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【完全ガイド】看板における色の選び方|心理効果と業界別おすすめカラーを解説!

街を歩いていると、ふと目に入るのが看板です。看板には非常に多くの色が使われており、色にはデザイナーのこだわりと意図がたくさん詰まっています。

実は、私たちは無意識のうちに色からイメージを受け取り、それがどんな店なのか判断しているのです。
つまり色とは、言葉より先にお客様の心に届く強力なメッセージツールということです。
それぞれの色の意味を知ることで、効果的に集客・宣伝が行えるようになります。

本記事では色が持つ意味から、与えるイメージ、色の選び方、配色やデザインのポイントまで、徹底的に解説いたします。

看板における色の重要性

看板の目的は「短時間でお客様に存在を伝えること」です。

ですが、歩いたり、運転したりしている人が、看板を隅々まで見てくれるでしょうか?答えはNOです。店舗名ですら読まれないことがほとんどでしょう。

そこで重要になるのが「色」なのです。その理由を、詳しく解説していきます。

短時間で印象付ける

街を歩いている人が、ある1ヵ所を無意識に見る時間は0.3秒ほどしかないといわれています。
0.3
秒で認識できる文字数は10文字程度とされています。10文字では店舗名以外、情報を盛り込むことはできません。
もっと多くの情報を伝えるためには、色が非常に重要なのです。

たとえば飲食店を探しているとき、赤と黒の看板があれば「ラーメン屋かな?」と思うのではないでしょうか。
白とブラウンの看板であれば「カフェかな?」と思うでしょう。

このように、色には瞬時に「内容」を伝える力があり、短時間で印象付けを行うことができるのです。

色が持つ心理的効果

色は単なるデザイン要素ではなく、人間の心理に直接作用します。

色彩心理学によれば、特定の色を見ると脳が自動的に反応し、感情や行動に影響を与えるとされています。
これらの色の持つ性質を理解することで、相手に特定の印象を与えたり、心理状態を変化させたりできるといわれています。

看板に色を取り入れる際には、こうした心理効果を知っておくと効果的です。

それぞれの色が持つイメージや効果

青いカイロ、赤い保冷剤……このように、イメージと真逆の配色をすると、利用者に間違った伝わり方をするだけでなく、期待を裏切ることになりかねません。

適切な色選びが出来るよう、以下では主要な色の特徴を1つずつ解説していきます。

赤は視認性・誘目性が高く、人の本能に働きかける色です。

食欲を増進させたり、購買意欲に訴えかけたりする効果があると言われています。昼夜問わず目立ち、横断幕やのぼりなど販促に用いられます。お祝い事やイベントにも使われる、華やかでポジティブな色です。

イメージ:情熱的、活気、アクティブ、派手、炎、夏、太陽

青は人の心を落ち着かせ、安心感を与える効果があります。

誠実さや信頼感を象徴する色であることから、多くの企業がコーポレートカラーに使用しています。なかでも藍色は日本の伝統色であり、広く生活になじんでいます。

イメージ:誠実、安心、冷静、清潔、清涼感、空、海、青春、冬

黄色はポジティブでエネルギッシュな色です。

有彩色の中で最も明るい色と言われており、視認性が高く、注意喚起にも使われます。日本を含むアジア諸国では高貴な色として扱われた歴史があり、また、幸運を呼ぶ色として人気があります。

イメージ:希望、幸福、喜び、明るい、注意、エネルギッシュ、光、雷

緑は癒やしや安心感を与える色です。

生命力や回復力を象徴し、病院や修理店のような、何かを治す(直す)店舗にも使われます。自然を連想させることから、環境に配慮した商品との相性がいい、ナチュラルで健康的な色です。

イメージ:自然、健康、ナチュラル、リラックス、安全、回復、新鮮、森

オレンジ

オレンジは親しみやすく、

温かい印象を持つ色です。

赤より柔らかく、黄色より落ち着いているため、幅広い業種で使われます。色の濃淡によって大きくイメージが変わり、リッチにもポップにも対応できる、おすすめの万能カラーです。

イメージ:活力、温度、陽気、親近感、ビタミン、夕焼け、焚火、秋

上品で神秘的な色です。

紫色の染料が高価だったことから、高貴な色として扱われた歴史があります。ミステリアスなイメージが強く、少々扱いにくい色ですが、上手に取り入れることで強烈な印象を与えることが可能です。

イメージ:上品、神秘、高貴、ミステリアス、妖艶、大人、希少、魔法

ピンク

ピンクは優しく、かわいらしい色です。

やわらかく包み込んでくれるようなイメージから、医療や福祉、教育の現場で使われています。女性の色というイメージが根強くありますが、世代を経るごとにその印象は薄れ、おしゃれで個性的な色と捉えられています。

イメージ:かわいい、恋、優しい、幸福感、安心、繊細、春、桜

黒は高級感や威厳を与える色です。

見る人に絶対的な自信と価値を感じさせてくれます。最も明度が低い暗い色で、どんな色とも合わせやすく、近年はブルーブラックのような、わずかに色味を持たせる使い方がはやっています。

イメージ:高級感、威厳、重厚感、洗練、安定、シック、モダン、夜、影

白はシンプルで清潔感を与える色です。

清潔感と洗練された美しさを演出し、混じりけのない白は神聖さを感じさせます。最も明度が高い明るい色で、光を反射しやすく、視認性を高める効果があります。

イメージ:清潔感、光、純粋、無垢、平和、神聖、昼、雪

ブラウン

ブラウンは自然や木の温もりを感じさせる色です。

おしゃれで心地よい雰囲気を演出し、安らぎと安定感を与えます。色幅が非常に広く、どんな色とも合わせやすいのが特徴です。木材など、素材をそのまま生かす方法も使われます。

イメージ:大地、木、温もり、堅実、伝統、素朴、チョコ、コーヒー、パン

グレー

グレーは上品で洗練された色です。

近年(執筆時:2025年)のトレンドカラーであり、おしゃれであか抜けた印象があります。無彩色でまとめたスタイリッシュなデザインが人気ですが、無機質に見えすぎないよう注意が必要です。

イメージ:洗練、知性、上品、シック、ビル、コンクリート、おしゃれ、雲

業界別にみるイメージカラー

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人は業界ごとに漠然としたイメージカラーを持っています。

これを「パブリックイメージ」と呼び、一般大衆から抱かれているある程度共通したイメージや認識を指します。

この章では、業界ごとのイメージカラーについてご紹介します。

飲食業界

飲食業界は「赤」「オレンジ」「黄色」といった暖色系が基本です。

これらの色は食欲を刺激し、店の活気や、料理の温かさを伝える効果があります。華やかで注目されやすい色のイメージが大きいでしょう。

サービス業界

サービス業界は「青」「緑」「白」といった寒色系が基本です。

商品(モノ)ではなく、形のない技術や情報といったものを提供するサービス業は、利用する人に信頼と安心を感じさせる色が好まれます。
堅実や安定という意味を持った色をイメージされやすいです。

美容・アパレル業界

美容・アパレル業界は「黒」「白」「グレー」「ブラウン」といった無彩色やアースカラーが使われます。

これらの色はおしゃれで洗練された空気をかもし出し、人々の美意識を刺激します。
流行に左右されやすい業界だからこそ、普遍的な色のイメージが強く残っています。

おもちゃ・ゲーム業界

おもちゃ・ゲーム業界は「赤」「ピンク」「オレンジ」「黄色」「青」「黄緑」と、彩度の高い、ポップでカラフルな有彩色が使われます。

明るく鮮やかな色を組み合わせることで、子ども心を刺激し、ワクワク感を演出しています。
ポジティブな意味を持つ色のイメージが強い業界です。

コンセプトに合わせた効果的な色選びの方法

色そのものが持つイメージや、パブリックイメージについて解説しましたが、実際に看板を作る際には、個々のコンセプトに合わせた色設計が必須です。
コンセプトに沿わせることで情報の確度を上げ、同業社と差別化ができ、看板の価値を高めることができます。

この章では実際に使える配色テクニックを紹介していきます。

コーポレートカラーに合わせる

コーポレートカラーとは、企業やブランドを象徴する色であり、シンボルカラーとも呼ばれます。

ロゴ、看板、ポスター、広告、webサイト、製品パッケージ、オフィスと一体感を持たせることで、社内外に統一された企業イメージを印象付けることができます。

ブランドイメージに合わせる

ブランドの方向性を色で具体化します。

たとえば、高級感を出したいときは黒やゴールドを使うといいでしょう。
オーガニック志向のブランドでは緑やブラウン、かわいい系ならピンクや水色を使う……といったように、ブランディングによってもある程度色の方向性が決まっています。

ブランドイメージをはっきりさせておくと、さらに効果的な配色が可能になるということです。

ターゲットに合わせる

ターゲットによって使う色を変えると効果的です。
パステルカラーが使われていると女性向けに見え、寒色が多用されると男性向けに見えます。

また性別だけでなく、年齢によっても使われる色が違います。
たとえば子ども向けならポップでカラフルな色が多く使われ、Z世代にはおしゃれなブラウンやグレーが好まれる傾向にあります。

ターゲットを明確にすれば、ある程度使う色が決まってくるものです。

営業時間に合わせる

日中と夜間では目立つ色が変わってきます。

特に夜間は「光を反射する色」や「LED照明との相性」が重要になります。光を反射しにくい黒、青、紫などの濃い色は見えにくく、夜間営業の看板には向いていません。

ライトアップしたり、イラストを入れたりするなど、装飾にこだわって目立たせる工夫も必要かもしれません。

地域の特性に合わせる

観光地では景観との調和が求められることがあります。反対に繁華街では他より目立たせることが最優先です。

また、有名なスポーツチームの本拠地周辺では、チームカラーを取り入れることでファンの好感度を上げることができます。チームの旗や幕などで飾り、応援しているとアピールするのも効果的でしょう。

看板を設置する地域を知ることは非常に重要です。看板の宣伝・集客効果を最大限活用するためにも、地域の特性を研究しておく必要があるでしょう。

色選びの注意点と規制

ここまでたくさんの要素について解説しましたが、色は無限にあり、その組み合わせもまた無限に存在します。
色選びで後悔しないためには、さらにいくつかのポイントに注意を払う必要があります。

この章では、注意点についてそれぞれ解説していきます。
実際にデザインしたものがある方は、チェック項目に引っかかっていないか、確認しながら見ていきましょう。

色の使い過ぎに注意

赤、青、黄色、緑……色をたくさん使った看板は印象に残らないどころか「ごちゃごちゃして読みにくい」と感じさせます。

60%のベースカラー、30%のメインカラー、10%のアクセントカラーの60-30-10ルール」を意識した、3色程度のシンプルな設計が基本です。
(弊社のロゴで言いますと、60%の濃い青、30%の水色、10%赤といった具合です。)

また、赤と緑、青と黄色のような色の組み合わせ(補色)はよく目立ちますが、反対に目が疲れやすいといった特徴があります。

見やすく、バランスのいい配色を心がけましょう。

RGBCMYKの違いを理解する

印刷物の場合、パソコンのディスプレイで見た色と、印刷された色がまったく違う色になることがあります。

それは「RGB(光の三原色)」と「CMYK(印刷の4インク)」の両者の表現できる色の範囲が異なるために起きることです。
イメージと違う看板にならないためにも、データの入稿前に一度印刷して、色味を確認することが大切です。

CMYKでは出せない蛍光色やメタリックカラーを使いたい場合や、企業ロゴのような色の再現性・安定性が求められる場合は「特色インク」を使います。
個別に調合されたインクをオーダーすることで、理想的な色を使うことができます。

視認性を意識する

視認性とは文字や情報が瞬間的に見やすいこと、つまり「見やすさ」を意味します。

黄色の背景色に水色の文字のような、背景と文字のコントラストが弱い組み合わせは可読性が落ちます。
しっかりと差をつけ、遠くからでも読める配色にすると視認性が格段に上がります。

また、看板のサイズや設置する場所によっても見えやすさが変わりますので、現場をよく見て考える必要があります。

意外性を求めすぎない

パブリックイメージと合わない色は違和感を抱かせ、利用者に誤解を生じさせます。

意外性を出すことで差別化を図ることは大切ですが、あくまで「適度に」取り入れるのがコツです。

5.5地域の規制と景観に気を配る

京都や鎌倉など景観条例のある地域では、看板の色に厳しい制約があります。
条例が緩い地域でも、周囲から浮くような色選びは不要な摩擦を生みかねません。

看板はその地域の「背景の一部」となります。良好な景観を守ることは、地域活性化、ひいては自社、店舗の集客にも関係します。施工前に必ず確認し、ルールに沿ったデザインをしましょう。

まとめ

看板の色は単なるデザイン要素ではなく「一瞬でお客様の心をつかむ広告媒体」です。
業界の特性やターゲットに合わせて戦略的に色を選ぶことで、看板は強力な集客ツールとなるのです。

配色には「視認性」「地域規制」など現実的な制約もあります。
これらを考慮しながら、ブランドの魅力を最大限に引き出す看板をデザインすることが効果的な販促への近道です。
色の持つ力を理解して活用すれば、競合に埋もれない唯一無二の看板を実現できるはずです。

「大昌工芸株式会社」では各種デザイン・設計のご相談から、実際の内装工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

また、関連記事やその他の役立ち情報、実績・事例もございますので、メニューの「施工実績」や「ノウハウ」をぜひご一読ください。

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監修:大昌工芸編集部

この記事は60年にわたり理想の店舗作りを支えてきた株式会社大昌工芸の編集部が監修しており、お客様の理想の店舗作りを助けるわかりやすく役にたつ記事を目指しています。

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