこみや塗装剥がれが発生しやすい。
・同じ色で塗装補修しているのに、色が少し違い境目が目立つ。
【対策】
・建具付近の塗装壁面に関しては、戸当たりを取り付け直接壁面に扉がぶつかるのを防ぐ。
・従業員動線は部分的に、衝撃を受けてもへこみずらい同色の鋼板貼りやメラミン化粧板貼りとする。
・既存壁面は塗装初期から時間が経ち色の変化が発生することがあるため、キズの周辺部分だけでなく面単位で上塗りを行い、出隅や入隅などで縁を切る。
【床タイル仕上げの不具合の傾向】
・目地部分の汚れ、欠損
・床固定されている手摺りや腰壁撤去時にできる穴
・タイル割れ
【対策】
・新たな目地埋めにて対応
・コーキング(シリコン)埋め:
(良)安価
(悪)合う色がない、質感が違う。
・バックアップ材+シリコン+床用塗料:
(良)補修箇所がほとんどわからない程度に修復可能
(悪)若干高価
・タイル交換、もしくは壁際のつまずく危険のない場所なら床再接着のみの対応も可能。
2.建具・家具の不具合
ここでは建具・家具に多く見られる不具合を見ていきましょう。具体的には収納扉の金具部分の不具合、腰壁・笠木などのキズ、などが挙げられます。放置すると、大規模な工事が必要であったり交換の対応しかできなくなり、非常に高額となる恐れがあります。
【扉の金具部分の不具合の傾向】
・丁番のゆがみ
・マグネットキャッチの不良
【対策】
・丁番の調整、もしくは交換にて対応。また、新装時からスライド丁番よりも平丁番を使用した方が歪みが発生しにくく修理の回数は少なくて済みます。
・扉のズレなら調整により修理可能。破損の場合は交換、破損原因は本体のプラスチック部分の破損、磁石部分のみが外れるなどがほとんどのため、本体がスチールの物を使用することで不良頻度が減ります。
【腰壁・笠木の不具合の傾向】
・白っぽい小さな傷が点々とある。
・上記よりも深い傷、細く長い切り傷
【対策】
・実際の木材の仕上部分が傷ついているわけでなく、その上に塗布されている保護クリア塗料が割れて光の乱反射により白く見得るキズ。保護クリアを再度塗装することで簡単に消えます。
・近似色タッチアップ補修
3.厨房設備と害虫害獣対策
新装時の段階から検討してほしい対策として、ここでは厨房部分に施す害虫害獣対策について書いていきます。
飲食店の厨房部分は、安全衛生に最も気を遣う部分です。また、設備機器類が集中する場所でもあります。害虫や害獣(ねずみ)の侵入は食品衛生上よくないのはもちろんの事、設備機器配線を鼠がキズつけることによる漏電が発生するリスクもあります。
そのため、配管貫通箇所や、厨房内に発生する隙間を硬質ボード材(メラミン化粧板、鋼板)や防鼠パテにて遮断する必要があります。
4.スムーズで的確なメンテナンス対応を実施するために
ここまで、よく見られる不具合の傾向と対策について紹介いたしました。
最後に、スムーズなメンテナンスを行うためにお願いしたい準備や新装時の工夫についてお伝えします。
・作業前の清掃
上記でご紹介した塗装や、腰壁・笠木のキズの補修の作業の前に清掃をすることでキズか汚れかを明確にし、作業に取り掛かることでよりすばやくきれいな仕上がりとなります。
・資料保管
新装時の資料を残しておくことで仕上げの部分的な破損が生じ交換等が発生した際にスムーズに材料を手配でき、設備面に関しても不良原因の究明に役立ちます。
・仕上げの材料を余分に保管
タイルや、クロスなどは、経年劣化で交換をしたいときに廃番となり手に入らず、やむを得ず全部交換というケースがございます。そのため、資材を余分に保管できるのであれば最低限の補修程度で済み余分な費用が掛からずに済みます。
・チェックリストの作成
複数店舗を抱えられている場合などは、メンテナンスがよく発生する箇所を集計しチェックリストを作成することで、各店舗の品質のバラツキを抑えることができます。
昨今の品不足により、不具合が出てから対応を依頼したのでは非常に時間がかかったり、高額な請求をされたりする可能性もあり、営業に支障をきたすことは否めません。そういった最悪の事態が起こる前に積極的な定期的メンテナンスを考えましょう。
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