顧客満足度向上! 居心地の良い飲食店をレイアウトするポイント
“お客様が快適に過ごせる空間を作りたい”。飲食店経営者にとって、これは永遠のテーマと言えるでしょう。
お客様が居心地の良い空間と感じれば、リピート率向上や口コミによる宣伝効果など、さまざまなメリットが期待できます。しかし、いざ居心地の良い空間を作ろうとすると、何をすればいいのか迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。
この記事では、顧客満足度向上につながる居心地の良い飲食店レイアウトのポイントをご紹介します。
目次 [閉じる]
飲食店のレイアウトを決めるための基本事項
飲食店のレイアウトは、顧客満足度やスタッフの作業効率性、そしてお店の雰囲気を左右する重要な要素です。うまくレイアウトが設計されていれば、お客様に快適な時間・空間を提供し、スタッフの作業効率を高め、売上げ向上にも貢献します。
ここでは、飲食店のレイアウトを決めるための基本事項について、2つのポイントに分けて解説します。
飲食店を4つのエリアに分ける
飲食店は、大きく4つのエリアに分けられます。飲食店のレイアウトを決める際は、各エリアを店舗コンセプトや提供メニューに基づき、バランスよく配分することが重要です。
【飲食店を構成する4つのエリア】
- 厨房(キッチン)・・・調理や洗い場など、料理を作るためのエリア
- 客席(ホール)・・・お客様が食事をするエリア
- 客席附帯部分・・・トイレや洗面所、待合スペースなど、客席に付随するエリア
- バックヤード・・・食材や備品を収納する、スタッフ専用のエリア
エリアそれぞれの役割と必要な機能を理解し、全体のバランスを考慮しながらレイアウトを決めていく必要があります。
動線計画を考える
各エリアのバランスを検討するのと並行して、動線計画もしっかり検討しましょう。
動線には、お客様の動線とスタッフの動線があります。それぞれの動線が効率よく流れるような計画が求められます。
【動線の種類】
- お客様の動線・・・入り口から客席、トイレ、出口までの動線を確保します
- スタッフの動線・・・厨房から客席への料理の運搬、食材の搬入など、スタッフの動線を効率的に設計します
動線が交錯しないように注意したうえで、流れがスムーズになるように計画しましょう。
各エリアのレイアウトを決める前に
飲食店は大きく4つのエリアで構成されていると説明しました。しかし、いざレイアウトを考えようとすると、何から始めればいいのか、どのような要素を考慮すればいいのか迷ってしまうこともあるでしょう。
ここでは、各エリアのレイアウトを決めるポイントについて、共通する3つの視点から解説します。
業態の特性を把握する
まず、業態の特性を把握することが重要です。
厳密に言えば店舗は一店一店異なりますが、カフェ、レストラン、居酒屋など、業態によって求められる空間や機能は異なり、それぞれに傾向が見られます。この傾向を参考にすることで、レイアウトを検討しやすくなります。
例えば高級レストランとカフェとでは、提供するメニューや工程の多さに大きな違いがあります。この違いにより、必要な厨房機器とスタッフ数、面積が大きく異なります。つまり、高級レストランは厨房面積の比率が高くなり、カフェは客席面積の比率が高くなるということが分かります。
レイアウトを決める際は、開業する店舗の業態に見られる傾向は何か、調べることをおすすめします。
コンセプト&ターゲットを設定する
コンセプト&ターゲットはレイアウトを決める最も重要な要素です。
カップル向けの高級感のある店、ファミリー向けのカジュアルな店といった、どのようなお店なのかを表した概念です。ここには何をどのように提供するか、といった事項も含まれます。
コンセプト&ターゲットを検討する過程で、利用する目的やシーン、提供するメニューや提供方法が具体化されます。これにより、お店に求められる雰囲気や機能、必要なスペースも想定できます。
例えばファミリー層向けの場合、ベビーカーの利用も想定されるため、広い通路を確保する必要が出てきます。
お店の規模を明確にする
お店の規模もレイアウトに影響を与えます。多くの場合、店舗面積を十分に確保することは難しく、何かしらの制限を受けることが一般的です。先ほど、飲食店は4つのエリアで構成されていると紹介しましたが、規模によっては部分的に簡略化したり統合したりする必要もあります。
つまり、小規模なのか大規模なのかによっても、各エリアの配分やレイアウト、求められる工夫が変わってくるため、自店舗の規模は大きいのか小さいのかといった視点も重要です。
厨房のレイアウトを決めるポイント
厨房は飲食店にとって心臓部のような存在です。厨房レイアウトが効率的に設計されていれば、料理の提供時間短縮、スタッフの作業効率向上、そして安全な作業環境を実現できます。
厨房は仕込みや調理、盛付や洗浄に必要な作業スペースと、食材や食器、備品などを格納する保管スペースに分かれます。メニューの数や調理する量、スタッフ数に応じて必要な作業スペースが変化します。
構成要素
厨房レイアウトを考える際には以下の2つの要素を主軸に検討しましょう。
【厨房の構成要素】
- 調理スペース・・・厨房の中心となる調理スペースは、作業動線を考慮したレイアウトが重要です。
- 食品材料庫・・・食品材料庫は、食材の鮮度保持や衛生管理を徹底するために重要な役割を果たします。
設置する厨房機器を明確にする
事前に使用する厨房機器の種類とサイズを明確にしておくことは、レイアウトを検討するうえで必須といえます。
大型機器は動線を妨げないように配置し作業スペースを確保しましょう。小型機器は使い勝手を考慮し必要な場所に配置します。
作業動線を念入りに検討する
スムーズな作業動線は効率的な調理と安全な作業環境を実現するために重要です。
食材の取り出しから調理、盛り付け、洗い場までの動線を意識したうえで、スタッフ同士がぶつかり合わないように十分なスペースを確保します。
厨房のレイアウトは、厨房機器の配置だけでなく、動線や作業効率も考慮した総合的な計画が必要です。上記のポイントを参考に、効率的で快適な厨房レイアウトを実現しましょう。
客席のレイアウトを決めるポイント
客席のレイアウトは、飲食店の雰囲気、居心地、そして売上げを左右する重要な要素です。お店に適したレイアウトであれば、お客様に快適な時間・空間を提供し、スタッフの作業効率を高め、売上向上につながります。
客席を構成するスペース
客席レイアウトを考える際は以下の3つの要素を主軸に検討する必要があります。
【客席の構成要素】
- テーブル席・・・複数人での食事や会話に適しています。
- カウンター席・・・一人客や少人数での食事に適しています。
- 個室・・・会食や家族での利用などプライベートな空間を求めるお客様に最適な席です。
お店の規模や客層に合わせて、個室の有無や数を検討しましょう。
営業スタイルと客層を明確にする
客席のイアウトはお店の営業スタイルや客層によって大きく変わります。
ファミリーレストランの場合は、子供連れでも安心して食事をとれるような、広々とした客席配置が求められます。一方居酒屋の場合、活気のある雰囲気を作るために、テーブルを密集させて配置することもあります。
回転率と居心地のバランスを検討する
客席のレイアウトは回転率と居心地のバランスを考慮する必要があります。
回転率を高めるためには、テーブル数を多く配置する必要があり、居心地を良くするためには、テーブルの間隔を広く取る必要があります。お店のコンセプトや客層に合わせて、最適なバランスを探しましょう。
客席のレイアウトは、さまざまな要素を考慮しながら検討する必要があります。上記のポイントを参考に、お客様に快適な空間を提供できるレイアウトを実現しましょう。
客席附帯部分のレイアウトを決めるポイント
客席附帯部分は、トイレ、レジ台、待合スペースなど、客席以外の要素です。これらのレイアウトは、お客様の動線や利便性、そしてお店の雰囲気を左右します。
客席附帯部分を構成するスペース
客席附帯部分のレイアウトを考える際には以下の3つの要素を主軸に検討しましょう。
【客席附帯部分の校正要素】
- トイレ・・・お客様が必ず利用する場所であり清潔感が必須です。
- レジ台・・・動線を考慮した配置とお客様がスムーズに会計できる環境を整えましょう。
- 待合スペース・・・お客様が快適に待てる空間づくりが重要です。
スタッフとお客様の動線が被らないようにする
スタッフとお客様の動線が交錯すると、混雑時などにぶつかったり、スムーズな移動を妨げたりする可能性があります。動線を明確に区別し、スタッフとのお客様がスムーズに移動できるレイアウトを検討しましょう。
移動しやすい位置と通路幅を検討する
客席附帯部分は、お客様が頻繁に移動する場所です。
移動しやすい位置に配置し、通路幅は十分に確保したうえで、ベビーカーや車椅子も通れるように、バリアフリー設計を意識するのも重要です。
客席附帯部分のレイアウトは、お客様の快適性と利便性を考慮しながら、動線や空間づくりを意識することが重要です。
バックヤードのレイアウトのポイント
バックヤードは、スタッフにとって休憩や着替え、事務作業で使用する重要な空間です。効率的で快適なバックヤードは、スタッフのモチベーション向上や作業効率の改善に貢献します。
バックヤードを構成するスペース
バックヤードのレイアウトを考える際には以下の3つの要素を主軸に検討しましょう。
【客席附帯部分の校正要素】
- 休憩所・・・スタッフが休憩や食事を取る場所です。リラックスできる空間づくりを心掛けましょう。
- 更衣室・・・スタッフが着替えやロッカーを利用する場所です。清潔感と機能性を両立させましょう。
- 事務室・・・書類作成やパソコン作業で使用する場所です。作業効率を上げる環境にしましょう。
スタッフ数を基にスペースの広さを決める
バックヤードの広さはスタッフ数によって異なります。
休憩所や更衣室は、スタッフ全員がゆったりと過ごせる広さを確保しましょう。事務室は、作業スペースと動線を考慮して広さを決めましょう。
セキュリティ面にも配慮する
バックヤードは、お客様の目に触れない場所です。貴重品や食材の管理を徹底し、セキュリティを強化し、スタッフやお客様の安全を守りましょう。
バックヤードのレイアウトは、スタッフの快適性と作業効率、そしてセキュリティ面を考慮しながら検討することが重要です。上記のポイントを参考に、スタッフにとって快適で効率的なバックヤードレイアウトを実現しましょう。
まとめ
飲食店のレイアウトは、お客様の満足度、スタッフの効率、そしてお店の売上げを左右する重要な要素です。
この記事では、4つのエリア(厨房、客席、客席附帯部分、バックヤード)それぞれの特徴とレイアウトのポイントを解説しました。ポイントを参考に、お客様にとって居心地が良く、スタッフが効率的に働けるレイアウトを実現しましょう。
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