飲食店における適切な席数を知ろう! 押さえておきたい基本事項や計算方法も解説
飲食店を開業するうえで頭を悩ませる問題の一つが、席数をどれぐらいにするかということです。席数を設定する際は、売上げやスタッフ配置などのさまざまな要素を考慮する必要があります。
この記事では、席数設定における重要事項に焦点を当て、各スペースの面積比率や席数の目安などについて解説します。
さらに、席数もとにした売上げや必要なスタッフ数のシミュレーションについても紹介しています。
目次 [閉じる]
席数設定の前に押さえておきたい基本事項
飲食店の席数は、売上げや顧客満足度に大きな影響を与える要素です。そのため、お店の条件や状況に合わせて適切に設定しなくてはなりません。とはいえ、基本事項を押さえておかないと席数を適切に設定することは難しいです。
ここでは、席数設定の前に押さえておきたい基本事項を3つ紹介します。
店舗を構成するスペースは3つに分ける
店舗は大きく3つのスペースに分けられます。厨房スペース、客席スペース、管理スペースの3つです。飲食店では、各スペースをバランスよく配分し利益を出せる店舗を目指します。
まずはそれぞれのスペースがどのような役割を担っているか紹介します。
【厨房スペース・・・スタッフが調理や配膳を行うスペース】
- 調理スペース・・・調理機器や作業台を配置するスペース
- 食材保管スペース・・・冷蔵庫や冷凍庫などを設置するスペース
- 洗浄スペース・・・食器や調理器具を洗浄するスペース
- 倉庫・・・食器や食材などを保管するスペース
【客席スペース・・・お客様が食事をとるスペース】
- 客席・・・カウンターやテーブル、椅子を配置するスペース
- 待合スペース・・・お客様が空席を待つスペース
- トイレ・・・お手洗いや便器を配置するスペース
- レジ周り・・・レジや受付を配置するスペース
【管理スペース・・・スタッフが事務作業や休憩をとるスペース】
- 事務室・・・作業用のパソコンや机などを設置するスペース
- スタッフルーム・・・スタッフが休憩を取るスペース
各スペースの面積はコンセプトやターゲットを基に配分する
各スペースをバランスよく配分するための要素を押さえておきましょう。各スペースの面積は、業態特性、店舗の規模、コンセプト、ターゲットなどの要素を基に配分します。
例えば、提供メニューや調理工程の多い高級レストランでは、必要な調理スタッフや厨房機器が多いことから、厨房スペースを広めに設定することが一般的です。
これらの要素を考慮せずにいきなり席数を設定すると、厨房や管理部分のスペースが不足したり、顧客満足度が低下したりする可能性が高まります。
席数は客席スペースの面積から設定する
そして本題となる席数について、席数は客席スペースの面積から設定することが一般的です。つまり、店舗全体の面積から設定してはいけないということです。ここを間違えないようにしましょう。また、席数のために厨房面積を狭めたりしてもいけません。
例えばファミリーレストランの場合、客席スペースは全体面積の60~70%が目安です。また、小さなお子様連れのお客さんが多い場合は、ベビーカーを置くスペースも想定しておく必要があります。
これら三つの基本事項を理解したうえで、業態特性、店舗の規模、コンセプト、ターゲットなどを考慮し、適切な席数を設定することが重要です。
各スペースの面積比率と席数の目安
席数を設定する際は、各スペースの面積比率と坪あたりの席数の目安を参考にするといいでしょう。ただし、各スペースの面積比率と坪あたりの席数の目安は、業態やコンセプト、提供メニューによって大きく異なります。あくまでも目安であることをお忘れなく。
面積比率の目安
ここでは、店舗面積の大部分を占める厨房スペースと客席スペースの面積比率の目安を紹介します。
【業態ごとの面積比率の目安】
- 高級レストラン、和食店、ファミレス・・・厨房30~40%:客席60~70%
- 居酒屋、イタリアン、バル・・・厨房20~30%:客席70~80%
- カフェ、バー、ラーメン屋・・・厨房10~20%:客席80~90%
例えば高級レストランの場合、提供するメニューの多さから必要な厨房機器が多くなります。そのため、厨房面積を広めに設定する傾向が見られます。
一方カフェの場合、提供するメニューが軽食などに限られることから必要な厨房機器は少なくすみます。そのため、厨房面積を最低限として客席面積を広める傾向が見られます。
坪あたりの席数の目安
客席スペースの見当がついたら、ようやく席数を計算できます。面積比率の目安をもとに客席スペースの坪数を求めたら『坪数×一坪あたりの席数』で席数を計算しましょう。
ここでは、坪あたりの席数の目安を紹介します。
【業態ごとの席数の目安】
- 高級レストランなどの客単価を重視する飲食店・・・一坪あたり『1~1.5席』
- 一般的なバランスを重視する飲食店・・・一坪あたり『1.5~2席』
- ファストフードなどの回転数を重視する飲食店・・・一坪あたり『2.5~3席』
例えば高級レストランの場合、お客様が利用する目的は食事だけではなく非日常的な時間を楽しむことも含まれます。店側としてはお客様がリラックスできる環境を提供することが重要となるため、一人当たりのスペースを広めにして席数を絞る傾向があります。
一方ファストフードの場合、お客様のメインの目的は食事です。店側としては最も利用される時間に、なるべく多くのお客様に利用してもらうことが重要となるため、一人当たりのスペースは狭めにして席数を多く確保する傾向があります。
席数からわかる目安:売上げ
一日あたりの売上げをシミュレーション
席数の見当がつけば、売上げのシミュレーションも可能です。売上げの目安は次の計算式で求められます。
【一日あたりの売上げの計算式】
- 一日の売上げ ・・・『客単価×総客数』
- 総客数 ・・・『客席数×客席回転数』
例えば、客単価2,000円、客席数30席、客席回転数3回と仮定した場合のシミュレーションは以下のとおりです。
【シミュレーション】
- 総客数 =『30席 × 3回転』=90人
- 一日の売上げ =『2,000円 × 90人』=180,000円
客席稼働率に注意
売上げのシミュレーションでは客席稼働率も考慮する必要があります。
客席稼働率とは、客席が実際に利用されている割合のことを指します。目安ではありますが一般的には70%程度とされています。先ほどのシミュレーションで考慮すると以下のように変わります。
【客席稼働率を考慮したシミュレーション】
- 一日の売上げ=『2000円 × 90人 × 70%』=126,000円
客席稼働率が低ければ、いくら客席数を増やしても売上目標を達成できません。利用客の人数に柔軟な対応をとれるよう、可変的で無駄のない客席構成としたり、お客様の誘導方法を工夫したりする必要があります。
席数を設定する際には、客席数、客席回転数、客席稼働率などを考慮する必要があります。これらの情報を参考に、自店の目標に合った席数を設定することで、売上目標を達成し、店舗の収益性向上につながります。
席数からわかる目安:必要なスタッフ数
飲食店のスタッフ数は、店舗運営に大きく影響する重要な要素です。スタッフ数が不足していると、サービスの質が低下したり、顧客満足度が低下したりする可能性があります。
必要なスタッフ数のシミュレーション
席数の見当がつけば、スタッフ数のシミュレーションも可能です。スタッフ数の目安は次の計算式で求められます。
【必要なスタッフ数を求める計算式】
- 必要なスタッフ数=『客席数 ÷ 10』
つまり、10席に1人のスタッフが必要です。ただし、これはあくまでも目安です。業態や営業時間、客単価などによって、必要なスタッフ数は異なります。
例えば高級レストランの場合、サービスの質が求められるため、多くのスタッフが必要です。
一方ファストフードの場合、セルフサービスが多いため、少ないスタッフで運営できます。
まとめ
席数を設定する際に押さえておきたい基本事項、そして各部面積比率と席数の目安、売上げやスタッフ数のシミュレーションについて紹介してきました。
飲食店を成功させる秘訣は、適切な席数設定によって効率的な経営を実現することにあります。席数を適切に設定することで、売上目標を達成しやすくなり、スタッフの負担も適正化されます。
また、席数を通じて顧客満足度を向上させられれば、リピーターの獲得や口コミでの拡散にもつながるでしょう。一人当たりの席数を適切に設定し、売上目標やスタッフ数などを考慮した経営計画を立てることが、成功への重要です。
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