店舗売上アップの秘密はレイアウトにあり!?
押さえるべきポイントをご紹介
新規出店や既存店改装のデザイン・設計において、「店舗レイアウト」は非常に綿密に計画されています。商品の陳列方法・サービスの提供方法やそこから想起される店舗イメージ、スタッフ一人一人の動き方と業務効率など、売り上げに直結する要素に多大な影響を与えるからです。店舗レイアウトは商品・サービス自体、広告宣伝や販売促進の効果を底上げする役割も担っています。
この記事では店舗レイアウトと売上の関係性を基に、売り場や動線をどのように工夫すべきか、ポイントも併せて紹介しています。
1.店舗レイアウトと売上の関係性
そもそも店舗レイアウトとは、ゾーニングによって区画された売り場ごとに什器や商品を配列・陳列することを言います。その中には動線の計画も含まれており、複数の売り場を繋いで回遊してもらえるような工夫が必要になります。
売上との関係性はいたってシンプルです。一般的に店舗売上の公式は「売上=①客数×②客単価」で表すことができ、更に①客数は「来店頻度」や「買上客数」に、②客単価は「買上単価」と「買上点数」にも分解できます。例えば商品が探しやすい等でストレスなく買い物ができる店舗は、その回遊性の高さから「買上客数」や「買上点数」が上がる可能性があります。このようにお客様の目線に立った売り場や動線の工夫は上記の公式=売上に影響を与えるという訳です。
2.店舗レイアウトのポイント
売上との関係性から店舗レイアウトの目標を簡単にまとめると「まず来店してもらう」「長く滞在してもらう」「多くの商品と接触してもらう」ことになります。そしてこれから紹介するポイントは目標を達成するうえで大切な考え方です。
いずれのポイントでも忘れてはいけないのがお客様の目線に立つことです。動線について言えば、通路幅1m以上としたうえで行き止まりを作らず、見通しがいいことが一般的に良いとされる条件です。このような条件をクリアすることは、お客様の回遊性と快適性を実現するうえで大切なので覚えておきましょう。
(1)出入りしやすい出入口にする
出入りのしやすさは「来客数」に影響を与えます。出入り口ではお客様の興味関心を引き出し、ストレス・不快感を与えない工夫が求められます。店舗情報をどのように伝えるか、出入口が情報伝達の役割を始めに担うことになります。
出入りしやすい条件として第一に清潔感が基本です。そのうえで、出入口の広さや扉の有無で開放感を調整し、出入りのしやすさを印象付けます。また、出入口と隣接する壁・ガラス張り・ショーウィンドウ等の有無によってお客様が受け取る情報は異なってきますので、店内の見え方も併せてこの段階で考慮しておきましょう。このような工夫は高級店と大衆店では特に違いが顕著で、コンセプト・ターゲットによって使い分ける必要があります。
(2)客動線を長くする
客動線の長さは「客単価」に影響を与えます。客動線を長くすることでお客様の滞在時間を延ばし、商品・サービスとの接触機会を増やします。滞在時間を延ばすためには、①歩く速度を落とさせる、②店内を隅々まで歩かせる、③足を止めさせる工夫が重要です。
まず①について、什器の向きや配置を敢えて崩すと良いとされています。煩わしくない程度に直線的な動きを制限してみましょう。次に②ですが、各所にマグネット売り場を配置すると効果的です。売れ筋商品やセール対象品を分散配置し目立たせることで、店内を一巡するように誘導できます。最後に③ですが、誘導した先で商品を選びやすく手に取りやすく且つ魅力的に陳列します。目線の高さ=ゴールデンラインを活用し、思わず足を止めてしまうポイントを意図的に増やしてみましょう。
(3)売れるスペースを活用する
売れるスペースの活用は「客単価」に影響を与えます。マグネット売り場とも関連しますが売れやすいスペースに適切な商品を配置することで購入を促すことができます。売れるスペースは3つ、①入口付近、②店内最奥付近、③レジ前付近です。
入店してすぐの①にはセール対象品や低単価の商品を配置します。興味を持って入店したお客様が手に取りやすく、別の売り場への興味関心を喚起させます。②には目玉商品や高単価の商品を配置します。華やかで立体的に陳列することで購入意欲を刺激します。奥に誘導させる役割も持ちます。③には安価で小さい商品を配置します。レジ前という「待ち」が発生するタイミングでは視認率が高まりますので、ついで買いが起こりやすくなっています。
3.スタッフ動線を検討する
客動線と合わせて重要なのが「スタッフ動線」です。冒頭にスタッフ一人一人の動きや業務の効率性が売り上げに影響を与えると記載した通り、店舗で発生するスタッフの業務・作業の流れ・動きも計画していきます。計画時はお客様とスタッフの両者の目線に立ち、お互いの動きを具体的に想定するとよいでしょう。
(1)スタッフ動線の重要性
売上を左右する要素に販売スタッフの対応=サービスの良し悪しが関係する以上、業務効率の改善とストレスの軽減は大きな課題となります。
スタッフ動線が十分に計画されていない場合、商品の提供に時間がかかり、スタッフ同士の衝突など、事故・怪我・ミスの可能性が跳ね上がります。そのような状況が改善されないままだと、日々の業務がスタッフのストレスに繋がってしまいます。当然、仕事への意欲低下で販売スタッフの対応=サービスに影響を及ぼすでしょう。
対して、具体的に計画されたスタッフ動線であれば余裕をもってお客様に対応することができます。以上のことから、以下の点に気を付けてスタッフ動線の計画を進めなくてはなりません。
(2)スタッフ動線のポイント
業務効率を改善しストレスを軽減させるスタッフ動線を計画する際のポイントは主に3つ、①作業の流れを想定する、②スタッフを最短距離で動かす、③客動線とスタッフ動線を交差させないことです。
まず①に関して、スタッフ動線は一筆書きが理想です。一連の作業が分断されないように、通路・スペース・機能(什器など)を連なるように計画しましょう。そのうえで更に細かく②を検討します。作業単位で関連する諸機能を作業者起点で配置し、後ろに手が届くか、通路ですれ違えるかなどの部分を見ていきます。
最後に③に関して、動線が重なることで起こるお客様とスタッフの衝突や心理的圧迫感などのストレスへの対策です。作業が発生するレジ・バックヤード・各種什器間の経路は「最短距離」で繋ぎ、お客様の邪魔とならないように配慮しましょう。
(3)現場の意見を取り入れる
具体的にスタッフ動線を計画するには現場の声を取り入れることが何よりも効果的です。もちろん、プランナーの設計した図面は信用に足るものですが、実際に現場で動くスタッフと共に機器の配置や通路幅、動きについて検証できると確実性はかなり高まります。
その際に、オフィスなどで什器を用いて位置等をシミュレーションするとイメージが掴みやすくなります。面倒なように感じるかと思いますが、一度お店ができてしまうと簡単に動線を変えることはできません。検討の段階でいかにリアルを取り入れられるか、入念に検証することをおすすめします。
4.店舗別のレイアウト例
ここまでポイントを紹介してきましたが、出入口の例で挙げたように業種・業態、店舗コンセプトやターゲット層によって店舗レイアウトはかなり異なってきます。つまり厳密に言及する場合は、一店一店異なるということです。この記事では大きく「アパレル店」と「日用品店」と「飲食店」に分け、それぞれの区分内で共通する要素を紹介します。
(1)アパレル店
この区分においては出入り口付近と店内最奥付近での演出が重要とされています。店外のお客様に店内・商品情報を伝えるために開放的な出入り口とショーウィンドウを形成し、トレンド商品や季節品を展示することでお客様の興味関心を引き出します。最奥付近に目玉商品を配置して誘導することは説明した通りですが、周辺に試着室やレジ台・カウンター、椅子など接客に関連する諸機能を集中させることで、滞在時間を延ばすと共にサービスがしやすくなります。
(2)日用品店
この区分においてはお客様の購買頻度が高い傾向にあります。売り場や商品の視認性を高めたうえで、関連商品と組み合わせる等の工夫が重要とされています。客動線はシンプルに直線的な方が目的の商品に到達しやすく、回遊性も同様に向上します。そして、売り場に誘導した後はPOPや陳列方法に差異を持たせて各種商品を目立たせます。この際、関連商品も併せて陳列すると移動と探す手間が省けるうえに同時購入を促すことができます。
(3)飲食店
この区分においては客動線とスタッフ動線が重なる傾向が多いことから、共に合理的な動線計画が重要とされています。共通して通路幅の確保されたシンプルで直線的な動線が良いとされており、出入りや客の入れかわり、配膳や客さばきの面で合理的な動きが期待できます。また、客室や従業員室、厨房・倉庫などのレイアウトに関しては、各々の機能を考慮して連携がとりやすいよう配置します。店舗コンセプトやターゲットを軸に計画しますので、事前に明確にしておく必要があります。
5.まとめ
店舗の売上とレイアウトの関係性、計画するうえでのポイントは把握できたでしょうか。記事内にある通り本来は一店一店条件が異なりますので、一概まとめて言及することはできません。しかし根幹の考え方は共通しており、陳列方法に焦点を当てた「ディスプレイ」や店舗全体で情報の伝え方を追求する「VMD」など、方法論が確立されている点で試しがいのある領域です。売上に困っているのであれば、一度レイアウトに目を向けてみるのもいいかもしれません。
当社では各種設計のご相談から、実際の内装工事まで手厚くサポートを実施しております。御用の際はお気軽にお問い合わせ下さい。
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