これで安心!テイクアウト専門店開業の流れと見落としがちな注意点とは?

近年、飲食業界で注目を集めているのが「テイクアウト専門店」です。人手や初期費用を抑えやすく、限られたスペースでも始められるため、初心者でも挑戦しやすいビジネス形態として人気を集めています。特に、忙しい現代人のライフスタイルに合致している点が、消費者の支持を得ている大きな理由です。しかし、手軽に見える一方で、成功には明確な戦略と準備が欠かせません。
本記事では、テイクアウト専門店とは何かを整理した上で、そのメリット・デメリット、開業時の注意点や成功の秘訣までを丁寧に解説します。
目次 [目次を表示する ▼]
テイクアウト専門店とは
定義と特徴
テイクアウト専門店とは、店内に飲食スペースを設けず、商品を持ち帰る形態(持ち帰り)の飲食店を指します。最近では“お持ち帰り専門店”とも呼ばれ、名前の通り“食事を買って帰る”というスタイルに特化しているのが特徴です。
店内に席を備える飲食店との最大の違いは、イートイン(店内飲食)を想定していないこと。カウンターや簡易的な待ち合いスペースを設けることはありますが、食事の場を店内で提供しないため、店舗の広さや内装に大きなコストをかける必要がありません。その分、少ないスタッフ数で運営できることや立地の選択肢が広がることがメリットとして挙げられます。
他の飲食店との違い
一般的な飲食店では、店内の座席数に応じて回転率を上げることや、内装やサービスレベルによって売上が左右されます。対してテイクアウト専門店は、「いかに効率よく作り、スムーズに受け渡すか」が重要となります。お客様は店内での居心地よりも、「素早く商品を受け取れるか」「品質は安定しているか」「味は期待どおりか」といった点を重視するのです。
テイクアウト専門店は、メニューを厳選しやすい反面、品揃えの幅が限られる傾向にあります。これは調理工程をシンプルにし、提供スピードを高めることを目的にしているからです。また、受け取った商品は自宅や職場、野外などで食べられるため、衛生管理や温度管理への配慮が必須となります。
テイクアウト専門店が人気の理由
最近の消費トレンド
近年、働き方改革や在宅勤務の普及、新型コロナウイルスの感染拡大などにより、消費者のライフスタイルは大きく変化しました。外食をすること自体に対するハードルが上がり、一方で「自宅でもお店の味を楽しみたい」というニーズが急増。Uber Eatsなどのデリバリーサービスの普及も相まって、“買って帰る”ニーズが爆発的に増えました。
さらに、健康志向が高まる中、スーパーやコンビニなどでも惣菜が充実してきましたが、やはり「専門店の味」を手軽に購入したいという需要は根強く存在します。こうした背景がテイクアウト専門店の人気を後押ししています。
手軽さと利便性の向上
テイクアウト専門店の魅力は何といっても「手軽さ」です。通勤や帰宅途中に立ち寄ったり、忙しい家事の合間に受け取れたりできるなど、時間と手間を節約できる点が支持されています。また、多くのテイクアウト専門店が電話予約やオンライン注文に対応しており、行列に並ばずに商品を受け取れる仕組みを整えています。感染症対策としても、人との接触機会を最小限に抑えられるため、今後もこの形態が支持されると考えられます。
テイクアウト専門店のメリット
少人数で開業しやすい
テイクアウト専門店の最大のメリットのひとつが、少人数で運営できる点です。店内飲食を提供しないため、席への案内やテーブルの片付け、ホールスタッフの配置などが不要です。オーナーひとり、またはパート・アルバイト数名で事業を回すことも十分可能です。人件費を最小限に抑えられることは、開業時のリスクを低減する大きな要素となります。
低コストでスタートできる
飲食店開業では、店舗の内外装費や厨房設備、家具・備品などに多額の初期投資が必要となることが一般的です。しかし、テイクアウト専門店の場合は、店内の居心地づくりにかかるコストを削減できます。接客スペースがほとんど不要であるため、必要最低限の厨房設備とカウンターさえ用意すれば営業が可能です。加えて、コンパクトな店舗でも充分に機能を果たせるため、家賃を抑えられる立地を選びやすいというメリットも挙げられます。
テイクアウト専門店のデメリット
限られたメニューに依存しやすい
テイクアウト専門店は回転率の高さが大きな強みですが、その反面、オペレーションを効率化するためにメニューを絞らざるを得ないという側面があります。たとえば、お寿司やカレー、ラーメンなど、特定のジャンルに特化した店が多いですが、そのジャンルの需要が低下すれば売上にも影響を及ぼします。また、同じメニューばかりだとリピーターから飽きられる可能性もあるため、メニュー開発が重要です。
競争が激化していく
需要が高い分、参入障壁が比較的低いのがテイクアウト専門店の特徴です。少ない投資で開業できるので、新規参入も相次いでいます。さらに大手飲食チェーンがテイクアウトに力を入れはじめたことで、消費者の選択肢が広がり、競合が増加しています。その結果、価格競争が激しくなり、常に新鮮な企画やプロモーションで差別化を図らなければならないなど、経営上の課題が多くなります。
テイクアウト専門店開業の注意点
営業許可の取得方法と重要性
飲食店を営む上で最も重要なのが営業許可です。日本では、食品衛生法に基づき、飲食店営業許可を取得する必要があります。テイクアウト専門店であっても、食品を調理・加工し、販売する以上は許可が必要です。以下のような流れで進めましょう。
【1. 保健所への相談】
事前に店舗所在地を管轄する保健所に相談し、必要な設備や手続きについて確認します。
【2. 内装・設備の設計】
厨房のシンク数や手洗い設備、換気扇など、保健所が定める基準を満たす設計にする必要があります。
【3. 営業許可申請】
開業前に申請書を提出し、保健所の検査を受けます。問題がなければ営業許可証が発行されます。
この営業許可の取得は、店舗の信頼性にも直結します。不備があると営業停止や取り消しのリスクがあるため、開業前の段階から慎重に進めることが大切です。
提供メニューの重要性と戦略
テイクアウト専門店は店内での滞在を想定していないため、提供するメニューの相性が何よりも重要です。時間が経っても美味しく食べられるか、持ち帰りやすい容器や盛り付けができるか、などの工夫が欠かせません。
さらに、リピーターを増やすためには季節限定メニューや地域の特産品を活かした商品開発も有効です。SNSや口コミサイトで話題になるようなユニークなメニューを取り入れることで、他店との差別化を図ることができます。また、調理の効率性とのバランスを取りながら、可能な限りメニューの魅力を高める戦略が求められます。
立地選びのポイントと注意点
テイクアウト専門店は通勤や通学の動線、オフィス街や住宅街など、ターゲットとなる顧客層が行き来する場所を選ぶのが基本です。以下の点に注意して立地を検討しましょう。
【ターゲット層の明確化】
主にどの時間帯に、どんな層が利用するかを考え、それに合った場所を選びます。
【周辺競合の状況】
同ジャンルのテイクアウト専門店がすでに乱立していないか、競合の強みや弱みを調査します。
【家賃とのバランス】
人通りが多い場所は家賃も高くなりがちです。固定費を抑えるか、売上の見込みとのバランスを考えるか、長期的視点で判断しましょう。
【看板や店構え】
テイクアウト専門店の場合、店先がお客様との主な接点になります。見やすい看板やPOP、メニュー表などで“買いやすさ”をアピールできるかが重要です。
成功している店舗に見られる特徴
オンラインプロモーションに力を入れている
SNSやブログ、Googleビジネスプロフィールなど、オンラインでの情報発信に積極的な店舗は顧客を惹きつけやすい傾向があります。特にテイクアウト専門店は、店内でのサービスではなく味や品質、利便性が勝負となるため、ビジュアルとストーリーが大切です。写真映えする商品画像や、使用している食材や調理過程を動画で配信するなど、多角的に情報を発信すると効果的でしょう。
シェアキッチンを利用している
近年、シェアキッチンやゴーストレストランと呼ばれる共同厨房の形態が注目を集めています。これは、調理設備を共有して複数店舗が同じ場所で調理を行うしくみ。開業コストを抑えながら、短期間でビジネスを開始できるメリットがあります。また、シェアキッチンなら立地に縛られずにデリバリーを中心とした販売戦略を取ることも可能なため、トレンドを押さえた新規参入者が増えています。
リピーターに向けたサービスを提供している
テイクアウト専門店は、一度顧客になってもらいやすい反面、競合が多いため「浮気」されるリスクも高いです。そこでリピーター対策として、以下のような取り組みを行う店舗が増えています。
【ポイントカードやスタンプカード】
一定回数の購入で割引やサービスが受けられる仕組み。
【SNSクーポン】
フォロワー限定クーポンや、ハッシュタグ投稿での割引など。
【次回の注文時に使える割引券を同梱】
持ち帰り時に次回以降に利用できるチケットを付ける。こうした小さな工夫が、長期的なファンづくりに繋がります。
新しいメニューを定期的に投入している
常に同じメニューだけを出し続けると、リピーターが飽きてしまいます。季節メニューや期間限定商品、地域限定メニューなどを定期的に投入することで、新鮮味を維持し、リピート率を高めることができます。とくにSNS時代では、「今しか食べられない」「限定」という特別感が話題を呼び、バズを生むことも期待できます。
まとめ
テイクアウト専門店は、イートインスペースを持たない分、低コストで開業できるという大きなメリットがあります。近年の消費者のライフスタイル変化や健康志向の高まり、感染症対策などの背景により、引き続き需要が伸びることが予想されます。しかし、参入が容易であることから競合は激化しており、継続的なメニュー開発やオンラインマーケティング、リピーター対策が欠かせません。
開業を目指す際は、まず市場調査とコンセプトの設定からスタートし、保健所の許可や食品衛生責任者の資格取得など、必要な手続きをしっかりと確認しましょう。また、限られた予算でも最大の効果を生み出すために、SNS運用や地域密着型のプロモーションを活用すると効果的です。
ぜひ本記事を参考に、テイクアウト専門店開業に向けた準備を進めてみてください。しっかりとした戦略とプランを立て、時代のニーズをとらえた店舗づくりを行えば、成功の可能性は十分にあります。
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