VMDと売上アップの未来：店舗オーナーが押さえるべきディスプレイの重要性と方法

2021年、コロナ過でのステイホームもあり、EC市場の拡大が急進し、リアル店舗の存在を再度考えさせられる年となりました。
近年、EC売上の増加により、購買方法と店舗の在り方が変化してきていることは皆様のご存じの所だと思われますが、インターネットが身近な時代になりモノへの価値観も大きく変化しています。
ショールーミング化（実店舗で確認した商品をその場で購入せず、ネット通販によって店舗より安い価格で購入する事）、デジタルの導入、複合化、などにより、店舗はただ購入するための場だけではなく「カスタマーエクスペリエンス（顧客体験）」を提供する場として変化を遂げており、人の感情や五感に直接訴え掛ける、そんな店舗演出や仕掛けが必要となっています。それをVMDで表現するには、様々な方法があります。
中でも注目したいのは、「ライフスタイルの提案」です。少し前からライフスタイルショップが関心を集めていますが、目的購入への対応がインターネットへ移行した現在、店舗の演出として、いま一度目を向けてみましょう。

1.ライフスタイルの演出

ライフスタイルショップとは、「衣・食・住にまつわる商品を集めて整理して、生活スタイルを提案するお店」と一般的には定義されていますが、昨今求められているライフスタイルショップとは、「憧れのライフスタイルのインスピレーションを与えてくれる、雑誌が空間になった様なお店」と考えられます。素敵な生き方を提案してくれる雑誌を読む感覚をもたらしてくれるお店、というイメージです。
商品を買う、というより、何を紹介しているのかを知りたい、その空間を共有することですてきな生活の要素を自分も取り入れられるような気がする、お気に入りが見つかる、、といったお店です。
ライフスタイルショップに大事なことは
① 「世界観」や「空間」を体験し共感を得られる
② 新しい発見や楽しさやワクワクを提供できる
③ 目的が無くても立ち寄りたくなる存在になる
目的買いのためではなく、その店舗の世界観を味わいに行きたくなる、そしてそこへ行けば何か欲しくなるモノが見つかったり、気分が楽しくなる・用事が無くても、「なぜか行きたくなるお店」とお客様に思わせることが大切です。

2.店舗でできるライフスタイル演出とは？

ライフスタイル演出に大切なことは、
① ブランドや自店舗のコンセプトやブランディング要素をよく知ること
② それに合ったターゲットを決め、具体的なシーン、ストーリーを立てる
③ 実際に空間の演出に必要なアイテムをリスト化し準備する
一つのアイテムを見せるより、シーンを演出する
そのアイテムを使用する「時間」「空間」「体験」を紹介する

例えば

といった様に、こんな生活がしたい！と思わせるようなリアルな提案（設定）、この空間の中のモノがすてきに見えてしまう、お気に入りを発見できる。
そんな空間づくりを目指しましょう。

3.商品だけではなく、店舗全体の空間としてトータルに徹底した世界観を作り上げることが大切

本来の店舗造りである、インテリアや什器等の細部にまでセンスとこだわりを持って空間そのものを総合的に演出することが大切です。
店舗のドアノブ・ハンガー・家具までオリジナルで製作されオーナーの想いが店全体に充満しています。こういった雰囲気が好きなお客様にはたまらない居心地の良さで、目的が無くても足を運びます。
また、どこで制作しているのか、どんなコンセプトなのかなど気になり、スタッフとの会話も弾むためのコミュニティもでき、ますますお店に立ち寄るようになります。
スタッフとの楽しい会話もカスタマーエクスペリエンス（顧客体験）の一つです。
雑誌のページを見るような感覚でお店の世界観を楽しめる。そんな空間の演出ができると、買い物だけではなく、情報や発見、インスピレーションを求めてお客様が来店するお店になるのでは、ないでしょうか。