飲食店の内装でカウンターを活かす方法!店舗づくりの重要ポイントを徹底解説

飲食店において「カウンター」の役割は非常に重要です。客席数の調整はもちろんのこと、ライブ感を演出したり、スタッフとのコミュニケーションを促したりと、デザインひとつでお店全体の雰囲気や売上に大きな影響を与えます。
本記事では、カウンターの形状・素材選び、デザインのポイントや、業態別におすすめのデザインなど網羅的にご紹介。新規開業やリニューアルを検討している方はぜひ参考にしてみてください。
目次 [目次を表示する ▼]
飲食店におけるカウンターの役割
ライブ感を演出する
カウンター最大の魅力は、調理の様子を間近で楽しめる「ライブ感」です。寿司店なら職人がネタを扱う姿、バーならバーテンダーがカクテルをシェーカーで振る姿など、「見せる調理」はお客様のワクワク感を刺激します。
このライブ感が特別な体験になるため、再来店のきっかけをつくりやすく、SNS映えする写真や動画が拡散されることも期待できます。
コミュニケーションを促進する
カウンターはスタッフとお客様の距離が近く、声をかけやすいのが特長です。ドリンクや料理の提案をすぐに行えたり、何気ない会話から常連を増やすきっかけをつかんだりと、接客面で大きなメリットがあります。こうした「人と人とのつながり」が店の雰囲気を温かくし、リピーターづくりにも寄与します。
スペースの有効活用・人件費の削減
カウンターは厨房と客席が繋がっており、スタッフの移動距離が短くなるため、オペレーションを効率化できます。また、少人数でも切り盛りしやすく、人件費を抑えたい飲食店にも人気が高いです。
カウンター設計で意識すべきポイント
カウンターの高さが居心地を左右する
カウンターの高さは業態・客層に合わせて決めます。
■ハイカウンター(約1000〜1100mm)
バーやスタンド形式で短時間の利用が中心の場合に向いています。回転率を上げたい店舗でも導入されやすい形です。
■ローカウンター(約700〜800mm)
ゆったり座って長時間食事を楽しんでもらいたい店に適しています。クッションの効いた椅子や背もたれ付きのチェアを組み合わせるとくつろぎ度がさらに高まります。
実際には座面の高さや足置きとの関係が大切なので、同時に椅子の選定もすすめるようにしましょう。
奥行きと横幅のバランス
■ 奥行き
カウンターの奥行きが広い場合、テーブルウェアやグラスをゆったり配置でき、お客様もリラックスして食事を楽しめます。
一方、スペースを取り過ぎると通路幅を狭めてしまう可能性があるので注意が必要です。
■ 横幅
1席あたりの横幅を狭くしすぎると、お客様同士が接触する可能性が増えて居心地の悪さにつながります。最低でも550〜600mmほど確保し、できれば余裕を持たせるのが理想です。
素材選びでお店のイメージを演出
店舗のコンセプトに応じて、木材・左官・メラミン化粧板などさまざまな素材を検討しましょう。
たとえば「温かみのある空間にしたい」なら無垢材を、「スタイリッシュな雰囲気を出したい」ならモルタルを活用するなど、イメージに合った素材を選定します。
見せる部分と隠す部分を計画的に
オープンキッチンの要素が強いカウンターでも、すべてを見せる必要はありません。調理器具や備品類を隠す収納スペースをカウンター内に設けたり、お客様の視線に入らないような仕切りを作ったりと、「見せたい部分」と「見せたくない部分」を分けて設計することが大切です。
カウンターの形状による特徴
I字型:シンプルな定番スタイル
一直線に伸びるI字型は、限られたスペースでも導入しやすく、バーカウンターや小規模カフェなどで重宝される形状です。
奥側にスタッフが立つことで、スタッフ背面に備品やドリンク類をまとめて配置し、お客様とのコミュニケーションもしやすくなります。
L字型:ライブ感と席数を両立
L字型はコーナー部分まで座席として使えるため、I字型に比べて席数を増やしやすいのがメリットです。
また、角があることでお客様が職人やスタッフの動きを異なるアングルから眺められ、ライブ感が高まります。寿司店や鉄板焼き店でよく見られるレイアウトです。
コの字型:オペレーション効率が高い
スタッフが中央に立つ形になるため、どの座席にもすぐ対応できる点が特長です。回転率が重視される牛丼チェーンやラーメン店などでも採用されるレイアウトで、短時間で多くの客をさばく効率性に優れています。
お客様同士も向かい合う形になるので、賑やかな雰囲気を作りたい店にも向いています。
飲食店カウンターで人気の素材
木材(無垢材・合板など)
木材は、ナチュラルな温かみや高級感を演出できる素材の代表格です。
■ 無垢材
一枚板などを用いると存在感が際立ち、和食店や上質なバーなどで人気。経年変化も楽しめます。
■ 合板や集成材
コストを抑えながら木の質感を取り入れたい場合に有効です。
左官
無骨でスタイリッシュな雰囲気を出したい店舗におすすめ。表面の仕上げによって印象が変わり、ひび割れ防止や防水加工などをしっかり行う必要があります。カフェやバルなど、若い層をターゲットにした業態で人気が高まっています。
メラミン化粧板・人工大理石など
メラミン化粧板は耐水性や耐久性に優れ、汚れも落ちやすいことから、チェーン店やファミリー向けの飲食店でよく採用されています。
人工大理石は清潔感と高級感があり、上品なレストランやパティスリーなどで使われることが多いですが、コストがやや高めというデメリットもあります。
カウンターで差別化を図るデザインアイデア
一枚板による特別感の演出
寿司店や割烹など、高級店のイメージを打ち出すなら、一枚板を使った無垢材カウンターがおすすめです。木目の美しさや素材の質感を活かしたデザインは、「この店にしかない」特別な空間をつくり出します。
屋外カウンターで新しい楽しみ方を提供
スタンドカフェなど、屋外で軽く食事やドリンクを楽しめる屋外カウンターも注目されています。
海外のストリートスタイルを意識した演出や、好天時にオープンエア感を味わえるなど、他店との差別化に有効です。
ただし、天候の影響を受けやすいため、雨除けやヒーターの設置など配慮が必要です。
パーソナルスペースや仕切りの工夫
カウンターは隣のお客様との距離が近くなるため、気になる人にはストレスになることも。そこで、部分的に仕切りを設ける・荷物を置けるスペースを設けるなどして、適度なパーソナルスペースを確保すると居心地が向上し、リピーター獲得につながりやすくなります。
施工の流れ
複数の業者に相見積もりを取る
カウンター工事を含む内装工事では、1社だけでなく複数社から見積もりを取り、内容と価格を比較検討しましょう。
使用素材や仕上げ方法、工期の長さなど、条件をしっかり確認して選ぶことが大切です。
施工スケジュール
オープンやリニューアルの日程が決まっている場合は、最低でも2か月前には工事の打ち合わせをスタートするのが理想です。
カウンターの造作にはオーダー要素が多く、材料の準備や施工時間を考慮すると、想定より日数がかかることもあります。余裕を持ったスケジュール管理を行いましょう。
予算オーバー時の対処法
見積もりが高額になりすぎた場合でも、素材の変更や既存カウンターを再利用しての塗装リメイクなど、コストダウンの方法はあります。
業者と相談のうえ、予算内で最大限のクオリティを実現する工夫を検討しましょう。
業態別のカウンターデザインの考え方
バー・居酒屋
バーではハイカウンターが定番で、照明は暗めにしてお酒やバースツールが映える演出が主流。おしゃれなバックバー棚でボトルをディスプレイすると、一気に雰囲気が高まります。
居酒屋はローカウンターやミドルカウンターで、ゆったり座れるデザインにすることが多いです。常連客との会話も弾みやすいL字型やコの字型を採用する居酒屋も増えています。
寿司店や和食店
無垢の一枚板や天然木を使ったカウンターで高級感を演出。板前が料理を仕上げる手元をお客様がしっかり見られるような高さ設定や照明計画が重要です。座席の感覚はゆとりを持たせ、落ち着いた空間づくりを目指します。
ラーメン店・牛丼チェーン
回転率を高めるために、ハイカウンターやコの字型カウンターが採用されることが多いです。お客様がサッと食べて帰るイメージなので、長時間の滞在は想定しません。スタッフの作業動線を短くする工夫もポイントです。
カフェ
ソファやクッションの効いた椅子を使ったローカウンターなら、長居しやすい空間を演出できます。お店の雰囲気に合わせて素材選びを行い、雑貨や小物をディスプレイしてフォトジェニックな空間づくりをするカフェも多いです。
カウンター導入の注意点とまとめ
店舗コンセプトとの統一感が重要
カウンターのデザインは、店舗のコンセプトやターゲット層と一貫性を持たせることが大切です。カジュアルなお店なのに過剰に豪華なカウンターを導入すると違和感が生まれます。逆に高級店なのに安っぽい素材を使うとブランドイメージが損なわれるので、全体のバランスを考えましょう。
椅子や照明も含めたトータルでの演出
カウンターと椅子はセットで考えないと、座り心地や見た目のバランスに不具合が出ます。照明計画も重要で、手元が暗いと料理が美味しく見えなかったり、逆に明るすぎると落ち着かなかったりします。細部の演出が顧客満足度に直結する点を忘れずに。
メンテナンスコストも考慮
素材によっては定期的なメンテナンスが必須です。無垢材はオイル塗装や研磨、左官仕上げはひび割れ補修など、オープン後のランニングコストがかかることも念頭に置きましょう。長く使い込むほど味が出る素材か、劣化しにくい素材かなど、長期視点で検討すると安心です。
早めの施工計画でトラブルを回避
オープン直前に施工計画を立てても、理想通りに仕上がらない場合が多く、費用もかさみがちです。余裕をもって業者とコミュニケーションを図り、イメージ共有と予算調整を綿密に行いましょう。
まとめ
カウンターはお客様が最も近い距離で体験するスペースであり、飲食店の“顔”ともいえます。
■ ライブ感を重視したいなら … 調理が見やすい高さや形状、素材選びを重視
■ 回転率を高めたいなら … ハイカウンターやコの字型、シンプルな素材でオペレーション効率を最優先
■ 居心地を重視したいなら … ローカウンターやクッション性の高い椅子、ゆったりした奥行き・横幅設計
■ 差別化を図りたいなら … 一枚板や左官仕上げ、屋外カウンターなど個性的な要素を取り入れる
また、内装工事の費用や納期、メンテナンスを含めたトータルコストにも注目が必要です。複数業者から相見積もりを取り、素材・施工方法・デザインをしっかり比較検討することで、理想的なカウンターを実現できます。
カウンターは単に座席を設置するだけでなく、お客様とのコミュニケーションや料理の見せ方、人件費削減など、さまざまなメリットをもたらす重要な場所です。ぜひ本記事を参考に、店舗の個性やコンセプトを最大限引き出すカウンターづくりに取り組んでください。
丁寧にプランを練り上げたカウンターは、あなたの店舗を唯一無二の魅力あふれる空間にしてくれることでしょう。
当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛け下さい。

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