飲食店開業で知っておくべきコンセプトの重要性と決め方
飲食店の開業において、成功のカギを握るのは「コンセプト」です。コンセプトが明確であれば、お客様の心をつかみ、競合とも差別化を図れます。しかし、具体的なコンセプトをどのようにつくり上げていけばよいのでしょうか。
本記事では、飲食店におけるコンセプトの重要性を紹介し、コンセプトを決めるための流れや、構成要素についてわかりやすく解説します。具体的な手順と注意点を紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
皆さまの飲食店が成功するための第一歩を踏み出しましょう。
目次 [閉じる]
飲食店のコンセプトはなぜ重要なのか?
飲食店のコンセプトとは、そのお店の存在理由や独自性を表す基本的な考え方です。簡単に言えば、「なぜこのお店が存在するのか」「何を提供したいのか」を明確に示すものです。
コンセプトは、メニュー、内装、サービス、ターゲットなど、店舗運営のあらゆる側面に影響を与える重要な要素です。コンセプトを明確にすることは、お客様への一貫した体験の訴求につながるため、飲食店の開業には不可欠な要素といえます。
また、コンセプトが明確であれば、競合との差別化が図れます。市場には多くの店舗が存在するため、独自のコンセプトを持つことは、他店と区別されるために重要です。
さらに、コンセプトはスタッフの業務指針ともなり、店舗運営の効率向上にも寄与します。結果として、顧客満足度の向上やリピーターの獲得につながり、長期的な経営の安定性を支える要因となるのです。
このように、コンセプトは飲食店の成功と継続的な成長において極めて重要な役割を果たします。
飲食店のコンセプトを決めるまでの流れ
ここでは、飲食店のコンセプトを決めるまでの流れを6つのステップに分けて紹介します。
開業の目的=軸の明確化
まずは、どのようなお店にしたいのか?といった、自身の情熱や価値観を検討することが重要です。例えば、「健康的な食事を手軽に提供したい」「地域の食材を生かした料理を広めたい」など、お店の存在意義を明確にします。
つぎに、地域やお客様にとっての存在価値は何か?といった、地域やお客様のニーズや課題を考慮し、どのような価値を提供できるかを考えます。例えば、「忙しいビジネスパーソンに素早くヘルシーな食事を提供する」「家族連れが気軽に楽しめる空間を作る」などが考えられます。
ターゲット顧客の分析と設定
ターゲット顧客の分析と設定は、お店がどのような顧客層に向けて運営されるべきかを明確にする作業です。目的=軸の明確化と並行して行います。
ターゲット顧客を分析することで、その層が求めるニーズや嗜好を把握でき、適切なメニューやサービスを提供できるようになります。この設定がしっかり行われると、お客様に対して一貫したサービスを提供しやすくなり、リピーターの獲得にもつながります。また、競合店との差別化にもつながり、特定の顧客層に強くアピールすることが可能です。
方法としては、年齢層、収入、ライフスタイル、興味関心などを調査し、それに基づいてお店の方向性を定めることが基本です。
競合店の調査
競合店の調査は、同じ地域や業態で営業する他の飲食店について、価格帯、メニュー、サービス、内装、顧客層などを詳細に把握する作業です。
この調査の目的は、競合店との差別化を図ることにあります。競合が提供していない価値や強みを見つけ出し、それを自店舗のコンセプトに反映させることで、独自性を打ち出すことが可能です。さらに、競合の成功要因や課題を分析することで、自店舗の経営に役立つヒントが得られます。
調査方法としては、実際に競合店を訪れて観察する、口コミや評価を調べるなどがあります。
差別化のアイデア出し
差別化ポイントの洗い出しは、他店との差別化を図り独自の魅力を打ち出すために必要なプロセスです。これは、競合店にはない自店舗だけの強みや特徴を明確にする作業です。
差別化ポイントが明確であれば、お客様がそのお店を選ぶ理由が明瞭になり、競争の激しい市場で際立つ存在となるでしょう。また、顧客層に適した価値を提供することで、顧客満足度の向上やリピーターの獲得にもつながります。
差別化を図るためには、競合店の強みや弱点を分析し、自店舗の特徴を際立たせる方法を検討します。例えば、メニューの独自性、サービスの質、価格設定、店内の雰囲気など、さまざまな要素が差別化の要因といえます。
『7W2H』に基づいての言語化
7W2Hとは、Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、Whom(誰に)、How(どのように)、How much(いくらで)の要素から成るフレームワークであり、これを用いることでコンセプトを具体的に整理し、明確にできます。
この作業の目的は、コンセプトを一貫したメッセージとして言語化し、関係者全員が同じ理解を持つことです。特に、ターゲット顧客や提供する商品の特性、営業方針が明確になることで、マーケティング戦略や店舗運営の方法が統一され、効率的な経営が可能になります。
方法としては、各要素を具体的に検討し、言葉で表現することが求められます。
【項目概要】
● Why(なぜ):この店舗を開く理由、動機
● What(何を):提供する商品やサービス
● Whom(誰に):ターゲット顧客
● When(いつ):営業時間、定休日
● Where(どこで):立地、店舗環境
● Who(誰が):運営者、スタッフ
● How(どのように):サービス提供方法
● How much(いくらで):価格設定
● How many(どれくらい):席数、提供量
『コンセプトシート』で整理する
コンセプトシートへの整理は、飲食店のコンセプトを決める際の最終作業であり、店舗のビジョンを明確化するための重要なプロセスです。
この作業は、これまでに検討してきた情報を一元化し、分かりやすくまとめることを指します。目的は、スタッフや関係者が同じ理解を持ち、運営の一貫性を確保することです。
コンセプトシートは、飲食店の特徴や強みを視覚的に示すため、経営方針を再確認する助けともなります。具体的には、各要素を簡潔に記述し、全体像を把握できるようにすることが求められます。
「7W2H」との違いについてですが、7W2Hは主にコンセプトを構築する際のフレームワークで、具体的な内容や方針を検討するための手段です。一方、コンセプトシートは、その結果を整理し、実際の運営に役立てるための最終的な文書です。
飲食店のコンセプトを構成する項目
ここでは、飲食店のコンセプトを構成する項目を紹介します。
メニューの数と価格
メニューの種類と数は、ターゲット顧客のニーズと店舗の運営効率を考慮して決定します。
価格設定は、原価、競合店の価格、ターゲット顧客の予算を考慮し、適切な利益率を確保します。
ターゲット顧客
年齢、性別、職業、ライフスタイルなどの具体的な属性を定義します。
ターゲット顧客のニーズ、好み、行動パターンを深く理解し、それに合わせたサービスを提供します。
商品のコンセプト
提供する料理やドリンクの特徴、こだわりを明確にします。
例:「地産地消」「ヘルシー」「エスニック」「多国籍料理」など。
時間帯と客単価
ターゲット顧客の生活リズム、後述の営業時間帯に合わせて、客単価を設定します。
客単価は、提供する料理・サービスの価値とターゲット顧客の支払い能力を考慮します。
サービススタイル
フルサービス、セルフサービス、テイクアウト中心など、店舗のコンセプトに合ったスタイルを選択します。
接客の特徴(フレンドリー、フォーマルなど)も定義します。
内装デザイン
コンセプトを視覚的に表現し、お客様に適切な雰囲気を提供する内装を検討します。
照明、家具、色彩、装飾などの要素を通じて、統一された世界観を実現します。
差別化ポイント
競合店との明確な違いを定義し、独自の魅力を創出します。
例:特殊な調理法、珍しい食材の使用、ユニークな店内体験など。
営業時間帯
ターゲット顧客の生活パターンと地域の特性を考慮して設定します。
ランチ営業、ディナー営業、深夜営業など、最適な時間帯を選択します。
立地条件と賃借料
ターゲット顧客のアクセスのしやすさと、賃借料のバランスを考慮します。
周辺環境が店舗のコンセプトと調和しているかも重要な判断基準です。
街と生活者の特性
出店予定地域の特徴(オフィス街、住宅街、観光地など)を分析します。
地域住民やビジネス客などの潜在顧客の特性を理解し、コンセプトに反映させます。
予算と事業計画
初期投資額、運転資金、損益分岐点などを詳細に計画します。
コンセプトの実現に必要な設備投資と、財務的な実現可能性のバランスを取ります。
まとめ
飲食店の開業に向けて、コンセプトの重要性を理解することは成功への第一歩です。コンセプトは、店の独自性を際立たせ、顧客の心をつかむための基盤です。
この記事では、コンセプトを決めるまでの流れや、その構成要素を詳しく解説しました。まずは市場調査や競合分析を通じて、自店の立ち位置を把握し、次にターゲット層の設定を行うことが重要です。
その後、差別化ポイントを洗い出し、具体的なコンセプトに落とし込みます。最後に、7W2Hを用いて言語化し、コンセプトシートに整理することで、明確な方向性を持つことができます。
このプロセスを経ることで、飲食店はより多くの顧客を引き寄せ、持続可能な経営を実現することが可能です。あなたの飲食店も、しっかりとしたコンセプトをもって成功を目指しましょう。
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