カフェの回転率は内装でコントロールできる|多店舗展開で失敗しない店舗設計

2号店も盛況なのに、1号店と比べて売上も利益も伸び悩んでいる。
そのような状況に直面しているカフェオーナーは少なくありません。
ほぼ満席なのに利益が出ないのは、「回転率」の問題である可能性が高いです。
回転率とは「1日の来客数÷席数」で計算でき、この数字が1に近いほど1組あたりの滞在時間が長いということです。
直接の声掛けでも解決できますが、「早く帰れ」と言っているようで抵抗がある方も多いでしょう。
この問題は、内装で大きく改善できます。
照明の明るさ、カウンターの高さといった要素が、お客様の心理に影響を与え、声掛けに頼らない回転率の改善が望めます。
本記事では、カフェの回転率と内装の関係を整理したうえで、居心地を大きく損なわず回転率を上げるための、具体的な内装戦略を解説いたします。
また、多店舗展開を見据えた内装の標準化についても触れていきます。
目次 [目次を表示する ▼]
カフェ経営と回転率

まずは「カフェ」と「回転率」の関係を整理しておきましょう。
カフェの事情と併せることで、なぜ回転率が問題になるのか、その理由が見えるようになります。
カフェは回転率が低い業態
飲食店の中でも、カフェは回転率が低いとされています。
ファストフード店のように食べたら出るといった流れが生まれにくく、コーヒー1杯で1~2時間、果ては3時間以上滞在するお客様も珍しくありません。
これは、カフェに来る目的が「飲食」ではない場合が多いからです。
休憩や時間つぶし、仕事や勉強をする「場所」を求めているため、コーヒーを飲み終わっても席を立つ理由がなく、長居しやすいのです。
カフェという業態の特性上仕方がない部分ではありますが、多店舗展開や収益の安定化を目指すうえでは、見過ごせない問題です。
回転率に見合わない客単価
「回転率が低いこと」そのものが問題ではありません。
カフェの回転率は1日2~6回とされ、これは居酒屋やレストランと同じくらいです。
回転率の水準だけで見れば、カフェが特別に不利な業態というわけではありません。
問題は、居酒屋やレストランに比べて、回転率に対するカフェの客単価が低すぎることです。
コーヒー1杯の値段は400円~600円ほどで、これはファストフード店の最低金額メニューと同じくらいです。
ですが、ファストフード店の回転率はカフェより2~4倍ほど高いとされています。その結果、時間あたりの売上も2~4倍の差が生まれます。
客単価を居酒屋並みに上げるのは現実的ではありません。
だからこそ、回転率を上げる工夫をしなければ、売上が頭打ちになってしまうのです。
居心地の良さが回転率を下げる
お客様はカフェに居心地の良さを求めています。
しかし居心地の良い空間は、本質的に回転率と相反関係にあります。
柔らかいソファ、落ち着いた照明、フリーWi-Fi完備、電源利用可能と言った要素は、お客様満足度を上げる一方で、滞在時間を延ばす要因になっています。
居心地の良さがなければお客様は来ません。
ですが、適度に滞在時間をコントロールしなければ、満席なのに利益が出ないという問題に直面してしまいます。
だからこそ、カフェ経営においては居心地と回転率のバランスをどう取るかが重要になるのです。
回転率を上げる内装設計

「長居をやめてほしいが、直接は言いにくい」
声掛けはお客様だけでなくスタッフにとってもストレスなため、最終手段に取っておきたいものです。
回転率は、声掛けに頼らずとも内装設計によってコントロールすることが可能です。
ここでは、自然な形で回転率を高め、売上アップにつながる具体的な内装の工夫を解説いたします。
1人席を増やして回転率を底上げする
カフェは少人数での利用が多く、大きなテーブル席は「死に席」になりがちです。
1~2人利用の席を増やすことで、来店人数と席サイズのミスマッチを解消し、1度に多くのお客様を店内に案内できます。
また、1人客は30分~1時間程度の滞在が多いため、回転率の面で見ると最も重要な客層と言えます。
そういったお客様を歓迎している、と内装でアピールすることで、入店を促す効果もあります。
作業利用を抑制するテーブルサイズ
広いテーブルはノートパソコンや書類を広げやすく、作業利用を促進してしまいます。
1人だと広め、2人だとやや手狭な60cm × 60cm程度のテーブルがおすすめです。
テーブル同士がくっつくタイプを選べば、3~4人のグループ利用にも柔軟に対応できます。
ただし、狭すぎるテーブルは食器の落下といった別のリスクを生みます。
テーブルを小さくする目的は作業利用を制限することです。カフェ利用まで制限することがないよう注意してください。
長居しにくいカウンターの高さ
ハイカウンター(高さ90~110cm以上)に合わせたカウンターチェアは、床から座面まで70~75cm程度あり、これは足が床にギリギリ届くくらいの高さです。
足置きは無いか、あっても細く、安定感がないのが特徴です。
この不安定さが長時間の滞在を妨げ、結果として短時間で席を離れる行動につながります。
また、店員と視線が合いやすい高さのため、おかわりなど自然な声掛けがしやすいメリットもあります。
リラックスしすぎない照明設計
照明の明るさと滞在時間には相対関係があります。
照明が暗いほど空間がリラックスムードになり、滞在時間が伸びる傾向があるのです。
逆に、明るい環境は自律神経を活性化させ、脳をアクティブな状態にします。
完全なリラックス状態を避けることで、「動きたい気分」を維持し、長居を防ぐことができます。
ただし、コンビニのような強く青白い照明はNGです。
カフェのおしゃれな雰囲気を壊しては元も子もないので、デザイン性を保ちながら適度に明るくする工夫が必要です。
◇店舗照明の基礎知識についてはこちらの記事をご覧ください↓
店内の見通しをよくする
回転率を意識した内装設計では、極力「壁」を置かない設計にします。
常に人目にさらされる環境は、実際には見られていないとしても、なんとなく居心地が悪いものです。
また、壁が無いことで隣の話し声や作業音がダイレクトに聞こえるため、店舗全体がにぎやかになり、「落ち着き」を作ることが難しくなります。
スタッフからは店内が良く見えるようになり、スムーズな席誘導やレジ対応など、業務効率の改善も期待できます。
回転率と居心地のバランスのとり方

回転率を上げる方法を見ていくと、1つの結論にたどり着きます。
それは「回転率を上げると居心地が悪くなる」ということです。
「回転率は上げたいが、居心地の悪い店にはしたくない」という葛藤は、多くのカフェオーナーが抱えているもので、大手フランチャイズ店であっても例外ではありません。
この二項対立は、設計の工夫次第でいくらか解消できます。
アーティスティックな家具を選ぶ
デザイン性の高いインテリアは店内のブランド力を高めてくれますが、機能性が低い物が多いです。
たとえば、背もたれが低い椅子や、硬い素材でできたスツールなどは、おしゃれですが長い時間座るには向いていません。
映える内装を維持しながら、機能的には長居に向かないというバランスは、SNS集客とも相性が良いです。
内装をコンテンツにしつつ、自然と回転率を調整する設計として活用できます。
ガラスを使用したパーティションを使う
壁のないカフェは回転率向上に効果的ですが、居心地が大きく低下したり、店舗コンセプトに合わなかったりする場合もあります。
そういったお店では、お客様に状況を察してもらう方がスマートかつ上品です。
具体的には、完全に視線を遮るパーティションではなく、ガラスを用いた抜け感のあるものを採用します。
すりガラスなど、視線を適度に遮りながらも、人の動きがぼんやりと感じ取れる程度が理想です。
これにより、
「店が混み始めている気がする」
「自分より後に来た人が先に席を立ったらしい」
といった空気を自然に感じ取ることができ、席を立つタイミングが生まれやすくなるのです。
時間制Wi-Fiの導入
内装とは少し外れますが、回転率と居心地のバランスを考えるうえで有効な手段として、時間制Wi-Fiの導入があります。
一定時間が過ぎるとWi-Fiが自動で切れる仕組みは、ノマドワークなど長時間の作業利用を自然に抑制できます。
この方法はどのような店舗でも使えるため、現在の内装を崩すことなく、回転率を上げることができます。
ただし、壁、柱、キッチンの位置によって電波が届かない「死に席」が生まれることがあるので、必要に応じて内装会社へご相談ください。
テイクアウト環境を整える
これも内装からは少し外れますが、テイクアウト環境を整えることで、席の回転率に依存しない売上を確保できます。
テイクアウトで一定の利益が出ていれば無理に回転率を上げなくていいので、落ち着いた店舗内装を守りながら、効率を上げる方法として有効です。
ただし、イートイン客とテイクアウト客の「動線の分離」は必須です。
入口と会計周りは特に混雑しやすいので、テイクアウト専用のレーンを設けるなど、空間の使い方を再設計することが重要です。
店舗内装の標準化をするには

多店舗展開をするうえで、店舗内装の標準化は重要です。
それはブランドイメージを守るだけでなく、1号店の成功を全店舗で再現し、一定の売上げを確約させるための設計戦略です。
10店舗以上の展開を見据えるなら、今の段階から明確なコンセプト設計を行い、属人化を極力避けることが不可欠なのです。
滞在時間の目安を定め内装に反映させる
大手のカフェフランチャイズ店をいくつか思い浮かべてください。
回転率を上げるための工夫が多く施されているブランドと、そうでないブランドがあることにお気づきでしょうか。
これは、各社で想定している滞在時間の違いが、如実に内装に表れている証です。
滞在時間を定めることで、内装設計に1つの判断軸が生まれます。
目安が60分なら回転率を意識した内装に、90分なら居心地を優先した内装にする。そういった基準があることで、一貫性のある店舗が作れるのです。
また、「前提条件」や「評価基準」が明確なため、施工会社から有益な提案を引き出しやすくなるメリットもあります。
固定すべき要素を決める
内装の標準化にあたって、すべてを統一することは物件の違いから難しく、逆にすべてを変更すると別会社の店舗だと誤認されてしまいます。
大切なのは、「ブランドイメージ」や「店舗の印象」に関する部分を固定することです。
■ロゴ・コーポレートカラー
■内装で使うメイン素材(木材系、コンクリート系など)
■家具のテイスト(北欧系、モダン系など)
■照明設計
こうした要素をガイドラインとして制定しておくことで、新しい物件に入るたびにゼロから決める必要がなく、意思決定コストも大幅に下がります
ですが、柔軟性を忘れてはいけません。
ブランドイメージを守りつつも、客層に合わせた店舗設計を行うことを常に意識しておきましょう。
施工会社を固定する
2号店を出す段階から、パートナーシップを意識した施工会社選びをしましょう。
多店舗展開をするうえで、施工会社を固定することは大きなメリットがあります。
■施工チームの安定による品質維持
■全店共通の思想設計が引き継げる
■仕様統一によるメンテナンス性の向上
■見積りコストのばらつき抑制
■意思決定コストの削減
施工会社側にも「その店舗に特化したノウハウ」が蓄積されるため、現地調査や設計施工の意思疎通がスムーズになり、工期短縮と予算の最適化が実現しやすくなります。
長期的な経営視点でブランドイメージを共有できる、パートナーシップを意識した施工会社選びをすることで、内装の標準化のハードルがぐっと下がるのです。
まとめ
1号店は、オーナーの人柄や努力によって成り立っていたかもしれません。
しかし、オーナーの手が離れる2号店目以降では、属人化された成功体験は通用しなくなります。
多店舗展開を進めるのであれば、「誰に任せても利益が生まれる仕組みづくり」をする必要があります。
今回紹介した「回転率を意識した内装」は大手企業でも採用されている、人や立地に依存しない、再現性の高く標準化も容易な施策です。
「繁盛しているのに利益が出ない」
あなたのお店がこのような事態に陥っていて、回転率の問題かもしれないと感じているなら、今すぐ内装会社に相談することをおすすめします。
◆◇◆
「大昌工芸株式会社」では内装のデザイン・設計のご相談から実際の施工まで、手厚くサポートいたします。お困りの際はお気軽にお問い合わせください。
また、関連記事や役立つ情報、実績・事例もご覧いただけます。メニューの「施工実績」や「ノウハウ」もあわせてご一読ください。

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