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ブランドの「顔」を創る旗艦店とは?直営店との違いと設計・デザインのポイントを解説

企業が商品を販売するとき、ECサイトや量販店での取り扱いだけではなく、自社の個性を反映した店舗づくりが欠かせません。とりわけ、“大きな規模で世界観を表現する拠点”と“運営元が直接管理し、安定した売り上げを狙う店舗”の設計は、ブランディングとマーケティング双方の視点から非常に重要といえます。
さて、ここで大切なのが「旗艦店」と「直営店」といった、いわゆる形態の違いについて理解することです。店舗ごとのコンセプトやお客様の動線、スタッフの働きやすさなどを総合的に設計していくうえで、この二つの違いを理解し、どう生かすかは大きなテーマといえます。
本記事では、それぞれがどのような意味を持ち、どのようなマーケティング目標を追求するかを踏まえながら、店舗デザイン・設計の実務に役立つポイントを深掘りしていきます。
旗艦店と直営店の設計・デザインを考える際に役立つ情報をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

旗艦店と直営店、それぞれの概要

ブランドの世界観を示す旗艦店

多くの企業が「ブランドの顔」として位置づける旗艦店は、いわば“ショーケース”の役割を担う場所です。単に商品を並べて販売するだけではなく、ブランドの歴史やストーリー、最新コレクションを体験型コンテンツとして提供し、来店者に強烈なインパクトを与えるのがポイントです。

【イメージ訴求】
内装・外観ともにオリジナリティを重視し、テーマやコンセプトを明確に打ち出します。たとえば、建物のファサードから照明、BGMに至るまで統一した演出を行い、ブランドの世界観を全方位で表現します。

【メディアへの注目度】
旗艦店はオープン時やリニューアル時に、報道関係者やSNSインフルエンサーを集めた内覧会などを開き、ニュース性や話題性を重視します。このため、集客目的だけではなく、ブランド認知度を高めるうえでの“広告塔”として機能するケースが多いのです。

【多面的な事業展開】
商品販売に加えて、ブランドにまつわるカフェやギャラリースペース、コラボイベント会場を併設するなど、エンターテインメント性が重視されることも珍しくありません。単なる小売店としてではなく、ライフスタイルやコミュニティを提案する場として設計されています。

統一感と安定感を重視する直営店

企業が持つ小売網を全国・地域にわたって展開し、安定した収益源とする拠点は、いわゆる運営元の企業が直接経営する“直営店”です。こちらは多店舗化が前提となるため、各地で統一されたブランドイメージと品質を提供できるよう、マニュアル化や効率化に重きを置くことが多いのが特徴です。

【デザインの標準化】
フロアレイアウトや陳列棚、看板デザイン、サイネージなどが基本的に共通ルールで統一されます。新しい店舗を出すたびに同じテイストを適用しやすく、コストや施工期間を最適化しやすいのがメリットです。

【信頼感の醸成】
消費者から見れば、企業が直接運営している安心感が得られます。正規品の取り扱いは当然のこと、スタッフの接客やアフターサービスにも一定の品質が保たれ、リピーターを獲得しやすい形態です。

【戦略的な売り上げ確保】
安定した在庫管理や価格設定によって、ブランドの“日常使い”を支える重要な役割を果たします。ファンにとっては“行きつけのお店”として利用しやすく、企業側から見ればロイヤルティを育みやすいのです。

なぜ形態の違いが生まれるのか?

旗艦店:イメージ訴求の拠点としての役割

なぜわざわざ異なる形態の店舗を持つ必要があるのか――その答えは、マーケティング戦略上の目標が異なるためです。
たとえば、旗艦店はブランドのコンセプトや先進性、こだわりを余すところなく伝える“広告塔”としての側面が強く、売り上げだけでなく“ブランドイメージの確立”という大きな使命を担います。
具体的には、新作発表会やコラボイベント、メディア向けのショーケースなどが頻繁に行われ、SNS映えするスポットとして取り上げられやすい設計・デザインが求められます。
この結果、企業全体のブランディングを牽引し、多くのユーザーにブランドを知ってもらうきっかけを作るのです。

直営店:収益安定と顧客獲得を狙う運営形態

一方の直営店は、“日常的に商品の購買を繰り返してもらう”という安定収益モデルの要となります。ブランド認知を広めるのももちろん重要ですが、すでにブランドを知っている人たちが、実際に足を運んで商品を買い、かつ長期的にファンで居続けてもらうための場所です。いわば“ブランドとの接点”を出店エリアにもたらすことで、リピーター獲得や一定の売り上げ確保を図っています。
設計の観点からは、豪華な演出よりも「どのように商品を探しやすく並べるか」「スタッフが接客しやすい環境をどう整えるか」「効率的なレイアウトで、限られたスペースを最大限活用するか」といった、実務的・機能的な要件が重視されるのが特徴です。

店舗設計・デザインの視点から見る両者の特徴

旗艦型:体験重視の空間づくり

旗艦店を設計する際は、来店者にブランドの物語や世界観を“体験”として感じてもらうことが要になります。以下のような工夫が代表的です。

【ブランディング要素の強調】
エントランス部分には大きなロゴサインやシンボルオブジェを設置し、入った瞬間に「ここは特別な場だ」という期待感を与えます。照明や音響にこだわり、ドラマチックな演出でワクワクする雰囲気をつくることが多いです。

【SNS映えするスポット作り】
近年はSNS上での拡散を意識し、“インスタ映え”を狙ったフォトスポットを店舗内に仕込むケースが増えています。
たとえば、ブランドロゴが浮かび上がる壁面ディスプレイや、期間限定で変化する展示を設けるなど。自然と撮影したくなる場所があることで、口コミ効果が高まります。

【体験イベントの動線設計】
イベントや新作発表会のときに多くの人が集まってもスムーズに動ける動線設計や、ステージ・スクリーン設置など、時期に合わせてフレキシブルにレイアウトを変えられるよう工夫します。
単なる売り場としての固定レイアウトではなく、“イベントスペース”としての機能を兼ね備えるケースが少なくありません。

直営型:実用性と効率を追求した設計

一方の直営店では、以下の点が重点的に考えられます。

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【在庫管理・補充のしやすさ】
後方スペース(ストックルーム)の確保や出入口の配置を最適化し、商品をすぐに補充できるよう動線を設計します。
スタッフが最小の移動で接客と補充を両立できるレイアウトは、お客様へのスムーズなサービス提供にもつながります。

【お客様の購買行動を考えた陳列】
入口付近に主力商品や新作を配置し、奥に行くほど定番商品を取りそろえるなど、購買心理を反映した陳列がよく行われます。
旗艦店のようなインテリア装飾よりも、“売り場の見やすさ”と“商品発見のしやすさ”を重視する設計が中心です。

【スタッフ目線の動線設計】
レジやフィッティングルームの数や位置、スタッフが巡回しやすいルートなど、運営側の使い勝手が大きく売り上げに影響します。
混雑時のレジ待ちストレスをどう減らすか、スタッフが接客と会計を効率よくこなせるかなど、比較的オペレーション寄りの課題解決を重視します。

ゾーニング・レイアウトが左右する集客と顧客満足度

集客力を高める動線と演出のポイント

店舗設計において最初に取り組むべきなのは「人の流れをどう作るか」です特に旗艦型では、入り口から奥へスムーズに移動できる導線を確保しつつ、各所に“滞在ポイント”を配置して満足度を上げることが肝心です。

【視線誘導と回遊性】
入口正面にステージ・ディスプレイを配置し、自然に奥側や別フロアへと誘導する工夫が求められます。
天井の高さや照明の配置、案内サインの視認性などの要素を組み合わせ、来店者が迷わず回遊できる構成を作ります。

【心理的な快適性】
お客様が店内を歩き回っても圧迫感を感じさせない通路幅やスペースづくりが必要です。
また、窓の位置や照明の色温度を調整し、“入りやすさ”と“居心地の良さ”を両立させることで長時間滞在を促し、購買につなげます。

滞在時間購買意欲を引き出す設計

旗艦店の場合、単に回遊してもらうだけでなく“店内で長く過ごしてもらう”ための仕掛けを盛り込みやすいメリットがあります。ラウンジスペースやカフェ、デジタル体験コーナーなど、五感に訴えるコンテンツがお客様の興味を引き続けます。
逆に、直営店舗では長居してもらうことよりも“必要な商品をスムーズに購入してもらう”ことを優先するケースが多いでしょう。とはいえ、最近では「接客+カウンセリング」を通じて付加価値を提供する方向性も増えてきました。
たとえば、コスメブランドの直営店では“無料メイクアップレッスン”を行うスペースを確保し、商品の良さを実感してもらうといった工夫をしています。

旗艦店で重視される設計のトレンド

コミュニティ性を高める仕掛け

旗艦的では、商品販売の枠を超えて“ファンコミュニティの拠点”として機能させる取り組みが増加傾向にあります。アパレルブランドの大型拠点でヨガやランニングイベントを開催し、健康志向のお客様との交流を深める例がその一つ。
設計段階で、ワークショップやイベントを行える多目的スペースを織り込むことで、ブランドを介したコミュニティ活動の場を生み出すことが可能です。

テクノロジー活用による体験型デザイン

旗艦店は投資規模が大きい分、最新のデジタルテクノロジーを積極的に導入しやすいという強みがあります。たとえば、ARやVR技術を使って商品の試着や背景イメージを自由に切り替えられる装置を設置したり、大型スクリーンを使ってリアルタイムでSNS投稿を映し出す仕掛けを設けたりといった例です。
こうした試みは、来店者の関心を高めるだけでなく、ブランドの先進性をアピールする絶好のチャンスになります。
さらに、店舗内で得られたデータ(来店者の動線や興味を示した商品など)は今後のマーケティングや商品開発に生かせる資産となるでしょう。

ブランドストーリーを視覚化するクリエイティブ要素

企業の歴史や創業者の想いを、映像・パネル展示やアートインスタレーションなどで伝える演出も、旗艦店ならではの魅力です。
特に高級ブランドや老舗メーカーの場合、伝統やクラフトマンシップを前面に打ち出した展示スペースを設け、企業理念を空間全体で再現しているケースも見られます。

設計の進め方と注意点

コンセプト設計の重要性

どんなに大きな予算をかけても、コンセプトが曖昧ではいけません。
旗艦店の場合は特に「ブランドの根幹を表現する」「世界観を体感できる」という明確な軸が必要です。直営店であっても「統一感を保ちながらも、地域ごとにアレンジする」といったブランディングガイドラインを策定し、デザイナーや施工業者に伝えることが不可欠です。

関係者とのコミュニケーション方法

実施設計や施工に着手する前に、企業側のマーケティングチームやブランド担当者、店舗運営スタッフとの入念なヒアリングを行いましょう。
設計者としては、売り場レイアウトだけでなくスタッフのオペレーションや、イベント活用のシナリオも把握しておくことで、無駄のない設計が実現できます。定期的な打ち合わせや試作品・モックアップの検討も大切です。

スケジュール管理とアフターフォロー

旗艦店のオープンやリニューアルは、メディア公開日やイベント開催日が決まっているケースが多く、スケジュールがタイトになる傾向があります。そのため、設計・施工の進行管理には綿密な計画が必要です。
また、オープン後の修正やメンテナンスまで見据えて、設計段階で将来的な拡張性や改修のしやすさを織り込むと安心です。

まとめ

店舗設計において、華やかで話題性に富む旗艦店と、日常購買を支える直営店は、それぞれ異なる役割と重要性を持っています。前者はブランドの世界観や先進性を全面に打ち出し、メディア露出やSNS拡散を狙う“広告塔”として機能します。後者は地道な売上げを確保し、お客様との長期的な関係を育む“安定収益源”として活躍します。
設計やデザインの観点から見ても、旗艦店は“体験重視”、“コミュニティづくり”、“テクノロジー活用”といった先端要素を取り入れることが多く、直営店は“効率性”、“スタッフ動線”、“アフターサービス対応”を重視する傾向があります。
どちらが優れているというよりは、企業がどの段階にあり、どのようなブランド戦略・顧客層をターゲットとしているかによって最適解は変わってきます。

店舗設計は単に空間を作るだけでなく、その後の運営や発信、ブランド力強化を左右する大きな投資です。今回ご紹介したポイントを参考に、“旗艦店の意義”と“直営店の役割”を深く理解し、あなたのビジネスに最適な店舗形態を検討してみてください。
店舗は生き物のように時代や市場動向に合わせて変化し続けるものです。定期的な見直しやリニューアル、改装なども見据えて、継続的にブランド価値を高められる空間づくりを目指しましょう。

当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。

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監修:大昌工芸編集部

この記事は60年にわたり理想の店舗作りを支えてきた株式会社大昌工芸の編集部が監修しており、お客様の理想の店舗作りを助けるわかりやすく役にたつ記事を目指しています。

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