内装工事のプロが解説：
店舗リノベーションで費用抑える方法とポイントを解説

自店舗をリノベーションするにあたり見積を受け取った際、予想以上に費用が掛かると感じたことはないでしょうか。
リノベーションに掛かる主な費用には、まず最初に行う工種である解体工事費や、壁や天井・床仕上げの表装工事費、カウンターやテーブル、棚などの造作工事費が大きく関わってきます。また場合によっては空調等の設備工事費も掛かります。リノベーションにはこれらの費用がどうしても掛かりますが什器や造作物など、すべてを新しくする必要があるでしょうか。中でも解体工事費と造作工事費は再利用を図ることで削減できる可能性があります。
処分しようとしていた什器や造作物、建材を再利用またはアップサイクルする方法をご紹介します。

1.別用途に再利用する方法

別の用途にアップサイクルされた例を2つご紹介します。

〇「テーブル天板からベッドのヘッドボードに再利用」
宿泊施設の食事スペースと客室の改修工事を行った際、テーブルの廃棄も想定していました。テーブルとしては使い勝手が悪かったものの、オーナーが探された思い入れもあるものでもあったため、何かに使えないかと考え、サイズ調整などの加工を施すことで天板をベッドのヘッドボードにアップサイクルしました。

〇「床材から棚、手摺に再利用」
床をフローリングに張り替える際、フローリング材が余ることが計画段階で分かっていました。
本来、建材の余りは施設内で保管もしくは、廃材として処分しますが、処分はせずに壁付の棚や手摺に加工し、アップサイクルしました。

2.そのまま再利用する方法

手を加え、そのままの用途で再利用していくのも一つの手法です。大きく分けて2つの方法があります。

〇補修・補強の方法
木工什器の表面に傷がつき塗装の剥がれがある、端が欠けているといったことはよく見られます。木材表面の傷であれば表面を研磨し、再度塗装することで補修できます。端が欠けている場合、欠けている部分を埋めて補修する方法や金物等の別材料でカバーし、補強する方法もあります。

〇仕上げ更新の方法
十分に使用が可能な物であっても既存の建具や什器をそのまま使用するとリノベーションした店舗のイメージに合わないことがあります。
金物什器でも十分に下塗りを施すことで再塗装して色を変えることが可能です。元々の仕上げがシートやメラミン化粧材であれば上貼りすることで店舗のイメージに合った仕上げに更新できます。
ただし、補修や補強、仕上げの更新が必要な範囲や方法によっては新しく作り替える方が安価になる可能性もありますので、状況に応じて検討が必要です。

3.処分する必要がある場合

このように積極的に什器や造作物を再利用していったとしても、リノベーション工事には廃材として処分しなければならない物は必ず出ます。
まずは再利用していくことで廃材の量が減小するので、処分費用を抑えることができます。さらに、処分する廃材を費用が高い混載処分ではなく、木くず、金属くず、廃プラスチックなどに分解、仕分けをしてから処分することでより効果的に費用を抑えられます。
細かく分類された廃材の多くは焼却、埋立処分されずリサイクル資源に利用されるため環境配慮にも繋がります。

4.店舗のリノベーションから社会貢献へ

店舗のリノベーションを検討されるにあたり、決して全てを一新する必要ははなく、再利用できる物もあります。
什器や造作物、余った建材などを処分せずに再利用、アップサイクルすることで造作工事費を減らしていくのと同時に解体範囲が縮小するので解体費用も減らすことができ、全体を通してコストダウンを見込めます。また廃材量は減り、細かな分類はリサイクルを促すのでサステナブルな社会やSGD`sの貢献にも繋がります。
現地にお伺いして、状態を確認した上で再利用の方法をご提案することもできます。ただ処分しようとするのではなく、まだ使えないか、違う形に変えられないか一緒に検討してみませんか。