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テラス席の設置に必要な届出とは?導入までのステップや設置条件に併せてメリットも徹底解説!

レストランやカフェなどで見かけるテラス席は、開放感が魅力の席です。お客様に特別な体験を提供できるだけでなく、他店舗との差別化ポイントにもなることでしょう。設置することで顧客満足度向上にもつながります。
しかしながら、テラス席を設置するにはルールや条件があり、その適合性を満たすためにさまざまな手続きが必要です。
本記事では、テラス席とは何か、その設置に際して手続きやポイントについて紹介していきます。

テラス席とは?

テラス席とは飲食店が屋外に設置する座席のことで、屋外客席とも呼ばれます。開放的な環境で食事を楽しめるのが特徴で、近年人気が高まっています。
テラス席の設置に際して、諸々の許可を出すのは保健所です。このことからも分かる通り、テラス席の設置は衛生的な観点から厳しくチェックされ、営業者はそれを守って運営していくことが求められます。

テラス席のメリット

レストランやカフェなどの飲食店において、テラス席は根強い人気を誇っています。お客様に開放的な環境で食事を楽しんでもらえるだけでなく、集客効果や他店との差別化など、さまざまなメリットをもたらします。
ここではテラス席の4つのメリットについて解説します。

集客効果が高い

テラス席は通行人から視認しやすく目を引く効果があります。特に、ランチタイムやディナータイムなど、多くの人が行き交う時間帯には集客を期待できます。
また、ロケーションが良ければ話題性も高まり、オンライン上での集客も期待できるでしょう。

開放感を訴求できる

屋内の環境と一番異なるのが、外部の風や光を感じながら食事を楽しんでもらえる点です。天気や時間、季節によって変わる環境こそ、お客様が求めている開放感やリラックス感の要素といえます。
また、環境に合わせて照明や装飾にこだわったり、季節に対応したメニューを提供したりすることで、さらに特別な雰囲気を演出できます。

屋外ならではのサービスが提供できる

テラス席は屋内では提供が難しいサービスも訴求できます。その一部として次の例を紹介します。

【ペットの同伴が可能】

お客様の中には、ペットと食事をともにしたいと考える方が非常に多くいます。ただでさえペットと同伴が可能なお店は少ないため、この点は魅力的なサービスといえるでしょう。もちろん、衛生面での管理は必要ですが、特定層の集客が期待できます。

【喫煙席を設置できる】

2020年4月1日に施工された改正健康増進法により、屋内での喫煙は原則禁止となりました。屋外はその対象ではないため、テラス席には喫煙席を設けることが可能です。
ただし、屋外に喫煙席を設ける場合は、周囲に受動喫煙させないような配慮は必要です。この点がクリアできれば、特定層の集客が期待できるでしょう。

競合店との差別化を図れる

テラス席を導入することで、競合店との差別化を図れます。お客様に新しい体験を提供することで、競合店との差別化を図り、顧客満足度向上につなげられます。

テラス席は、集客効果、開放感、差別化など、さまざまなメリットをもたらします。導入を検討してみてはいかがでしょうか。

テラス席を設置するまでの流れ

開放感あふれるテラス席は、お客様に特別な体験を提供できる一方、設置には様々な準備が必要です。
ここでは、テラス席を設置するまでの流れをざっくり3つのステップに分けて解説します。

保健所への事前相談

テラス席を設置する場合、工事着工前に管轄の保健所へ事前相談に行きます。このタイミングで、申請方法や準備すべきこと、留意点などについて確認します。
一点注意いただきたいのは、手続きに関する事項は自治体により異なるということです。東京都で必要な『屋外客席営業設備の大要』という届出を参考に、以下の情報を整理しておくと良いでしょう。

【屋外客席営業設備の大要に記入する情報】
・設置場所
・屋外客席の面積
・屋外客席の区画
・設置期間
・設置時間
・定休日
・配置図

各種届出の作成・提出

保健所の指導に基づき、指定された届出を作成・提出します。
届出の内容は、設置場所が『公有地以外』か『公有』で異なります。ここでも、東京都の例を紹介します。

【公有地以外を使用する場合(お店の敷地など)】
・屋外客席営業設備の大要

【公有地等を使用する場合】
・屋外客席営業設備の大要
・屋外客席設置届
・法令、条例等に基づく当該公有地等の使用等の許可等を受けていることを証明する書面の写し
※道路占用許可や道路使用許可など
・当該公有地等の使用等の許可等を受けた者が営業者以外の場合、許可を受けた者からの当該共有地等の使用承諾書

また、場所に加えて設置する状況によっても内容が異なります。
【屋外客席を設置するお店を新たに始める場合】
営業許可申請の際に、『屋外客席用の営業設備の大要』を提出する。

【既存の施設に屋外客席を新たに設置する場合】
変更届提出の際に、『屋外客席用の営業設備の大要』を提出する。

承認

保健所が書類を審査し、問題がなければ承認されます。承認までに数週間かかる場合がありますので、余裕を持って手続きを進めましょう。

テラス席を設置する際は事前に保健所に相談し、必要な手続きを進める必要があります。また、設置場所や構造、設備など、さまざまな注意点も理解しておきましょう。

テラス席を設置できる条件

テラス席を設置するにはいくつかの条件を満たす必要があります。
ここではテラス席を設置できる条件について東京都の例を参考に解説します。詳細は自治体によって異なりますので、あくまでも参考程度にとどめておきましょう。

対象業種

テラス席を設置できる業種は、「飲食店営業」および「喫茶店営業」のみです。
ただし、飲食店営業や喫茶店営業の許可を得ていても、以下の場合はテラス席を設けられません。
・屋内に客席を設置せず、対面で販売する形態
・臨時営業
・引車、自動車による移動営業並びに天ぷら船、屋形船および自動販売による営業

※2021年の食品衛生法改正により、「喫茶店営業」は「飲食店営業」に統合されました。

設置場所

テラス席は、スタッフが衛生的に管理できる範囲内かつ、店舗・屋内客席に隣接している必要があります。こちらの基準は公有地であっても公有地以外であっても適用されます。
店舗・屋内客席から離れた場所、例えば反対側の歩道や別の区画に設置することは、基本的にはできないということです。
道路(歩道&車道)の不正使用、通行幅の確保などは特に注意が必要です。

屋外客席の面積

テラス席の面積は、原則として屋内客席の規模を超えない程度にします。設置場所にも関係していますが、衛生的な管理を徹底し、周辺環境への影響を少なくするためです。
後述の『気を付けるべきこと』でも述べますが、屋外に客席を設置することで発生するトラブルを防止するために、管理しやすい環境でなくてはなりません。
例外として、トラブル防止対策や衛生管理が徹底されていると判断された場合、屋外客席の面積を広げることが可能です。

施設基準

テラス席を設置する際は、その範囲を明確にするための区画が必要です。具体的には、ウッドデッキや植栽、ポール付きのロープなどが挙げられます。
これは、お店が管理する範囲を明確にしたうえで、衛生管理やトラブル防止対策を徹底するために重要といえます。定期的な清掃により、常に清潔な環境を維持することが求められます。

テラス席で気を付けるべきこと

テラス席の最大の魅力は屋外という環境下で食事を楽しめることです。しかし、屋外という環境だからこそ食品衛生や近隣環境に対して配慮すべき点が数多くあります
ここでは、テラス席で気を付けるべき6つのポイントについて解説します。

食品取扱設備を設置しない

衛生上テラス席には調理用・サーブ用の器具を設置できません。そのため、食品の調理・サーブは屋内で行い、テラス席に運ぶ必要があります。
具体的には、サラダバー、バイキング、フリードリンクコーナー、バーベキューにかかわる焼台などの食品取扱設備がその対象です。
しかし、一定の要件を満たせば設置が可能な場合があります。屋外で設備の使用を検討している場合は、保健所への相談を必ずしましょう。

清潔な環境を維持する

テラス席を清潔に保つうえで問題となるのが、風や人の移動によって運ばれる土ぼこり、害虫・ねずみなどの存在です。道路に面している場合、排ガス由来のススや油汚れも問題となるでしょう。これらは衛生的にも印象的にも非常に悪く、お店の評価を落とす原因となります。
お店側としては、こまめな清掃を欠かさず行ったり、お店から出たゴミの保管場所に気を遣ったり、虫よけ対策を講じたりなどの対応が必要です。
テラス席を設置する際は、清潔な環境を維持しやすいかどうか、入念なチェックが必要です。

騒音・臭気・煙などへの対策

テラス席の設置にあたっては、近隣の快適な生活を阻害してはいけません。そのため、近隣の住民や店舗に迷惑をかける騒音、臭気、煙などには特に注意が必要です。
施設基準で紹介した、何かしらの方法で区画することも有効ですし、面している歩道や敷地から距離を開けて設置してもいいでしょう。もちろん、営業時間にも配慮しなくてはいけません。
これらについては、営業形態や提供するサービスも関係があるため、保健所との密な協議が重要になります。

暑さ・寒さ対策

お客様に一年間テラス席を利用してもらうには、暑さ対策と寒さ対策が欠かせません。開放感があるとはいえ、食事する以上は快適な環境であることが求められます。
問題となるのが夏と冬の時期です。夏の暑さ対策としては、日差しを遮るパラソルやオーニング、冷たい空気を感じさせる冷風機やミストファンが有効です。
冬の寒さ対策としては、空気を暖めるパラソルヒーターや電気ヒーター、お客様に身に着けてもらう電気ブランケットやカイロが有効です。

天候対策

突発的な天候不良に対しても対策を講じておく必要があります。雨天をはじめ、強風や積雪もテラス席にとっては大きな脅威です。

暑さ対策で触れたパラソルやオーニングは雨対策としても有効です。他にも、水はけを考えたデッキづくりや除雪用具、備品の固定方法や保管場所なども検討しましょう。
天候が悪化することを想定して、事前にお客様対応を決めておきましょう。

屋外に適した什器を選ぶ

ここで説明してきたように、テラス席はさまざまな外部環境にさらされています。備品を清潔に長く使用するためにも、耐候性やメンテナンス性を考えて選択するのがおすすめです。
屋外用什器は、テーブルや椅子、ソファー席など数多く販売されています。機能性とデザイン、予算と相談しながら導入してみましょう。

テラス席は、開放的な空間で食事を楽しめる魅力的な空間です。しかし、快適な空間を維持するためには、周辺への配慮や清潔な環境の維持など、いくつかの点に注意する必要があります。

まとめ

テラス席の重要性と設置に必要な手続きについてまとめると、テラス席は店舗にとって特徴的な空間を提供し、お客様に居心地の良い環境を提供する重要な要素であることがわかります。
テラス席を設置するためには、一定の基準を満たす必要があります。許可取得や届出手続き、条件の遵守などが必要であり、これらに注意を払うことが非常に重要です。店舗側は管理の範囲を明確にし、ルールを守ることで、安全かつ快適なテラス席を提供することが求められます。
テラス席は店舗運営において重要な要素であり、適切に設置・管理することで、顧客満足度の向上や集客力の強化につがることが期待されます。

当社では各種デザイン・設計のご相談から、実際の工事まで手厚くサポートを実施しております。お困りの際はお気軽にお声掛け下さい。

監修:大昌工芸編集部

この記事は50年にわたり理想の店舗作りを支えてきた株式会社大昌工芸の編集部が監修しており、お客様の理想の店舗作りを助けるわかりやすく役にたつ記事を目指しています。

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