知らなきゃ損!飲食店の内装を変える「色彩のチカラ」~色の心理効果を活かして集客力&居心地アップを目指そう~

飲食店やカフェ、レストランなど、お客様に「ここで食事をしたい」「また来たい」と思ってもらうためには、美味しい料理を提供するだけでなく、居心地の良い空間を作り上げることもとても大切です。その空間づくりにおいて、大きな役割を果たすのが“色”です。
色は私たちの心理に大きく影響し、食欲や気分、そしてお店への印象を左右します。たとえば、店内が暗い雰囲気だと落ち着ける反面、「なんだか入りづらい……」と感じられるかもしれません。一方で、明るい色彩にあふれたお店は活気があり楽しげですが、使い方を誤ると落ち着きに欠ける可能性もあります。
本記事では、“店舗デザインにおける色の役割”をテーマに、色彩の基礎知識から具体的な配色例、ターゲット層別の色選びのポイント、さらには器(テーブルウェア)の色まで詳しく解説していきます。
色の持つ心理効果を理解すれば、より多くのお客様に「居心地のいい空間」と感じてもらい、結果として集客力アップや客単価向上にもつながるでしょう。
目次 [目次を表示する ▼]
なぜ色選びが大切なのか
視覚情報は人の感覚の8割を占める
私たちは五感を通じてさまざまな情報を得ていますが、その中でも視覚が占める割合は約8割ともいわれます。つまり、人が空間や物を認識するとき、最も影響を受けるのは「見た目」なのです。そして、「見た目」を大きく左右するのが“色”の存在です。
空間デザインが与える印象は売上にも関係
料理の味や品質はもちろん重要ですが、人は無意識に色や照明、インテリアといった要素から「お店の雰囲気」や「料理が美味しそうかどうか」を判断しています。色づかいが洗練されていると、料理の魅力が引き立ちやすくなり、逆に合わない色配分だとせっかくの料理が映えない可能性も。結果的に売上やリピート率にも影響しかねないため、色の選び方は意外と侮れないポイントなのです。
色彩の基礎知識:暖色・寒色・無彩色、進出色・後退色など
暖色系(赤・オレンジ・黄色など)
■ 特徴 :温かみや活気を感じさせる
■ 心理効果:「エネルギッシュ」「元気」「食欲増進」など
■ 使い所 :店内全体やサイン、看板のメインカラーにしやすい
寒色系(青・水色・紫など)
■ 特徴 :涼しげでクールな印象
■ 心理効果:「落ち着き」「清潔感」「食欲減退」など
■ 使い所 :アクセントカラーとして部分使い、あるいは清涼感を打ち出したいお店向き
無彩色(白・黒・グレーなど)
■ 特徴 :鮮やかな色を引き立てるサポート役
■ 心理効果:白は清潔感、黒は重厚感・高級感、グレーは落ち着きや都会的なイメージ
■ 使い所 :ベースカラーやインテリアなど、どんな色とも合わせやすい
進出色と後退色
■ 進出色(暖色系や明るい色):前に飛び出して見える色で、空間を狭く感じさせる反面、活気を演出しやすい。
■ 後退色(寒色系や暗めの色):後ろに引っ込んで見える色で、空間を広く感じさせる効果がある。
膨張色と収縮色
■ 膨張色(明度の高い色):白やパステルカラーなど、実際より大きく見せる効果がある。天井や壁に使うことで開放感を演出。
■ 収縮色(明度の低い色):黒やダーク系カラーは空間を引き締め、シックで落ち着いた雰囲気に。
色と食欲の関係:増進させる色&抑える色
「色を見ると食欲が刺激される」「この色を見ると食欲が落ちる」といった話は、色彩心理学や実験データでも裏付けられています。
ここでは、主に食欲増進・減退に関わる代表的な色を挙げてみましょう。
食欲を増進させる色:赤、オレンジ、黄色、ピンク、緑
赤やオレンジは脳を刺激し、「お腹が空いてきた」という感情を起こしやすいとされています。
食欲を抑える色:青、黒、灰色
青は脈拍や血圧を下げ、気持ちをクールダウンさせる効果があるため、食欲が落ちやすいといわれます。黒や灰色は心理的に重さや沈静化をもたらし、同じく食欲増進とは逆方向に作用します。
店内に取り入れたい色の特徴とイメージ
赤:エネルギーを与え、食欲を刺激する代表格
赤は人間の本能に訴えやすく、視覚的にも非常に目立つ色です。
ファストフード店や活気のある居酒屋などで多用されるのは、回転率を高めたり賑やかさを演出したりしたいからです。ただし、長時間ゆっくりしてほしいお店では、赤ばかりが強すぎると落ち着きが失われる可能性があります。
壁一面を赤にするのではなく、アクセントとして部分的に使うと効果的です。
オレンジ:温かみと活発さを演出
オレンジは赤よりも穏やかで、明るい雰囲気を作り出します。
人と人とのコミュニケーションを活性化させる色ともいわれ、会話が弾む空間を求めるカフェやファミリーレストランに向いています。また、食欲をしっかり高めつつも、赤ほどの刺激は強くないため、幅広い客層に好まれるのもオレンジの魅力です。
黄色:元気さと開放感、視認性抜群
黄色は最も目立ちやすい色の一つで、看板や外観に用いれば遠目からでもお店が認識されやすくなります。
店内では、人を明るい気分にさせる効果が期待できます。ファミリー向けのお店やスイーツ系のお店など、ポップさやフレンドリーさを打ち出したいときにおすすめです。
青:涼しさと清潔感を与えるが、食欲を抑えがち
青は寒色で、食欲を抑制する傾向にあります。しかし、「クールで清潔感がある」「涼しげ」といった良さもあり、ヘルシー志向のカフェやシーフード系のお店などでは差し色としてうまく使うと面白いでしょう。
店全体を青にするよりは、ポイントで取り入れて爽やかさを演出するのがおすすめです。
緑:自然を感じさせ、リラックス効果をもたらす
緑は植物や森林を連想させるため、「健康的」「癒し」といったイメージが強い色です。
サラダや野菜料理がメインのヘルシーレストランなどで多用すると、そのコンセプトがよりお客様に伝わりやすくなります。
ただし、濃い緑ばかり使うと暗くなりがちなので、明るいグリーンとアクセントカラーを組み合わせて明るさをプラスしましょう。
黒やグレー:高級感・スタイリッシュさを演出
無彩色の中でも特に濃い色である黒やダークグレーは、落ち着いた雰囲気やモダンな印象を与えます。
高級レストランやバー、シックなカフェなどで多用されるのはこのためです。ただ、暗い色ばかりだと圧迫感を感じたり、料理が美味しそうに見えなかったりする可能性もあります。
照明の工夫や差し色とのバランスが不可欠です。
居心地の良さを演出する空間づくりのコツ
照明は暖色系をベースに
照明の色温度は、店内の雰囲気や料理の見え方に大きな影響を与えます。
LEDの白色照明は省エネで明るい一方、料理の色をやや冷たく見せる傾向があります。そこで、オレンジ系や電球色に近い暖色系の照明を使うことで、食事がより美味しそうに見え、人の肌も健康的に映り、居心地の良さを演出できます。
上側を明るく、下側を落ち着いた色に
空間に開放感を持たせるためには、天井部分や上側をできるだけ明るい色でまとめ、下に行くにつれて濃い色を配置するのがおすすめです。
天井を暗くすると圧迫感を与えることがあるため、明度の高い色を使うことで高さが感じられます。逆に床やカウンター下部分を少し暗めにすると、空間に落ち着きをプラスできます。
配色は3色以内に抑える
あれもこれもと複数の色を使いすぎると、ごちゃごちゃした印象になりがちです。
基本的には、ベースカラー(壁や床など大面積)・サブカラー(家具や椅子、テーブルなど中面積)・アクセントカラー(小物や装飾など小面積)の3色に絞ると、統一感のある洗練された雰囲気を作れます。
ターゲット層やコンセプト別の色選び
若いカップルや女性を意識するなら
明るく清潔感のある空間を好む傾向が強いので、白やアイボリー、パステルカラーなど優しいトーンをベースにするとよいでしょう。
差し色にピンクやラベンダーなどを使うと、可愛らしさやトレンド感が引き立ち、インスタ映えを狙いやすくなります。
中年以上の男性を意識するなら
落ち着いた雰囲気や大人の高級感を好む場合は、黒やダークブラウン、深いグリーンなどをメインカラーに据えるのがおすすめです。
差し色にゴールドや深い赤などを使うと、上品さが増して「大人の隠れ家」的な演出もしやすくなります。
ファミリー向け店舗なら
子連れのお客様も過ごしやすいよう、ポップなオレンジや黄色、明るいグリーンなどを取り入れると、温かみと楽しさが感じられます。
ただし、あまりに原色が多いと落ち着きがなくなるので、白やベージュをベースにしてバランスをとると良いでしょう。
レストランにおすすめのカラーとポイント
レストランはメニューの幅が広く、比較的どんな色合いにも合わせやすい一方、「食欲をそそる色」を取り入れるのが基本です。たとえば、以下のポイントを参考にしてみてください。
暖色は食欲を刺激する
赤やオレンジ、黄色などを店内のどこかに配置しておくと、料理が一層美味しそうに見えます。
自然を感じる色でリラックス
お客様に長く滞在してもらい、客単価を上げたいのであれば、グリーンやブラウンなどのナチュラルカラーを組み合わせて落ち着いた空間づくりを意識しましょう。
トーンの違いで高級感やカジュアル感を演出
同じ赤でも、深いワインレッドなら落ち着いた高級感、トマトレッドならカジュアルで親しみやすい印象に。メニューや価格帯に合わせて、どのトーンを使うかを決めることが重要です。
青系カラーを使うときの注意点
青系の色は食欲減退のイメージがあるため、店舗のメインカラーとして大々的に使うのはあまりおすすめできません。しかし、爽やかさや清潔感をアピールしたいのであれば、適度に差し色として取り入れるのも一手です。
ユニフォームやテーブル小物など部分使い
壁全体や家具に使うのではなく、店員さんのエプロンの一部やテーブルクロスの端、メニューのデザインなど、視線に入りすぎない部分にアクセントとして取り入れると効果的。
目線より下に入れる
テーブルや椅子の下部など、あまり料理と直接絡まない位置に青を配置すれば、食欲を損ないにくい一方で清潔感やクールな印象をさりげなく出せます。
食器の色にもこだわるメリット
白い食器が定番の理由
料理を盛り付ける食器の色も、食欲や料理の見栄えに大きく関わります。
最もスタンダードなのは白い器です。どんな料理とも相性が良く、彩りを引き立てるため、フレンチやイタリアンはもちろん、和食でも使われる場面が多いです。
器の色に迷ったら白を基軸にすると失敗が少ないでしょう。
アースカラーで差別化を図る
ベージュやグレー、ブラウンなどのアースカラーは、自然の温もりや独特の落ち着きを演出します。
白い食器だけだと他店との違いが出しにくいですが、アースカラーの器を選べば、料理にこだわるお店や上質感を訴求したいお店などで「ひと味違う演出」が可能です。
ただし、暗すぎる色だと料理が美味しそうに見えにくいケースもあるため、料理の色合いとの相性を確認しながら導入しましょう。
“目立つ色”で集客力を上げる方法
店舗の認知度を上げるためには、「遠くからでも目につきやすい色」を外観や看板に使う手法が効果的です。特に赤や黄色、オレンジなどの暖色系は、人の目を引く力が強いとされます。
ターゲット層の好みに合う色かを考える
若年層やファミリー層はカラフルな色を好む傾向があり、中高年層は落ち着いた色を好むケースが多いです。看板の色と店内の雰囲気があまりにもかけ離れていると、「外観とのギャップ」で入店をためらわれる可能性もあるので要注意。
エリアの雰囲気とマッチさせる
周辺地域に多い店舗の色使いや通行量、客層などをリサーチし、より効果的に目立つ色を検討してみましょう。
外装と内装のイメージを統一する
看板だけ派手で中が落ち着きすぎているとギャップを感じさせるため、お店のコンセプトや主張したいメッセージを一貫させることが大切です。
居心地の良さと色の関係性
安心感を与える色
ブラウンやベージュ、アイボリー、グリーンなどは「自然」「柔らかさ」を連想させるため、安心感やリラックス感をもたらしやすいです。
客席のソファや椅子などに温かみのある素材と組み合わせて取り入れれば、より快適で長居したくなる空間を作れます。
緊張感を与える色
赤や黄色、青、黒は強いインパクトや刺激を与えます。刺激的な雰囲気にしたいのか、シックで高級感のあるイメージを演出したいのかによって、使う色を調整しましょう。
赤や黄色は活気を生み出すのに適しており、黒は高級感やクールさを演出する一方、使い方を誤ると暗く閉鎖的にもなり得るため要注意です。
まとめ:色の使い方でお店の魅力は大きく変わる
お店の空間づくりにおいて、色彩が及ぼす効果は想像以上に大きなものです。
■ 食欲を高めるなら暖色系(赤、オレンジ、黄色など)
■ 落ち着きを与えるなら無彩色やアースカラーとの組み合わせ
■ 差し色として青を使うと清潔感や爽やかさをプラスできる
照明の色温度や壁・床の配色バランス、ターゲット層のニーズを考慮しながら、適切に色を配置すれば、「居心地が良くて、料理がおいしそうに見える」空間をつくることができます。そして、食器の色や看板の色、ユニフォームの色まで含めて統一感をもたせると、お客様に与える印象がいっそう強固になるでしょう。
また、どんなに「おしゃれ」な色づかいでも、お店のコンセプトや料理ジャンルと合っていなければ逆効果です。大切なのは、「このお店でどんな時間を過ごしてほしいか」を明確にしたうえで、色の心理効果を活用すること。そうすることで他店舗との差別化を図り、お客様にとって「また行きたくなる」場所を提供できるのではないでしょうか。
ぜひ、色彩の持つ力を上手に活かして、お店の魅力を最大限に引き出してください。色の使い方次第で、お店の雰囲気や売上、リピート率まで大きく変わる可能性があります。
今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ自分の店舗で試してみてはいかがでしょうか。きっと「色を意識した空間づくりをやって良かった」と感じる結果につながるはずです。
当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。

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