知っておきたい店舗デザインの基礎知識!
押さえるべきポイントをご紹介
店舗出店を計画する際に必ず問題となるのが「やるべきことの多さ」です。限られた時間でコンセプトを決めるだけなく、会社探しや資金調達、従業員の募集までしなければなりません。外装や内装のデザインにこだわりたいのに、同時にこなせるのか、失敗してしまわないか不安な方も多いのではないでしょうか。
この記事では店舗デザインにおける基本的な考え方を軸に、進め方や会社選びのポイントを解説しています。大切なことは、計画の始めの段階で検討すべきこと・やるべきことを把握し、それを誰が主体となって取り組むのか明確にすることです。つまり、店舗デザインにおいては「役割分担」が基本となります。
1.そもそも店舗デザインとは何を指すのか?
始めに、広義の意味で「店舗デザイン」を捉えると実に多くの作業が含まれています。物件を探すことも図面を書くことも工事をすることも含まれてしまいます。このままでは発生する作業や検討すべき事項の把握、担当者を決めることもできません。当然、実現性の高い出店計画を立てることはできません。先ずはどのような作業が「店舗デザイン」に含まれているのかを確認し、全体像を掴むところから始めていきましょう。
店舗デザインとは「設計」と「施工」のこと
店舗を完成させるには、大きく分けて「設計」と「施工」という作業が発生します。ヒアリングした業態コンセプトやレイアウトを図面や文字などの情報に整理することを「設計」といいます。そして、整理された情報を基に実際に工事するのが「施工」です。「設計」は更に「企画設計」や「基本設計」などに分けられるのですが、詳細は後述する「店舗デザインの流れ」で解説いたします。
また「店舗デザイン」というと、上記の作業に業態コンセプトの検討や商圏分析といったマーケティング的な作業を加えた一連の流れを指すことが多いです。
店舗デザインでは専門会社の協力が重要
一般的に店舗デザインはいくつかの専門会社に依頼して進めるケースが多いです。やるべきことが多く、それぞれで専門的な知識が必要だからです。「設計」は「設計事務所」に、「施工」は「施工業者」にといった感じです。因みに、そのどちらも請け負うのが「設計施工会社」です。
計画を立て始めた段階では内製化が難しい領域と、調査力・企画力・造形力など力を入れたい領域を明確にすることを優先しましょう。そして、どの領域で専門業者に依頼するのか検討します。そうすることで計画を立てやすく優先順位も付けやすくなります。
2.店舗の出店を計画してから完成するまでの流れ
店舗デザインはざっくり「設計」と「施工」に分けられること、専門業者を利用して進めることをお伝えしました。次はより詳細に店舗の出店を計画してから完成するまでの流れを解説いたします。どこまでなら自社で進められるのか考えながらご覧ください。
(1) 業態コンセプトの検討
計画全体の核となるのが「業態コンセプト」であり、これから発生する全ての作業の指針となります。つまり、「業態コンセプト」が具体的であればあるほど、後に続く作業や項目を検討しやすくなります。
一般的に「5W2H」に沿って店舗を構成する情報を整理していきます。何の商品・サービスを誰にどれぐらいの価格で提供するか、利用シーンや適した立地、必要な広さや設備は何かなどです。詳細は『店舗設計を依頼するということは』で解説していますので、リンク先の記事をご参照ください。
⑵ 商圏調査
業態コンセプトが固まったら、次はマッチしそうなエリアを検討していきます。店舗の売上を左右する最大の要素として立地が挙げられることは多く、この作業の良し悪しで立地は決まります。商圏は業種・業態・販売方法によって異なるため、コンセプトが具体的でないと商圏調査は難しくなります。
ここでは細かい調査項目・方法は記載しませんが、統計調査等を活用して人口や年齢層、世帯数などの情報を整理していきます。
⑶ 物件探し・現地調査
商圏調査が済んだら、次は検討したエリア内で物件を探していきます。そもそも出店先が商業施設なのか路面店なのかで物件の探し方は異なりますが、主に不動産やその関連サイト、知人からの紹介等で探すことになるかと思います。
エリア内でどこに位置するか、人通りや視認性などの「立地条件」と、引き渡しの状態や家賃、築年数や契約内容などの「物件条件」をこれまでの作業で整理した情報と照合していきます。
⑷ 企画設計
これまで検討・調査した情報を基に店舗の外装や内装の全体像を形成していきます。今後の作業はこの段階で整理された情報を軸として更に具体化していきますので、業種・業態コンセプト、ターゲット層や立地条件・物件条件をすり合わせ、デザインやレイアウト、必要な機能等を洗い出しましょう。そして企画書や平面図、パース・スケッチ等の資料にまとめることで次の作業に繋げます。
理想の店舗イメージを持っているのであれば、このタイミングで参考にするとよいでしょう。
⑸ 基本設計・見積作成
企画設計で店舗の全体像を明確にしたら、次は店舗を構成する要素ごとに情報を追加していきます。この段階では外装や内装の仕様にも言及しますので、見積の作成も並行して進めます。お金が絡んできたことからもわかる通り、実現が厳しい部分も明確になってきますので、調整事項が非常に多く発生します。
最終的には配置図や立面図などの多くの図面を作成して配置や位置関係、仕様を明確にしていきます。
⑹ 実施設計
基本設計で店舗を構成する各要素を明確にしたら、次は実際に製作できるレベルまで詳細な情報を追加していきます。この段階では各要素を外装・内装といった一括りで語ることはなく、床・壁・天井、什器インテリア、照明、音響などの機能ごとに検討を進めます。基本設計で作成した図面に対して、部材や機材の寸法、組み立てや取り付けの方法などが書き加えられます。
⑺ 施工業者の決定
企画設計→基本設計→実施設計を経て図面・見積等を作成したら、次は施工する会社を選んでいきます。一般的に工事規模に適した会社数社に対して見積依頼をかけると良いとされています。金額や担当者の対応、実績など総合的判断で会社を決定します。選定基準は関しては後述しますが、安かろう悪かろうも十分に起こり得ますので注意が必要です。
⑻ 着工
施工会社と契約が成立すればいよいよ着工となります。実際は、契約から着工までに工事に関する調整が多く発生します。施工は走り出しが一番肝心と言われるほどなので、諸官庁との調整や工程の確認、指示系統など綿密に打合せをするようにしましょう。
工事中は計画通りに進んでいるかの管理が特に重要です。スケジュールや安全管理、仕上がりや予算のチェックなど、誰が何を担当するかも併せて決めておくようにしましょう。
⑼ 竣工
工事が終わりに差し掛かった段階で各種検査が発生します。主に消防や保健所などの公的機関がルール違反がないかチェックします。終わればいよいよ依頼主がチェックする竣工検査に移ります。
オープンまでに開店準備もしなくてはなりませんので、不具合や調整してほしい箇所、その他追加してほしい部分はすべてこのタイミングで共有します。共有事項が全てクリアできたならば完成です。
3.依頼先で失敗しないための5つの確認事項
店舗の出店を計画してから完成するまでの流れを紹介してきました。改めて店舗デザインに含まれる作業をざっくりとでも把握できたかと思います。それでは肝心の会社選びの軸となる基準を5つ解説いたします。
⑴ 得意なサービス領域を確認
設計事務所や施工業者という括りがある通り、専門業者には必ず得意とするサービス領域=売りが存在します。これまで何度も記載した通り、力をいれたい領域を念頭に置いて各社のサービスを確認しましょう。デザインにこだわるなら設計を設計事務所に、施工を施工業者に依頼するのが良いです。予算的にトータルで調整が必要ならば設計施工会社に依頼するのがおすすめです。
⑵ 得意な業種・業態を確認
設計事務所や施工業者という括りに関係なく、専門業者には必ず得意とする業種・業態が存在します。例えば出店を考えているのがラーメン屋ならばラーメン屋が得意な会社に依頼するのが得策です。限られた予算の中でデザインやレイアウトを最大限検討するのが関係会社の使命ですが、得意な分野であれば更に魅力的な提案やサポートを期待することができます。
⑶ 担当者の対応を確認
パートナーとして最後までサポートしてくれるのが担当者です。本来会社選びの段階で判断するのは難しいですが、応対や提案の内容、要望に対しての回答などで仕事が進めやすそうか確認しましょう。業態コンセプトが明確であればあるほどスムーズに進められますが、仮に不明確でもイメージや構想を言語化し要望として伝えることが大切です。
⑷ 予算感を確認
これまでの全ての基準がよかったとしても、問題となるのが予算感です。施主の予算を理解し適切な提案をしてくれる業者かどうか必ず確認しましょう。基本設計時の見積を始め修正が発生した際の調整力など、コストマネジメント能力の高さは非常に重要です。店舗デザインにかかる金額は一際大きいので、適正価格なのか説明してくれるかどうかもポイントになります。
⑸ 実績を確認
実績の数=ノウハウの数=経験値と考えましょう。実績のある業者であれば依頼主が想定している以上のことについても提案してくれます。仮に不測の事態が起きたとしても柔軟に対応してくれるでしょう。店舗デザインで不安なことが多いと感じる方は、まず実績があるかどうかを一番に確認してみるのがおすすめです。また実績があるということは、これまで解説した基準が評価されているということも意味しています。
4.店舗デザインでは主に設計費と施工費の費用がかかります
店舗デザインにおいて発生する費用は作業と連動していますので、「設計にかかる費用」と「施工にかかる費用」に大別されます。施主へのヒアリングを基に計画・設計する「設計費」と、設計情報を基に資材・人材を調達し工事をする「施工費」です。設計費には、施主の代理人として工事を管理する「設計監理費」も含まれます。
設計費
主に設計事務所に対して支払われる費用です。設計費の狭義の意味は上記の通りですが、店舗の業種や規模などによってもかなり変動します。また、マーケティング的な作業が発生する場合は設計費に含まれる、または別途費用として加算されます。
施工費
主に施工業者に対して支払われる費用です。施工費は更に店舗を演出する、内・外装や什器、音響、照明などにかかる費用と、店舗の機能となる給排水や電気、空調、防災などにかかる費用に分かれます。一般的に前者を「造作工事費」、後者を「設備工事費」と呼びます。施工費も業種や規模などによってもかなり変動すると覚えておきましょう。
5.まとめ
どのように店舗デザインが進むか把握できたでしょうか。全体像をある程度つかめていればいくらか計画も立てやすくなるかと思います。とはいえ、それぞれの作業がどれぐらい時間がかかるかは店舗によって異なるのが実状です。大抵の設計事務所は初期の計画段階からあらゆるサポート・アドバイスをしてくれますので、いち早く専門の会社に相談してしまうのが最も効率的な方法です。
当社では各種設計のご相談から、実際の内装工事まで手厚くサポートを実施しております。御用の際はお気軽にお問い合わせください。
関連するノウハウ
人気記事ランキング
施工実績
-
“20年分のありがとう”をお客様へ伝える感謝状モチーフのフォトスポット
広島マリーナホップ
商業施設
-
トレンド発信地に進出した、伝統を守り進化を続ける革靴専門店
スコッチグレイン 表参道店
商業施設
-
“デニム”のテクスチャー感を再現したサステナブルなジーンズショップ
Right-on おのだサンパーク店
商業施設
-
デザインコンセプトは【男性の利用を前提に】新感覚授乳室デザイン
『ベビーラウンジ内装工事』おのだサンパーク
商業施設
-
2017年フルリニューアル
THE SUIT COMPANY 大宮西口店
商業施設
-
小売場でのキャッチーなディスプレイと壁面デザイン
mademoiselle tara そごう広島店
商業施設
-
地域に喜ばれる売り場づくりへ
五日市福屋 GIFTSALON 改装工事
商業施設
-
一致団結のもと開業
ららぽーと海老名FC
商業施設
-
「すべての人に、オーダメイドスーツを。」をコンセプトに
洋服の青山 池袋東口総本店 オーダースーツコーナー新設工事/設計施工
商業施設
-
港北ニュータウン センター北 駅直結商業施設の店舗改装
『iti あいたい』 2017年 環境リニューアル工事
商業施設
サービス案内
資料ダウンロード
-
【2024年度版】補助金活用ガイドブック
-
TAISHO design activity~ショールーム作りませんか~
-
【2023年度】店舗改装や内装工事も対象!事業再構築補助金活用ガイドブック
-
TAISHO design activity~ARとXRを活用した新しいイベントの形~
-
TAISHO design activity~空きスペースをよりよく活用しませんか。~
-
TAISHO‘sカフェドキュメントwithZEFcoffeeArts
-
TAISHO design activity
~ステキな空間、一緒に作りませんか?~ -
TAISHO design activity
~人にも地球にもやさしい空間づくり、一緒に考えませんか?~ -
TAISHO design activity
~大昌工芸と一緒にブランディングしませんか?~ -
TAISHO design activity
~ECサイトからリアル店舗への展開~ -
TAISHO design activity
~今、求められるレストスペースのアイデア~ -
おしゃれな空間の設計事例集
-
店舗設計・デザインノウハウ集
-
設計業務とは?
-
内装で解決!集客力を高めるためのガイドブック
-
空間演出で変わる!魅せる空間創りのガイドブック
-
店舗改装もニューノーマル!時代にマッチした店舗デザインガイドブック
-
空間演出で他社との差別化を!別視点からの演出方法
-
リノベーションで売上UP!費用問題も押さえたガイドブック