ジャムの法則をVMDに活かす方法とは?「選びやすい」売場作りのポイント

夏は日焼け止めがよく売れる。
そこで、昨年よりラインナップを充実させた売場を作った。
お客様は足を止め、いくつもの商品を手に取り、じっくり見比べている。
しかし、最終的には何も買わずに帰ってしまった。
◇
選択肢が多い方が、お客様は自分に合った商品を選びやすくなるはずです。
ですが、実際には選択肢が多すぎることで、選ぶこと自体がストレスになるケースがあります。
こうした状況が起きることを「ジャムの法則」と呼び、VMDを行ううえでキーとなる顧客心理です。
この記事では「ジャムの法則」をもとに、選びやすく、購入につながる売場作りについて解説します。
目次 [目次を表示する ▼]
ジャムの法則とは?

まずはジャムの法則について、基本的な用語解説と実験内容を簡単にまとめています。
ご存知の方はこの章をスキップしていただいても問題ありません。
ジャムの法則(決定回避の法則)
「ジャムの法則」とは、選択肢が多すぎるとかえってどれを選ぶべきか迷ってしまい、最終的に決定や購入をやめてしまう心理現象です。
「選択のパラドックス」「決定回避の法則」とも呼ばれ、選択肢が多い方が自由に選べるはずなのに、実際は選択肢が少ない方が選ばれるという矛盾を引き起こします。
実際に行われた実験
あるスーパーマーケットでジャムの試食販売を行いました。
実験では被験者を2グループに分け、それぞれで取りそろえるジャムの品数を変え、どちらがより売れるかを評価しました。
グループA:24種類
グループB:6種類
試食した人の割合はグループAの方が多かった一方、購買率ではグループBの方が高いという結果になりました。
これにより、人は選択肢が多すぎると選ぶことに負担を感じてしまい、決定を先延ばしにする・やめるといった回避行動を取ることが分かりました。
VMDへの活用方法

ラインナップを充実させた売場は見応えがありますが、実際に商品を選ぶ段階になると億劫に感じます。
ジャムの法則を意識することで、「選びにくさ」を減らす売場作りが可能です。
選りすぐりの品を前に出す
「店員イチ押し」「今月のおすすめ」といった切り口で、選りすぐりの品を紹介する方法です。
商品が大量にあるとどこから見ればいいか分かりません。
まずは視線のとっかかりを作ると同時に、「これを買えば間違いない」という安心感を与えることで、選択するハードルを大きく下げることができます。
比較基準別にグルーピングする
商品を陳列する際は、比較検討がしやすいようにグルーピングを行います。
例えば24種類のジャムを、サイズ別に2つに分けるとします。
お客様は欲しいサイズのジャムのみを見ればいいため、1/2の商品を選択肢から外すことができるのです。
このように、お客様が自分に合う軸で選べるようにするだけで、購入しやすさを格段に上げることができます。
商品数を減らす際の注意点

ジャムの法則に則ると、「商品数を減らすこと」が最も効果的に思えます。
しかし、商品数を減らした結果、店全体の売上が落ちるというケースは珍しくありません。
なぜジャムの法則の通りにならないのか、その理由について解説します。
ジャムの法則は再現性に乏しい
実験を根拠に「ただ商品数を減らせばいい」と考えていると、思った通りの結果が出ないことがあります。
実は、のちに行われた再現実験では「選択肢が多い方が売れる」という結果が複数報告されました。
つまり、ジャムの法則はさまざまな外部要因で結果が変わるものであり、「単純な商品数のみ」を指標にすることはできないのです。
品ぞろえが悪くなったと感じる
商品数を減らせば選びやすくなる一方で、「品ぞろえが悪くなった」と感じられます。
豊富な品ぞろえは「この店なら欲しいものがあるかも」という期待感や、選ぶ楽しさを演出し、集客にひと役買っています。
経営上、ある程度は仕方がないことですが、売場が寂しく見えるほど極端な削減は避ける方がベターです。
売れない商品が売上を作っている
最も慎重になりたいのが、あまり売れていない商品に熱烈なファンがついているケースです。
ファンが来店する理由は特定の商品ですが、そのついでに人気商品や定番品を購入する「ついで買い」が起こります。
しかし、目当ての品が消えれば来店理由が無くなります。
こうして、「ついで買い」していた売上までもが同時に消えているのです。
このように、一見売れていない商品が店の売上に貢献していることがあるため、安易な終売は避けなくてはなりません。
まとめ
「ジャムの法則」は特別な状況で起こるものではなく、「めんどくさい」「失敗したくない」という感情から来るものです。
売場でそう感じさせないためには、見た目で分かる「選択肢が減る仕組み」を意図的に組み込む必要があります。
これは単純に商品数を減らすという意味ではありません。
見つける・比べる・選択するといった一連の流れがスムーズに行えるよう、明確な基準と、視覚的に整理された売場を心がけることが重要なのです。
今回紹介した内容は、陳列に関するちょっとしたヒントにすぎません。
VMDは店全体で総合的に設計するものです。
店舗設計から見直したい。そう感じた方は、ぜひ一度ご相談ください。

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