喫茶店とカフェの違いとは? 雰囲気・特徴・歴史から法的視点まで丸ごと解説!

喫茶店とカフェ、どちらもコーヒーや紅茶を楽しむ場所ですが、そのイメージやスタイルは大きく異なります。両者の違いは、雰囲気や提供メニューだけでなく、歴史的背景や法的な営業許可の種類などにも及びます。
本記事は、喫茶店とカフェの基本的な違いから、それぞれのイメージや雰囲気の特徴、さらには歴史的背景や営業許可に関する法的視点、店舗運営やコンセプトの立て方のポイント、純喫茶やバルといった他の業態との違いにも触れ、幅広い情報をお届けします。
「そもそも喫茶店とカフェはどう違うのか気になる」「両者の特徴を知って、自分に合った空間やメニューを見つけたい」、そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次 [目次を表示する ▼]
喫茶店とカフェのイメージの違い
喫茶店の特徴
喫茶店とは、一般的にコーヒーや紅茶などの飲み物と、軽食(トーストやサンドイッチなど)を提供する飲食店のことを指します。日本では昭和の時代に多くの喫茶店が誕生し、独自の文化が根付いてきました。店内は落ち着いた照明や重厚感のある家具が配置され、ゆったりと時間を過ごす場所として支持されてきた歴史があります。メニューにはコーヒーだけでなく、昔ながらのナポリタンやクリームソーダ、そして自家製のプリンやホットケーキなど、どこか懐かしさを感じさせる軽食・スイーツが揃えられているのが特徴です。
カフェの特徴とイメージ
一方、カフェという言葉は広い意味合いを持ちますが、近年の日本では「コーヒーやおしゃれなドリンクを楽しめる、比較的モダンな空間」というイメージが強くなっています。欧米スタイルのカフェを思い起こさせるような内装が多く、洗練されたデザインや明るい照明、スタイリッシュなインテリアが特徴的です。また、コーヒーの抽出方法にもこだわりを持つ店舗が多く、スペシャルティコーヒーやハンドドリップ、ラテアートなどを売りにしているところが増えてきました。
メニュー面では、コーヒーや紅茶はもちろん、バリエーション豊富なスイーツや軽食に加え、最近ではヘルシー志向のサラダやスムージー、ヴィーガン対応のメニューを扱うカフェも目立ちます。
法的な視点から営業許可の違いと変遷
2021年に食品衛生法が改正されるまでは、飲食店を開業するにあたり必要となる許可は大きく分けると「喫茶店営業許可」と「飲食店営業許可」の2種類がありました。喫茶店営業許可があくまでも“主に飲み物を提供する場”として位置づけられていた一方で、飲食店営業許可の場合は調理を伴う食事の提供が可能でした。
かつての喫茶店営業許可はメニューでの調理行為に制限が厳しく、トースト程度の簡易的な調理が可能な程度でした。
2021年6月、「喫茶店営業許可」が廃止され「飲食店営業許可」に統合されたことで、現在は「飲食店営業許可」を取得すれば、法律の定める衛生管理体制を整えたうえで幅広い調理が可能です。
最近は「喫茶店」と名乗っていても実際には「飲食店営業許可」を取得しているケースがあり、レストラン並みに幅広いメニューを扱うところも存在します。
歴史的背景から見る喫茶店とカフェ
喫茶店の歴史
日本における喫茶店の起源は明治時代までさかのぼるとされますが、本格的に普及したのは昭和初期から中期にかけてのことです。当時はまだ家庭でコーヒーを飲む習慣が一般的ではなく、都市部を中心に洋食文化やコーヒー文化が広がり始めました。
高度経済成長期には、街の商店街やオフィス街に喫茶店が数多く開業し、仕事の合間に一息つくサラリーマンやOL、あるいは待ち合わせの場として活用されるようになりました。また、地域密着型の喫茶店は近所の人々が集まるコミュニティの役割も果たしており、地域文化の核になっていたケースも珍しくありません。
カフェの発展
日本では、バブル期以降に輸入されたスターバックスなどの海外コーヒーチェーン店の影響を受け、「カフェ」という呼び名が多用されるようになりました。
2000年代以降は、外資系コーヒーチェーンだけでなく、日本国内資本のカフェチェーンや独自のコンセプトを打ち出す個人経営のカフェも急増し、都市部を中心に“カフェ文化”が花開きます。おしゃれなインテリアやこだわりのドリンク、SNS映えを意識したスイーツやフードが話題を呼び、若い世代だけでなく幅広い年代の人々がカフェに足を運ぶようになりました。
現代のカフェトレンド
現代のカフェは、単にコーヒーを飲むだけではなく、ライフスタイルを提案する場として機能し始めています。焙煎の仕方や豆の産地に徹底的にこだわる「サードウェーブコーヒー」の流行や、“映える”デザートや空間作りによってインスタグラムなどSNSで話題を集める店舗が増加。コワーキングスペースの要素を取り入れたり、フリーWi-Fiと充電スペースを完備したりと、多機能な使い方が可能な店舗が注目されています。
さらに、テイクアウト需要が高まる中で、コーヒースタンドやキッチンカーといった形態のカフェも人気を博しています。都市部の駅近や商業ビル内だけでなく、郊外の住宅地や観光地など多様な場所で“カフェ”という業態が進化し続けている点が現代的な特徴と言えるでしょう。
喫茶店やカフェに適したコンセプト
喫茶店
【落ち着いた雰囲気】
喫茶店を開業・運営する上では、古き良き日本の昭和レトロなイメージや、やわらかな照明、アンティークな家具などを取り入れることで落ち着いた雰囲気を演出できます。騒がしさを避けるために、音楽もクラシックやジャズなど心地よいBGMを流すのが定番です。長居しても飽きない空間づくりを意識することが重要となります。
【個性的なメニュー(軽食・スイーツ)】
喫茶店ならではのメニューとして、老舗感のあるトーストやサンドイッチ、昔懐かしいプリンやクリームソーダ、ホットケーキなどを加えると魅力が増します。中でもモーニングサービスやランチセットなど、地域密着型のサービスを提供するとリピーターを獲得しやすくなるでしょう。
【ゆったりとした時間の提供】
喫茶店の強みは、時間を忘れてくつろげる空間を提供できる点です。Wi-Fiや電源をあえて用意しないことも一つのコンセプトとして機能し、「スマホから離れて自分の時間を過ごす」という新たな価値をお客様に提供する手段になるかもしれません。
カフェ
【特別感のあるインテリア】
カフェではデザイン性の高いインテリアが好まれる傾向があります。北欧風やミニマリズム、ボタニカルスタイルなど、統一感のあるテーマを設定し、家具や装飾品を一貫して選ぶことで、訪れた人が写真を撮りたくなるような空間を演出できます。
【こだわりのドリンクメニュー】
カフェではコーヒー豆の産地や焙煎方法にこだわったスペシャルティコーヒーや、ラテアートを楽しめるメニューなど、ドリンク面の充実が重要です。ターゲットによっては豆乳やアーモンドミルクなど、プラントベースのミルクを揃えることで健康志向やヴィーガンの方にアピールすることも可能です。
【SNS映えを意識したメニューと内装】
「インスタ映え」「SNS映え」はカフェにおける大きなキーワードです。ドリンクやスイーツの見た目が斬新なもの、季節や流行りのテーマに合わせた限定メニューなどを取り入れることで、SNS経由で話題が広がりやすくなります。壁紙や雑貨、照明の配置なども含め、写真を撮りたくなるスポットを店内にいくつも用意しておくと効果的です。
他の飲食業態との違い
純喫茶との違い
純喫茶とは、アルコールを提供せず、あくまでもコーヒーや紅茶などの飲み物と簡単な軽食を提供することをメインとした喫茶店の形態を指す言葉です。現行の法律や営業許可区分だけではなく、文化的・歴史的な文脈で「純喫茶」と呼ばれる場合が多いため、定義がやや曖昧な部分もあります。店内は懐かしさを感じる内装が特徴で、オリジナルのブレンドコーヒーやトースト、クリームソーダなどが定番メニューとして提供されることが多いです。
一方、普通の喫茶店やカフェではアルコールを扱う場合もあり、またフードメニューも幅広い品目を展開することが少なくありません。純喫茶はあえてお酒を出さないことで、静かで落ち着いた雰囲気を保ち、コーヒーや空間そのものを楽しむ場として存在しているのが特徴です。
バルとの違い
バル(Bar)という言葉は、スペインやイタリアなどの飲食文化から広まった概念で、日本ではお酒や小皿料理を提供する“居酒屋とレストランの中間”的な存在として認識されています。バルは夕方から夜にかけて営業し、ワインやビール、カクテルなどアルコールを主体に提供しながら、軽めのタパス(小皿料理)やアヒージョ、ピザといった料理を出すのが一般的です。
それに対して、喫茶店やカフェはコーヒーや紅茶などのソフトドリンクを中心に提供し、昼間の時間帯にゆったりと過ごす場であるという点が大きく異なります。もちろん、アルコールを扱うカフェも存在しますが、それでもバルのようにアルコールメニューを主軸とするスタイルではありません。飲食のメインが「お酒」なのか「コーヒー・紅茶などソフトドリンク」なのかによって、バルとカフェは明確に区別されるのです。
まとめ
喫茶店とカフェは、どちらもコーヒーや軽食を楽しめる場所ではありますが、その成り立ちや文化、提供するメニュー、雰囲気、そして法的区分においてさまざまな違いがあります。
本記事が、喫茶店とカフェそれぞれの魅力や違いを理解し、どのように事業を展開すればよいのかを考える一助となれば幸いです。どちらにも豊かな歴史と個性がありますので、自分の好みや地域のニーズに合ったスタイルを探求してみてはいかがでしょうか。
当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛けください。

店舗責任者のためのカフェデザインガイドブック【入門編】
この資料ではカフェの内装デザインにこだわりたい方に向けて、理想的なカフェを目指すうえで押さえた方がいいポイントや、デザインを具体化するための考え方、内装をオシャレにする方法を紹介しています。

店舗責任者のためのカフェデザインガイドブック【入門編】
この資料ではカフェの内装デザインにこだわりたい方に向けて、理想的なカフェを目指すうえで押さえた方がいいポイントや、デザインを具体化するための考え方、内装をオシャレにする方法を紹介しています。
人気の記事
参考になる施工例
-
2017年、銀座の中心にGINZA SIX が誕生。
GINZA SIX てんぷら山の上 施工
-
デザインコンセプトは「カジュアルで開放的な雰囲気」な店舗に
とんかつ新宿さぼてん 岡山さんすて店 新装工事
-
お店として必要な機能と要素が詰め込まれた省スペース設計
竹乃屋のやきとり サクラマチ店 新装工事/施工
-
生産者と生活者、食と農の出会いの場。
みのりカフェ季楽 新装工事/施工
-
指定業者である縁で施工を担当
肉バル GOTCHA
サービス案内
無料ダウンロード
-
店舗責任者のための飲食店デザインガイドブック【入門編】
-
店舗責任者のためのカフェデザインガイドブック【入門編】
-
店舗責任者のための照明デザインガイドブック【入門編】
-
【2024年度版】補助金活用ガイドブック
-
TAISHO design activity~ショールーム作りませんか~
-
【2023年度】店舗改装や内装工事も対象!事業再構築補助金活用ガイドブック
-
TAISHO design activity~ARとXRを活用した新しいイベントの形~
-
TAISHO design activity~空きスペースをよりよく活用しませんか。~
-
TAISHO‘sカフェドキュメントwithZEFcoffeeArts
-
TAISHO design activity
~ステキな空間、一緒に作りませんか?~ -
TAISHO design activity
~人にも地球にもやさしい空間づくり、一緒に考えませんか?~ -
TAISHO design activity
~大昌工芸と一緒にブランディングしませんか?~ -
TAISHO design activity
~ECサイトからリアル店舗への展開~ -
TAISHO design activity
~今、求められるレストスペースのアイデア~ -
おしゃれな空間の設計事例集
-
店舗設計・デザインノウハウ集
-
設計業務とは?
-
内装で解決!集客力を高めるためのガイドブック
-
空間演出で変わる!魅せる空間創りのガイドブック
-
店舗改装もニューノーマル!時代にマッチした店舗デザインガイドブック
-
空間演出で他社との差別化を!別視点からの演出方法
-
リノベーションで売上UP!費用問題も押さえたガイドブック